第42話 呪縛箱 3
途中で一郎くんと弾くんを拾うと、師匠は2人に状況を説明した。
「なぜ無関係の子供まで!?」
「2人はアーシの弟子だ」
一郎くんと弾くんは驚きを隠せないというように、「それはほんとう?」と、シラキさんとアサオカさんの言葉に重ねた。
「師匠」
「驚いたか?」
「なんで」
「ん?」
「なんで、嘘を付くんです。弟子なんて。2人にはなにも教えてないじゃないか」
「あるいは、だ」
「え? なに?」
「『教えなかった』か、あるいは『教える必要はなかった』か、だ。アーシは後者だと思うがね」
「後者なんですか」
「いや、前者だ」
なんなんだこの人は。
「まずひとつ。滝一郎は文字通り滝の血を継いでいる。隼人くんの叔父の子だからね。従兄弟というわけだ。つまりそっくりそのまま生き猿の血を引いている。エクストラムマンになる可能性なら彼にもあった。知能指数も高い。IQ400程度。つぎに佐久間弾。彼はIQ600とIQ400に合わせて話すことができる。誰も調べていないだろうがきっと高知能。そうでなくともおそらくは高機能。彼との会話でストレスを感じたことはあるか?」
「いや。……でもそれを言ったら悠もだ。悠も弟子に?」
「彼は少々特殊だからね……あまりアーシから関わり合いになりたくない。それに今日は予定があるらしい」
なんと!
「そういえば人嫌いでしたか」
「それもあるが……君はまぁいずれ知るか」
「なんですか。その含みのある言い方は」




