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第4話 生き猿
池首市にある古い山には「生き猿」という化け物が住んでいるらしい。小さい子供がその生き猿が住んでいる山に入ると、生き猿に取り憑かれるから、子供は入ってはいけない、と昔は教えられていたそうだ。生き猿は明治の初期の児童性愛者の罪人で、当時の池首の住人は罪人を山に放って、野生に帰る人間を見世物にして笑っていたのだとか。しかし、その見世物流行が倫理の流布により廃れると、罪人はみんな殺された。それ以来というものの山に入る子供のまえに猿になった罪人に襲われ取り憑かれ気が狂う、という怪事件が相次いで、役所の人間が供養したのだとか。それ以来その山には子供は近づいてはいけない、ということになっている。