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第33話 謎老人
本屋で怪談本を買った帰りに畦道を歩いていると、前から自転車が走ってきた。「こんな日に危ないなぁ」と思っていると、異変に気がついた。その自転車に乗っていたのはシワ一つ無い……それどころか、皮膚と骨しか無いような、骸骨のようなからからとした老人だったのだ。その老人は前のかごに何かを入れていた。
「エヘエヘエヘ、エヘエヘエヘ、エヘエヘエヘ……エヘエヘエヘ、エヘエヘエヘ、エヘエヘエヘ……みんなあ、若いのお。岩手山のみなぶねは元気け〜」
「みなぶね……?」
「みなぶねに飯をやるなーっ」
「ひゃっ」
老人はいきなりペダル踏みしめて何処かに行ってしまった。
「みなぶねってなんだよ……」




