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空想怪奇ラフ  作者: モッズコート
空想怪奇ラフ 呪縛箱
31/100

第31話 壁の落書き

 スポーツ少年団の、バスケが終わって師匠の迎えを待っている際、女子部の連中が体育館倉庫で何かを見つけたらしくて、キャーキャーと叫んでいるのが見えた。


「どうしたの」


 と見に行くと、壁に、塊や何かの毛が混在する赤黒い液体で「捕まえるなら見つけい」と書かれていた。


「うーむこれは猟奇的な何かの犯行に違いないぞ」

「猟奇的な何かの犯行? それって? 滝くんそれって?」

「例えばおばけとか!」

「うわーっ! いきなり不謹慎だっ。お前こんな時までおばけおばけ言ってんじゃないよ!」

「しかし……この様子じゃ、練習が始まる前は一切こんな事にはなっていなかったんだろ?」

「うん」

「誰か此処から不審な人物が出てくるのを見た人はいないかい? こんだけ人数があるんだから、ひとりなふたりくらいは見ていそうだが」

「居なかったよ。着替えそれにこっち側の体育倉庫にはコーチが居たじゃん」

「コーチが居たのは7時の終わりごろから1試合が終わってちょうどの8時半まで。おれたちが汗を拭いたり着替えたりしている間はコーチはいなかった」

「なんでわかるの? いなかったって」

「こういうときはね、その人が着ている衣服の『素材』を見るんだ。とりあえず細かい話は置いておいて、コーチの着ている服は伸縮性に優れている。その点を取るといいことだ。まずシワがつきにくい。その点を考慮して、見るべきは膝の裏。あの深さのシワは俺たちの練習時間である『6時間』から立って歩いた時間を差し引いても4時間程度。そこからまた立ったんだろうそのシワの跡はどんどんと目立たなくなろうとしている。すると分かるのは経過時間。その経過時間と=なのが場を離れた時間になるし、なにより歩く速度。コーチは普段から座りっぱなしだったりして歩く速度は『歩き始め』に比べ『ある程度歩きなれた時』の場合はほんの僅かに滑らかだ。そして、靴のシワ。服のシワと同じ理屈。そこから、10分ほど」

「それで……?」

「ん? それで、って?」


 一郎くんが口を挟む。


「訂正しただけだから深い意味はないと思うぞ」

「滝くんってなんなの!?」

「滝隼人です」

「アァ!?」

「怒られてやんの」


 失礼なことをしてしまったらしかった。


「なにはともあれこれは明らかな事件だよ」


 卓球台に傷がついている。傷だけじゃない。赤黒い液体。


「建物等毀損罪と……器物破損罪が適応されるね。警察に通報してもらおう」


 すぐにコーチがやってきて、事の顛末を警察に通報した。俺たちは直ぐに迎えをよこすように言われて、父から師匠に、急ぐようにと連絡があった。


「あれは人の仕業じゃないですよね」

「よくわかった。それだけわかれば合格点だ」

「あれはなんなんです」

「古くは『たんのいこ』と呼ばれていた意思を持った自然現象だ」

「意思を持った自然現象?」

「それは一般的に神と呼ぶ。神にはいろいろな種類が居る。意思を持つ天候は天気を操る神になる。例えば地震。地震も意思を持つと地震を引き起こす神になる」

「たんのいこ……っていうのは、何を司る神なんです?」

「わからない。時折現れて……『必要とする人間』になにかの助言を残す」

「じゃあ……知識の神とか?」

「それはアーシたちだ」

「え? なに? おれたち?」

「アーシたちの頭脳には『長鐘(じょうしょう)』という神が宿ってる。鳩汰の脳みそを見たことは? 無いなら見てみるといい。脳のシワの形が面白い形をしてる」

「何で知ってるんですか?」

「見たからね。俺の師匠……風見(かざみ)由花子(ゆかこ)の脳をね。」

猫をレクサスって呼ぶな

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