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空想怪奇ラフ  作者: モッズコート
空想怪奇ラフ 爛れたタイムレター
21/100

第21話 追え! 6

 ◆



 萩野さんの家を巡ってみると、どうにもたしかにカルト宗教の格好をした連中が出入りしているのが見えた。


「あれ危ないんじゃないの」

「危ないっつーか……」

「ここの娘さん……萩野優子ってたしか20年前に亡くなっているし、そのお母さんも後を追って自殺した……って言うんだろ? あそこの家主はいま誰なんだ?」

「アーシが……友人の小林錠という男を使って調べたところによると……いまの家主は萩野優子さんの叔父さんであるらしい。名前は萩野(はぎの)高助(たかすけ)。普通のサラリーマンさ」

「でもカルトと関わってんでしょ」


 師匠さんは言い終わると、車から降りて、その集団に向かって行ってしまった。なにをするのか、と思うと声をかけたではないか。


「すいませんけどね、アーシは『月夜新聞』の記者ですケド……へへ、へ……あんたの格好、いま巷を賑わせているカルト宗教のやつでしょ。あのね。話を聞かせてもらってもいーい?」


 信者と思われる連中は、一斉に師匠さんを睨むと、襲いかかった。


「うわーっ! 師匠さんあんた! 無茶なことをする!」


 囲まれてボコボコにされているところに、父さんが駆けつけようとするが、師匠さんが手をこちらに向けて「来るな」という合図を出す。そして、懐から、石を取り出した。それは呼吸しているように輝きを繰り出している。


「エ、エ、エクストラムの輝きか!」

「貴様、では、エクストラムマンか!」

「人類ごときが怪異の領域に踏み入ろうなど……赦さん……変ン゙……」


 師匠さんの姿が、一瞬鎧を纏った戦士のように見えたが、次の瞬間、萩野家の2階の窓が割れたところにより、それは中断された。


「なんだ!」


 そこをみると、そこには髪を長く伸ばした長身の男が立っていた!


「宮田!」

「宮田くん!」


 母さんと父さんの口ぶりから、あれが宮田勇気という男であることがわかった。


「ア゙ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ。きみなやいきなやしなずがやはしらせはしらせひんのこやきびたてゆうらぎてんめんそうかくやさくなや しんめいせいとうけいはくなきあかんこう」


 宮田勇気が腕を振りながら、唱え始めた。

 すると……。


「きみなやいきなやしなずがやはしらせはしらせひんのこやきびたてゆうらぎてんめんそうかくやさくなや しんめいせいとうけいはくなきあかんこう」

「きみなやいきなやしなずがやはしらせはしらせひんのこやきびたてゆうらぎてんめんそうかくやさくなや しんめいせいとうけいはくなきあかんこう」

「きみなやいきなやしなずがやはしらせはしらせひんのこやきびたてゆうらぎてんめんそうかくやさくなや しんめいせいとうけいはくなきあかんこう」

「きみなやいきなやしなずがやはしらせはしらせひんのこやきびたてゆうらぎてんめんそうかくやさくなや しんめいせいとうけいはくなきあかんこう」


 ……と、他の信者たちも唱え始める。

 というところで、地震が起こり始めたではないか。


「ひゃーやばい! さすがにやば! 人間ほんまキッショいわ! しね!」


 師匠さんがいつの間にか白い袋を持って車に帰ってきた。


「何しに行ったんだあんた……!」

「簡単に言えば、窃盗かね」


 白い袋から、財布を取り出した。


「カルト宗教の信者っていうのは脳足りんの割に自分に常識のある人間だと思っているやつが多いから、こうしてちゃんと財布に身分を証明できるものが入っている。加藤哲信……佐々木祐介……志村香苗……横溝幸四郎……笹野佳子……内田栞奈……ほほーう。いろいろあるね」


 師匠さんは免許証だけを抜き取ると、その他を窓から外に投げ捨てた。

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