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空想怪奇ラフ  作者: 蟹谷梅次
空想怪奇ラフ 爛れたタイムレター
19/100

第19話 追え! 4

 公園のところに建っていたケバチマンションという名前のマンションを、まずは外を隅から隅まで調べてみることにした。草木の隙間や建物の目立たないところ。物置の隙間や至る所。


「おっ!」


 一郎くんがみつけた。


「あったぜ、『まくろ様』だ」

「よし、幸先はいいね。見方を変えればわるいけど」


 そのマンションから去るときに、ピグさんがピグピグと鳴きながら転がっているのが見えた。こうしてみると、水子の霊だというから、やはり赤ちゃんのような挙動をしていて、可愛らしい。


「おばけってあんな簡単にいるんだな」

「いるよ。おばけも生き物だからね」


 次に、主人公が通っていた「だがしや」に向かうことにした。そこはすでにコンビニになっていた。そのコンビニにも、「まくろ様」の紙が貼られていた。


 そこでもピグさんが居た。


 そして、主人公の通っていた「じゅく」。そこはまだ現役の塾だった。駅通り商店街の手前にあって、電柱の影に張り付けてあった。


 やはり、そこにもピグさんがいる。


「……ふむ」

「どうした?」

「さすがに無視できなくなってきたな、と思ってね。一郎くん、我々が向かっていた先には必ずピグさんがいる。街はこんなに静かなのに!」

「それはちょっと変なのかもしんねーな」


 考えてみる。そこで、ふと思い出して、公園に立ち寄り、携帯ゲーム機を起動させた。スロットに入れていた「或カン光」が画面に映し出される。


「どうした?」

「そういえば最後までプレイしていなかった、と思い出してね」


 ある程度手を動かせるようになっていて良かった。


 少しだけ切ない気持ちになりながら、そのゲームを進めていく。「悪魔が取り憑いた女」に必殺技の「いけおとし」を発動し、討伐することが出来た。エンドロールが終わると、その後もプレイが出来るようで、マップが追加されてた。


「この立地見たことある〜」

「……『クロギのほこら』……ここ、俺の家だね」

「マジ?」

「隣の家は小さな町工場。裏は田んぼと畑。流れる川。そしてまた家が数軒。まさしく俺の家だね」


 なるほど。ゆえに「うそつきだ」か。つまり俺はクロギの血のある人間だったわけだ。それではたしかに俺が悪かった。


「腕を折られるのもやむなしか……」

「なに?」

「こっちの話。おばけは最初から答えを話していてくれていたんだなぁ。……人間はこんなに回りくどいことをするのに。やはりおばけは最高(ラフ)だなぁ」

「そのラフってのをやめなさい」

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