第15話 おかしなゲーム
休日、家族といっしょに大きなリサイクルショップに行った。貴金属コーナーと、本のコーナーと、機械のコーナーと、オタクチックなコーナーと、ゲームのコーナーと、玩具のコーナーと、カードのコーナーと、服のコーナー。コーナーはもっといろいろあるが、俺はゲームのコーナーに行った。そこでいろいろな有名なゲームを探していたが、ふと「或カン光」という真っ黒のケースのゲームを見つけた。そしてなんと160円! 俺はすぐさまそれを購入した。「これは隼人が好きそうだぞ」と思った。あとは隼人が好きそうなオカルトの本を2冊買った。
「隼人ー! ゲームで遊ぼうぜ!」
「俺の手は両方壊れてるよ、悠」
「俺がやるよー」
「それって俺とやる意味はあるかい?」
「あるさ!」
「そっか。じゃあやろっか」
隼人の赤い携帯ゲーム機にカセットを入れて、電源をいれると、「ピコーン」と音がなった。
「これどういうゲーム?」
「さぁ? なんか160円で売ってたから買ったんだよね。これお前が好きそうだから買ってきたんだ」
「君が持ってきた物ならなんでも好きだよ。悠」
「おー! 俺めっちゃセンスいいもんな!」
「そうだね」
そのゲームは和風のRPGゲームだった。
「これ舞台が池首だね」
「えっ?」
「主人公の家はみよむら自然公園の裏手だね。悠、君の家の近くじゃないか?」
「む! たしかにそうだ!」
メニューを開いて、そこからまたマップを開くと、主人公の家は、どうやら俺の家の隣だった。
「面白いなこれ!」
「そうだね」
「しかし……」
操作していくと、このゲームはどうやら「悪魔が取り憑いた女を殺す」という目的があるゲームらしい。主人公は坊さん志望らしく頭は丸刈りにしていた。
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アクマは ずっと おんなのこに
とりついていたんだ! ▼
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だから ぼくが カイホウして
あげなくちゃ いけない! ▼
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ゆいいつしん クロギから
もらった このチカラで ▼
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「ん?」
隼人がふと反応をしめした。
「どうした?」
「いや……クロギっていうのがちょっと気になったんだ。……偶然かなぁ」
ゲームを進めていくと、「悪魔に取り憑かれた女」を倒すというシチュエーションになって、ドラ〇ンクエストのような画面になって、「お祓い」をそう表現しているのかと思ったけど、どうやらこれ「殺害だな?」となった。
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うおおおおおおっ ▼
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ここで ひっさつワザだっ ▼
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いけおとしだっ ▼
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その瞬間、隼人は「もうやめようか」と言って俺の手を触れてきた。
「どうした?」
「…………これは……。…………『六月池の自殺』をからかった趣味のわるいゲームだ。…………これは、君がやるべきものではないだろうな。頼むよ、悠」
「おっけー! しょうがねーなー!」
隼人は人より賢いから「これがダメ」「あれはダメ」という事が人より早く分かる。俺は少し鈍いところがある。
「おっけー」
「あと……今日はうちに泊まっていくかい? おばさんも俺の家なら許してくれるんじゃないか?」
「おっ! いいね」
なにかがあったんだろうな、というのはわかった。次の朝、隼人に見つめられながら朝飯を食っていると、おばさんが慌てた様子で声をかけてきた。
「お母さん、お風呂で溺れちゃったって」
「えっ!? なっ、それっ、大丈夫だったの!?」
「いま安静にしてるから大丈夫だって」
「心配だなぁ……」
母に何かあったんだろうか。
「怖いからお見舞いに行こうか」
「おう」