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フェアラート 1

 苛々が募る。フィランが暗殺されて、陛下はブラッドを王太子殿下にあげると言い出した。あんな素性のしれないブラッドを王太子殿下に据えていいものか……でも、陛下は、ブラッドの母親を好いていた。だから、結婚してすぐに後宮へと迎え入れた。

 私を蔑ろにして、あの女の元へと通いつめたのだ。


 そのブラッドが王太子になる。でも、陛下が認知してしまっている正式な殿下であることは間違いない。しかも、母親は陛下の従姉妹だったから、王族なのも間違いない。


 だから、せめて私の親族との結婚を促した。そうでもしないと、ブラッドに私までもが支配されてしまう。


「王妃様! リラ・リズウェル伯爵令嬢様が見つかりました!」

「本当か! いったいどこに!?」

「それが……フェアラート公爵邸にいまして……」

「フェアラート公爵邸?」


 思い出せば、私が塔に行ってブラッドが来た時に、フェアラート公爵の嫡男であるジェイドと扉の前ですれ違った。


「そんなところに……」


 フェアラート公爵邸にいれば、私が手を出せないとでも思っているのだろうか。


「……すぐに行くわ。フェアラート公爵邸に、兵を送りなさい」

「し、しかしっ……フェアラート公爵が何というか……」

「フェアラート公爵は、毎年この時期は別荘地にいるはず。だから、王都にも登城してないわ。間違いなくフェアラート公爵邸にいるのは、ジェイドだけ。すぐに行って、リラを捕らえるのです。抵抗すれば、フィラン殿下暗殺の共謀者として、邸の者も捕らえなさい」


 リラだけは許せない。私のフィランを殺した。大事なたった一人の子供だったのに。

 いつも表情一つ変えないリラ。美しく珍しいライラック色の髪色の、長く伸びた艶めくような髪。そんな小柄なリラは可愛いと評判だった。でも、彼女はあまり笑わない。そんなところが、可愛いではなく、キレイだという評判になったのだろう。実際に、リラは隙もなく、落ち着き払った様子だった。フィランは、そんなリラでも愛してた。

 すぐに婚約したいと言い出して、フィランの望みをかなえた。


 その結果がこれだ。

 リラは、フィランに心を開いた時が一度でもあったのだろうか。


「……すぐに処刑するわ。抵抗するなら、その場で処分しなさい」

「ハッ!!」


 報告にきた王妃直属の騎士クレメンスにそう言い渡した。





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