91.煽り合う
人魚マリンの故郷へと向かう俺。
【無酸素】のおかげで海中でも呼吸ができる。
マリンは先頭を泳ぎ俺を目的地へと連れてってくれる。
「おそいですぅ~」
アホ人魚は俺を見て、ぷぷ、と小馬鹿にしたように笑う。
「おそすぎますぅ」
「黙れ魚類。こっちは人間なんだよ」
「おそすぎますぅ~」
腹立つわ……。こいつ、自分が助けてもらう立場なのに……よくもまあこんな態度取れるよな。
このまま回れ右されたらどうしようとか考えないだろうか。考えないか。魚類だもんな。
しかし確かにちんたら泳いでいたら日が暮れそうだ。
俺は海底に立つ。そして、とんっ! と砂を蹴る。
ギュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
「ほぎゃー! はやいですう!? どうなってるですかぁ!?」
俺は人魚を超える速度で海中を進んでいる。
「【無抵抗】を使ったんだよ」
「むてーこー!?」
「ああ。これを使うと、水の抵抗を無かったことにできるんだ」
それゆえ、減速すること無く、海の中を高速移動できるのである。
「に、人間のくせにやるですぅう!」
「ほらほらどうしたお魚くん? 遅いんじゃないのかい?」
「きー!」




