87.事情
人魚から助けを求められてしまった。
俺には関係ない。他人に助けて欲しいと言われようが、俺には無関係。どうでも良いのだ。
ので、事情を聞くことにした(?)。
「いやぁ、実はマリンちゃんのおうちがマジピンチなんですぅ」
……改めて人魚を見やる。
空色のふわっとした髪の毛。瞳もサファイアみたいに青く美しい。
胸は大きく、貝殻のぶらを身につけている。
これだけ見るとただの、人間の美少女に見える。
が、下半身……腰から下は魚類のそれだ。空色のうろこの、魚類のひれが付いてる。
「ちょっとぉ、マリンちゃんの話聞いてますぅ?」
「一応聞いておくが、マリンちゃんっていうのは?」
「マリンちゃんはマリンちゃんですよぉう」
……どうやらこいつ、いい歳して自分の一人称=名前らしい。
シロもまあ自分のこと【しろ】って呼ぶが、あいつは生まれたての子供だ。
こいつとは違う。
「マリンちゃんちょーらっきーですぅ。今おうちがマジピンチってときに……ほぎゃ!」
俺は女の頬に銃口を突きつける。
「ピンチならさっさと何があったか教えろぼけ女」
「そのあぶないの離してくださいですぅ! ふっとばされたくないですぅ」
俺は幸運銃をしまう。
「何があったんだ。早く教えろ」
「お兄さん口が悪いのに意外といい人ですぅ?」
「…………」ちゃき。
「あー! その、マリンちゃんの故郷に海魔蛇とかいう魔物がすみついて、絶賛大ピンチ中なんですよぅ!」
……故郷が魔物に襲われてる、ね。
「ちっ。めんどくせえな」
「ああ……だめですよねぇ……」
「さっさと連れてけ」
「ほえ!?」
何驚いてるんだこいつは……。
「いいからさっさと連れてけ」
「は、はいぃ……。あのぉ……もしかしてお兄さん、よくツンデレとか言われないですぅ?」
「…………」ちゃきっ。
「ああごめんなさい! 余計なこともういわないですぅう!」
ということで俺はこいつの故郷へとむかうことにしたのだった。
あーあ、めんどくさい。あーあ。




