84.また女
コブトリ野郎の処遇を街の連中に任せ、俺たちはすぐに出発した。
馬車は街を出て海沿いを走っていく。
「でねでね! ダーリンがまた活躍したの!」
「わぁ! すごーい!」
フェンリルのシロ、およびアホエリスが、御者台に座ってる。
エリスは俺の活躍を、誇張表現ありありでかたってやがる。
俺は荷台でゴロンと横になりながら、女どもの話を聞き流していた。
「ダーリンってばいつものビリビリ銃でサハギンをずごんばごん! て打ち抜いてさ! 勇者も一蹴しちゃった! もー! かっこよ!」
「かっこよー! おにいちゃん、かっこよー!」
はー、やれやれうるせえ連中だ……。
「それでね、ダーリンの凄いところはね、すごいってことを周りに全然ひけらかさないの! 渋い! かっこいい!」
「かっこいー!」
うるせえ女どもだ……ったく……。
「ダーリンはもっとたくさんの人に感謝されたり、すごいすごーい! って言われるべきだと、シロも思うよね~?」
「うん! おもう! しろもおもう!」
はーうっさいうっさい。
「良いんだよ。別に感謝されたくてやってることじゃねえんだから」
人助けは別に、まあ、あれだ。好きでやってることじゃない。仕方なくなんだよ。
「ダーリンのツンデレ♡」
「うぜえ。口を閉じろ」
「私の口をおれのくちびるで塞いでやろうか、って意味ですかー!?」
……やかましいぞったく。
元々一人で旅していたのに、気づけば女が2人もいる。(ちーちゃんも含めれば2+1だが)。
女が増えるとそれだけうるさくなることが証明された。
「これ以上、女は増やさないぞ……絶対」
と、そのときだった。
「た、助けてですぅ~~~~~~~~~~~~~!」
……どこからか、女性の悲鳴が聞こえてきたのだった。
あ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~! もう!
「ダーリン、出ます!」




