68.失せろ
フェンリルのシロの背に乗って、魔物に襲われてるやつの元へと向かう。
『見えてきたっ! 狼?』
「大灰狼だな」
大灰狼の群れが子供を襲っていやがった。
子供は腕をもがれ、足も失っていた。……命が、軽い。なんて軽い世界なんだ。
こんな暗黒の世界だからこそ、勇者っていう希望の光が必要だろうに。
勇者のカスどもは、目の前で死にかけてる小さな命に、気づかない。手を伸ばさない。
ほんっと……ゴミカス連中だよ!
「シロ。俺が飛んだら伏せてろ」
『あい!』
射程に入った瞬間、俺は飛び上がる。
シロとガキに【無音】を付与しておく。
幸運銃に弾丸を装填し、レールガンでぶち抜く。
ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
落雷と錯覚するほどの威力の弾丸を受けて、大灰狼どもは面白いくらい簡単に吹き飛んでいった。
残っている大灰狼たちは、目の前の上手そうな餌に、しかし襲いかかってくることはない。
レールガンの威力を、仲間の命をもって、思い知ったからだろう。
俺は奴らをにらみつける。
「失せろ」
「「「きゃぃいいいいいいいいいいいいいいいん!」」」
狼……いや、犬どもは尻尾を巻いて逃げていきやがった。
『スキル威嚇(上級)を使わずとも、高ランクモンスターをにらんだだけで追い払ってしまうとは。くく……さすがだな』
妖刀が俺を褒めやがる。
最近どうしたんだよ、おまえ、ずっと黙ってたけどさ。
『気にするな。たいしたことじゃない』
ふぅん……。




