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05.魔物を食い、スキルゲット



 俺の名前は松代まつしろ 才賀さいが

 高校生。


 女神のくそ野郎のせいで、ダンジョン内に破棄させられた俺は、スキル【無】と妖刀【七福塵しちふくじん】とともに、ダンジョン脱出を図る。


【無視】で見えなくし、コカトリスを暗殺した俺。


「先に進むか」

『まあ、待てよおまえ様。魔物を食らっていくといいぞ』


「魔物を食らう……?」

『ヒドラ戦でおまえ様はやっただろう?』


 確かに、ヒドラを捕食した。が。


「あれはほかに攻撃手段が無かったからやったわけで。別に魔物を食う趣味はないぞ、俺は」

『まあ聞け。魔物を食らうと、おまえ様にとって良いことが起きる』


「良いこと?」

『ああ。魔物を食うと、疲労回復+技能獲得の効果があるのだ』


 ……疲労回復。

 それに……技能獲得、だと?


 疲労回復は文字通り疲れを取る。

 しかし技能獲得ってどういうことだ?


『まあものは試しだ。やってみろ』


 妖刀が俺を騙す、という可能性はないだろう。

 こいつは俺と契約を結んだのだ。


 俺にとって不利な発言はしない、嘘はつかない……ってな。


「食べてみるよ」

『それがいい。ああ、そうそう。魔物には強毒が含まれており、食らうと通常は死ぬからな』


「…………食べると宣言したあとに言うなよ」


『無毒で中和できるからな。言わずとも良いだろうと判断したまでだ』

「…………そうかよ」


 やはりこの妖刀、信用ならない。

 完全に心を許すのは危険だ。契約があるからかろうじて味方してくれてるが、それがなければ、俺は魔物を食って死んでいたのだ。


 ……こいつの言葉を鵜呑みにするのはやめておこう。


 さて。

 俺はコカトリスの死骸の前に立つ。


「食べるって言っても……生肉を食らうしかないよな」


 現代日本出身者としては、生食はしたくないな。

 が、肉を焼く手段がない。


 生肉には、サルモネラとかカンピロバクターっていうばい菌がついてるから、そのままくうと腹を下す。

 ……魔物の肉に含まれる毒を無毒で中和できるが、食中毒を同様に、スキルでなんとかできるのだろうか。


「おい。食中毒にも、無毒は有効か?」

『無論』


 ……妖刀は契約で嘘がつけない。よし。

 俺はコカトリスの生肉に、かぶりつく。


 …………な!?

 

「美味いっ」


 思わず声に出してしまうほど、コカトリスの生肉は美味かった。

 そういえば、日本の九州地方には、トリサシといって生で鳥の肉を食う文化があるそうだ。

 食中毒のリスクがあってもだ。つまり、生の鶏肉は美味いってこと。

 このコカトリスの生肉も、結構いける。


 食べた部位は胸肉だ。

 本来脂身が少ない、あんまり美味しくない部位のはず。


 だがしっかりとした歯ごたえと、噛めば噛むほどにあふれる肉汁、そしてうま味。

 体に、力がみなぎっていくのがわかる。


「魔物って……美味いんだな……」


 しかし誰も食べないのは、魔物に毒があるからだろう。

 無毒がない人間には、魔物食いは自殺行為でしかない。


 ……もったいない。 

 こんなうまいのにな。


 俺は、一口試すだけのつもりが、コカトリスの肉をすべて食らった。


『相当美味かったようだなぁ、おまえ様よ。無心で食らっていたぞ? ああ、そうそう。敵の接近がないか、ずっと周囲を警戒してやっていたぞ。褒めても良いぞ?』


 ……しまった。

 美味すぎてつい、夢中で食っていたが、ここはダンジョン。

 死と隣り合わせの場所だ。何をのんきに飯食っているのだ……。くそ。


 この妖刀にはあまり借りを作りたくなかったのだがな。


「で、食ったぞ。良いことってなんだ?」

『くっく、我に媚びないその姿勢、嫌いじゃ無いぞ?』

「いいからさっさと教えろ」

『まずはステータスを開くが良い』


~~~~~~

松代まつしろ 才賀さいが

レベル 172


HP 1720/1720

MP 2220/1720(+500)

攻撃 172(+1000)

防御 172(+1000)

知性 172

素早さ 172

~~~~~~


 数値を見てぱっとわかるのが、レベルが上がってることだ。

 前は140ちょっとだったのが、172にまで上昇してる。


 次にわかるのが、HPが全回復していた。

 これはレベルが上がったからか、魔物を食ったからかは判然としない。


『魔物を食らうメリットその1だ。倒すよりも多くの経験値を得られる。レベルの上がる速度が上昇する』

「なるほど……じゃあヒドラの時もそうだったんだな?」


『然り。おまえ様が142というすごいレベルになったのは、ヒドラを食らうことの恩恵だ。そしてレベルが上がるとHPが全回復するが、魔物を食うとレベル上昇関係なく、疲労が回復する』


 確かにこいつは、疲労回復効果があるって言っていたな。

 あれは、HP回復って意味だったのか。


『そして魔物を食らうメリットその2。ステータス画面をスライドさせ、スキル一覧を表示してみろ』

「いちいち命令するな」


『ああ、すまない。口調には気をつけるよ。さあ』


 ……俺に不利になる発言はしない、という契約だからな。

 俺はステータス画面に触れて、横にスライドさせる。


~~~~~~

スキル一覧

・【無】(【無毒】【無 】)

・スロット+1

・毒息吹

~~~~~~


「スキルが……3つある?」


 そのうち、【無】は俺が元々持っていたスキルだ。

 そこに加えて、スキルが2つ。


「まさか……増えるのか? 魔物を食らうと、スキルが」

『その通りだ。正確に言うと、その魔物の持つ【魂】を食らうことで、おまえ様は新しいスキルを得る』


 ……魂を、食らう……?

 

「ただ魔物の肉を食っても意味ないのか?」

『そうだな。死んだ魔物の体内に、魂が残っている状態で、魔物を食わないと、スキルは獲得できない』


 こいつの発言からわかるのは……。

 魂、という概念があること。


 肉体が滅んですぐは、まだ魂が残っている状態。

 そこで食わないとスキルが獲得できない。


 裏を返すと、たとえば誰かが倒し、長く放置された魔物の肉を食っても、別にスキルが得られる訳じゃないってことだ。

 ようは、倒してすぐ、新鮮なうちに食べないと、スキル獲得できないってことだ。


「しかしスキルってこんな簡単に手に入るのだな」


 すると妖刀は……。


『あっはっはっは!』


 と急に笑い出した。


「なんだ、腹立つな。馬鹿にしてるのか?」

『すまない、気分を害したなら謝罪しよう。我が笑ったのは、いやなに、おまえ様は本当に異世界人であって、この世界の常識を知らないのだなってことだ』


 やっぱり馬鹿にしてるじゃ無いかこいつ……。


「地下に置いてくぞ」

『それは困る……!』


 妖刀が焦りだした。こいつも、放置されるのは嫌なのだろう。


「だったら小馬鹿にするような発言はするな」

『わかったよ。はは、手厳しいマスターだ』


「で、さっきの発言の真意はなんだ?」

『簡単なこと。スキルとは後天的に身につけるのが、とても難しいのだ』


 ……ふむ。

 スキルの獲得が、とてもむずかしいだと?

 

「そうなのか?」


 ポケ●ンとかだと、レベルを上げればすぐに新しい技を覚えるのだが。


『然り。スキルとは、生まれ持ったもの以上のものを獲得するとなると、長い長い修練が必要となる。しかも、才能のあるごく一部の人間が、苦労してようやくという具合だ』


 ……選ばれた者が、すごい努力しないと、新しいスキルが身につかない……か。


『大抵の持たざる者たちは、与えられた1つをどうにかこうにか工夫しながら使って生きてる。が、それでも新しいスキルになることはまずない』


「なるほど……でもじゃあ、なんで俺はこんなあっさりスキルを獲得できたのだ?」


『それは簡単だ。魔物を食ったからだ。だが、この世界の人間は、魔物を食うことが出来ない』

「毒があるから?」


『その通り! 頭の回転が速いな。つまり、無毒を持つおまえ様だけが、この世界でただ一人、魔物を食らってスキルを獲得できる、選ばれし者なのだ』


 ……俺だけが、か。

 無毒スキル、もっと言えば、【無】を持っていたからこそ、この特権が与えられてるってことか。


 ……はは。


「なにがFラン勇者だよ。【無】スキル、やばすぎだろ」


 無限の可能性に加えて、魔物を食ってスキルを得るという、この世界の誰も出来ないことまで出来てしまうんだからな。


『おまえ様を廃棄した女神は、相当……阿呆なのだな』

「気が合うじゃ無いか」


 こいつを完全な敵だと思って行動するのは、まあ、少しだけ控えておくか。

 あくまで少しだけだ。完全に気を許すわけではない。


『さて、食事を終えたところで、おまえ様よ。敵が近づいてきてる』


 ちょうどいい。

 新しく手に入れたスキルを、試してみるか。

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[気になる点] 主人公、知識を教えてもらう者の姿勢じゃないのが不快 こんな調子だから知能が低いという設定なのかもしれないが、イキリちらかす性格の悪さなので追放されて当然だったんじゃないかと思ってしまう…
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