36.勇者を拷問して情報を得る
【無間地獄】。相手に、絶え間の無いすさまじい苦しみを与える、拷問用のスキルだ。
「あげぇああぁああああああああああああ!」
すっ……と俺は味噌川から手を離す。
スキルを解いてやったというのに味噌川はのたうち回っていた。
「おげぇえええええええええ! うげぇあああああああああああああああ!」
気が狂ってしまったのかと心配になるレベルのリアクションである。
「ダーリン。大丈夫……?」
エリスが俺に不安げに尋ねてくる。
「それって、確か寿命削るんだよね?」
無間地獄はすごい威力を持つが、その反面、代償も大きい。
なにせ、スキル発動1秒につき、俺の寿命を1時間削るというものなのだ。乱発はできないし、長い時間スキルを発動できない。
エリスは俺の寿命が削れてしまったことを心配してくれたようだ。
彼女から、俺への愛情を感じられて胸が温かくなる。
「大丈夫だ。スキルを、0.01秒だけ発動させた」
「0.01秒だけ……?」
「そう。1秒につき1時間削る。なら、0.01秒発動なら、削られる寿命は100分の1になる」
賢者の知識をもとに、無間地獄の運用方法を考案したのだ。
ほんのわずかの一瞬だけスキルを発動させることで、コストを抑える方法。
確かに効果時間は短くなる。
が、無間地獄は効果がめちゃくちゃすごい(強い)ので、ほんのわずかな発動で、相手に十分苦痛を与えられるのだ。
で、このスキルを尋問に使うなら、わずかな一瞬だけの発動で事足りるのである。
こちらには、こんなヤバいスキルがあるんだぞ、と。
それだけで相手を精神的に追い詰めることができるからな。
「ミソガワ様……」
「あんなに苦しんでる……」
「こ、怖い……」
Bラン勇者の取り巻きどもがドン引きしていた。
治療でもしてやりゃいいのにな。
誰もしようとしてないでやんの。
多分近くに居る俺が怖いんだろう。
味噌川に使ったスキルを、自分にも使われたら嫌だ……って思ってんだろうね。
だらしないやつらだ。
うちのエリスなら、この状況でも迷わずに、愛するモノを助けに入るのによ。
心から味噌川のこと愛してるやつは、この場にはいないんじゃないか?
「さて、味噌川」
「うぎぃいいいいいいいいいいいいいいいい!」
味噌川のやつ完全に俺にびびってやがる。
「お願いしますお願いします許して許してぇえええええええええええええ!」
「俺の質問に正直答えるならな」
「答えますぅううううううう! 何でも答えますぅうう! だから、もうあのスキルは! 無間地獄はもうやめてぇええええええええええええええええ!」
さすが、寿命を削るスキルなだけある。
一発で味噌川にトラウマを植え付けることができたようだ。
これで格付けはすんだようだ。
「とりあえず、そうだな。まず女神の元を去ってから今日までのことをざっくり教えろ」
話をまとめるとこうなる。
味噌川たちクラスメイトは、女神の手引きで、【神聖皇国】ってところに飛ばされたらしい。
皇国の庇護下で、味噌川たちは勇者としてふさわしい力を身につけるべく、訓練に参加した。
その後、女神は勇者たちを集めて軍を作った。
「それが勇者軍……か。クラスメイト全員が所属してるのか?」
「ほぼ全員が所属してます。ただ……何人か脱落者や、出て行ったモノたちがおります」
なるほど……。
あの性悪くそ女神のことだ、訓練に根を上げた勇者をこっそり処分してたに違いない。
……神坂さんは無事だろうか。
他のクラスメイトたちはどうでもいいが、彼女だけは、無事であって欲しいものだ。
「次の質問だ。俺たちをこの世界に送り込んだ、あのくそったれ女神はどこにいる? 神聖皇国ってところに行けば会えるのか?」
「さ、さぁ……知らない……」
「ふぅ……。味噌川。嘘は良くないな。そんなにまた苦しみたいのかな?」
すっ……と俺は手を近づける。
「嘘じゃ無い!!!!!!!! ほんとだ! 女神がどこにいるのかわからないんだよぉ!」
ガタガタと体を震わせる味噌川。
「信じられるか。【無間地獄】」
「あぎゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
なんてな。
こんなくずに二度もスキルを使うもんか。
ブラフでも、十分に味噌川の精神にはダメージを与えられた。
じょわ……とやつの股間にシミが浮かび上がる。
「え……もらしたの?」「うわ……ださ……」「ええ……勇者のくせに失禁してる……」
女どもがドン引きしていた。
やっぱりこいつら味噌川に対してほれてないな。
単に相手は勇者だから、こびうってるみたいな、そんな感じだろう。
ま、どうでもいいが。
「次嘘ついたらほんとうにスキルを使う。女神はどこだ?」
「はぁ……! はぁ……! ほんとだよぉお! 知らないんだよぉ!」
ふむ、こんだけ脅しておいてまだ嘘をついたらたいしたもんだ。
が、おそらくはほんとうに知らないのだろう。
「何で知らないんだ?」
「はぁ……はぁ……め、女神様は、一部の偉い人たちの前にしか姿を現さないんだよぉ……」
なるほど、味噌川みたいなBランの前には女神は姿を現さないのか。
こうして拷問されて、自分の居場所をしゃべられたら困るから……か。
警戒心の強い女だ。
「偉いやつって言うと?」
「勇者軍リーダーである木曽川くんとか……あとは、神聖皇国のトップである教皇様とか……」
ふむ。なるほど。
教皇には皇国へ行けば会えそうだ。
「木曽川はどこにいるんだ?」
「わ、わかんねえ……ほ、ほんとだよ!? 勇者軍の召喚勇者たちは全国に散らばってるんだ!」
どうやらクラスメイトたちは一箇所に固まらず、パーティを組んで、全国に派遣されているようだ。
「おまえらは上の指示で動いてるんだろ? どうやって指示を聞いてるんだ?」
「おれらの脳に、直接命令が下されるんだよ」
「ほぅ……テレパシー的な?」
「そ、そうだ……。女神様の力だ。転生勇者と女神様は特殊なパスでつながっている。このパスを通して情報交換する」
ただ、すべての情報を共有できるわけじゃ無いらしい。
まず視界情報は共有できない。あくまで音声でのやりとり。
また、転生勇者側から女神に連絡を取ることは基本できない(上のランクの奴らの中にはできる権限持ちもいるらしい)
死んだら、女神にそのことが速やかに伝えられる。
「なるほどな……」
ここでこいつを始末しようとしたが、そうするとその旨が他の勇者にも伝わってしまうようだ。
Bラン勇者が束になってかかってきても負けるつもりはない。が。
AやSといった勇者の強さが未知数な現状で、相手に俺の存在を気取られるのはリスクが高い。
「な、なあもういいだろ!? おまえの質問には答えたじゃないか! 許してくれよ! な? なぁ!?」
味噌川が泣きながら俺に言う。
「まだだ。まだおまえに聞きたいことがある」
「もう勘弁してくれよぉ! おれはBランなんだよぉ! 勇者軍幹部の中じゃ底辺なんだ! そんな重要情報教えてもらえてないんだよぉ!」
……ふむ。
どうやらBランク勇者(レベル600代くらい)で、勇者軍最弱なのか。
A、Sとなればもっとレベルは高くなっていくのは確実だろう。
やはりこいつを始末するのはまずいな。
「わかったよ。解放してやる」
「ほんとぉ!?」
「ああ」
俺は味噌川の額に、人差し指を立てる。
「死の恐怖と絶望って感情から……な」
「へ……?」
俺は、スキルを発動させる。
「【無量大数】」
瞬間……。
味噌川は白目をむいて、立ったまま動かなくなった。
「み、ミソガワ様……?」
女魔法使いが恐る恐る、味噌川に声をかける。
だが味噌川は何も答えない。
女が近づいて、彼の肩を揺する。
どさっ! と倒れる。
「ひ!? し、死んだ……」
「いや、死んでない」
「気絶してるだけですかぁ……?」
「似てるが、正確には違う。こいつの脳内には、【大量の情報】が一気に流し込まれたんだ」
「?????」
理解できないようだな。
「スキル。【無量大数】。発動することで、他者の脳内に、膨大な……それこそ、処理しきれないほどの無限にも等しい【情報】が一気に流れ込む。いつまでも、情報が完結しない、処理しきれない状態になる」
ようは……。
「食らった瞬間、脳は完全にパンクし、相手を廃人にさせる」
「「「「…………」」」」
死なれては困るからな。かといって生かしておくと、俺の情報を奴らにもらしかねない。
だから、【無量大数】をつかって、相手を生きたまま廃人にする。これがベストなのだ。
「さて……あとは君らの処遇だな。取り巻きの諸君」
「「「ひぃいいい!」」」
俺を馬鹿にしていた女どもが、俺の前で跪いて、泣きながら言う。
「お願いします! 私をあなた様の家来にしてください!」
「いや、性奴隷でもかまいません!」
「愛玩動物として可愛がっていただけないでしょうか!?」
「あなた様のために誠心誠意ご奉仕いたしますからぁ!」
女どもが一斉に俺に取り入ろうとする。
だが。
「お断りだ」
「「「どうして!?」」」
「てめえらみたいなくず女、願い下げだ。それに、俺にはもう大事な女がいるんでね」
信頼できるパートナーなんて、エリス一人で十分なのだ。
「というわけで、君たちも処分させてもらうよ。俺は男女平等主義だ。手加減するつもりは、さらさらないからな」
女たちは恐怖と絶望のあまり、その場で失神してしまう。
やれやれ、根性の無い連中だ。
「ダーリン……」
エリスが近づいてきた。
「エリス。俺を最低だと思うか?」
世界を救う勇者を廃人にし、女に対しても容赦しない。
こんな男を……。
「ううん。思わないよ。ダーリンが誰であろうと、何をしようと……私の愛するダーリンです」
エリスが俺を肯定してくれる。
こんな外道なことをしている、俺をだ。
だから……俺は正気を保っていられる。
エリスには感謝しかない。
「ありがとう、エリス。愛してる」
エリスは微笑むと、俺の唇に、自分の唇を重ねるのだった。
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