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298/301

298.だが断る



 俺は白輝聖金竜プラチナ・ドラゴンのプチとともに、鬱蒼とした森を歩いている。

 木漏れ日が差し込む古道は、湿った土と濃密な緑の匂いがした。


「で、プチよ。ここはどこなんだ?」


『アネモスギーヴっすね』


 プチが短い翼をパタパタと羽ばたかせながら答える。


「……どこだそりゃ」


 聞いたこともない地名だ。

 俺は腰に差した妖刀に尋ねてみる。


『エルフ国アネモスギーヴだ。主が最初に召喚されたゲータ・ニィガから南に下った、遙か先に存在する場所だよ』


 妖刀が脳内に地図をイメージさせるように語りかけてくる。

 ずいぶんと遠くに来てしまったようだ。


『海を隔てているからな。かなり距離があるぞ。参ったな。世界扉ワールド・ドアはまだ、使えないというのに』


 世界を渡るときに使った魔道具、世界扉ワールド・ドア

 こいつは理論上では、世界間移動だけでなく、同一世界内の転移も可能なはずだ。


 だが、現在はエネルギーが切れてしまっていて使えない。それに、まだ同一世界の転移実験は行えていない。

 つまり、すぐにはゲータ・ニィガへと戻れないということだ。

 まあ、エリス達が今、ゲータ・ニィガにいるかどうかもわからないが。


 いずれにせよ、まずは現状把握。情報を集めないとな。


「一番近い人里は?」


『ここからほど近い場所に、エルフの里があるよー。ただー』


「?」


『兄貴は行かないほーがいいかも……』


 プチが言いよどみ、申し訳なさそうに尻尾を丸めた。


「なんだと? どういうことだ?」


『エルフって、結構こわくてー。人嫌いだから』


 なるほど。行って、ひどい目に遭う確率が高いというわけか。

 排他的な種族というのは、どこの世界でも定番だ。


「ありがとな、プチ。良い情報くれてよ」


 俺はプチの頭をポンと撫でる。


『えへへ』


 プチが嬉しそうに目を細め、喉をグルグルと鳴らした。


「じゃあ、いくかエルフの里」


『えええっ!? あ、兄貴!? 話聞いてた!?』


 プチが仰天し、空中でくるりと一回転した。


「ああ。だが、俺には関係ない」


 エルフが人を嫌っていようが、なんだろうがな。

 俺の前で道を塞ぐなら、どいてもらうだけだ。


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