298.だが断る
俺は白輝聖金竜のプチとともに、鬱蒼とした森を歩いている。
木漏れ日が差し込む古道は、湿った土と濃密な緑の匂いがした。
「で、プチよ。ここはどこなんだ?」
『アネモスギーヴっすね』
プチが短い翼をパタパタと羽ばたかせながら答える。
「……どこだそりゃ」
聞いたこともない地名だ。
俺は腰に差した妖刀に尋ねてみる。
『エルフ国アネモスギーヴだ。主が最初に召喚されたゲータ・ニィガから南に下った、遙か先に存在する場所だよ』
妖刀が脳内に地図をイメージさせるように語りかけてくる。
ずいぶんと遠くに来てしまったようだ。
『海を隔てているからな。かなり距離があるぞ。参ったな。世界扉はまだ、使えないというのに』
世界を渡るときに使った魔道具、世界扉。
こいつは理論上では、世界間移動だけでなく、同一世界内の転移も可能なはずだ。
だが、現在はエネルギーが切れてしまっていて使えない。それに、まだ同一世界の転移実験は行えていない。
つまり、すぐにはゲータ・ニィガへと戻れないということだ。
まあ、エリス達が今、ゲータ・ニィガにいるかどうかもわからないが。
いずれにせよ、まずは現状把握。情報を集めないとな。
「一番近い人里は?」
『ここからほど近い場所に、エルフの里があるよー。ただー』
「?」
『兄貴は行かないほーがいいかも……』
プチが言いよどみ、申し訳なさそうに尻尾を丸めた。
「なんだと? どういうことだ?」
『エルフって、結構こわくてー。人嫌いだから』
なるほど。行って、ひどい目に遭う確率が高いというわけか。
排他的な種族というのは、どこの世界でも定番だ。
「ありがとな、プチ。良い情報くれてよ」
俺はプチの頭をポンと撫でる。
『えへへ』
プチが嬉しそうに目を細め、喉をグルグルと鳴らした。
「じゃあ、いくかエルフの里」
『えええっ!? あ、兄貴!? 話聞いてた!?』
プチが仰天し、空中でくるりと一回転した。
「ああ。だが、俺には関係ない」
エルフが人を嫌っていようが、なんだろうがな。
俺の前で道を塞ぐなら、どいてもらうだけだ。
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