249.めげない
上松 雪ってやつが、帰還者の可能性があるらしい。
俺は上松のいる長野へと向かうことにした。
またもじーさんのプライベートジェットで、松本空港へと向かう。
そして当然のように、俺の隣には、零美が座っていて……。
「零美さん奇遇ですね!」
……そして当然のごとく、無一郎がくっついてきやがっていた。
なんなんこいつ……?
ストーカーなの?
「おまえどうして着いてきてんだよ……」
こっそりと、俺は無一郎に尋ねる。
「魔女からの命令だ」
魔女というのは、こいつら公安の能力者を束ねる女のことだ。
「上松 雪が未登録の異能者だった場合、保護しろとな」
なるほど……。今んとこ、上松雪が異能者なのか、帰還者なのかは不明だ。
だから、異能者だった場合、公安に入れようとしてるのだろう。
たしか、公安の異能者は戦う力を持つやつがいないんだったな。
上松雪は剣の達人。
もしこいつが異能者だった場合、この女をスカウトできれば、大幅戦力アップできるって寸法……のようだ。
「零美さんとまたご一緒できてうれしいですっ」
「そすか」
無一郎……今日も塩対応されている。
でも諦める気配は無い。こいつは本当にあれだな、粘り強いやつだな。




