244.いい女
家に帰ると、開田のじーさんが待っていた。
「待ってたぞい♡」
「きしょ……」
語尾に♡をつけるなじじい……。
玄関先で俺を出迎えるのは、開田高原。
俺と同じ帰還者。
「おじいさま、サイガくんに何かよう? 今からあたしといちゃラブするんだがっ」
「しねえよ。……あれの件?」
まさかと思うが……。
いや、そんなに日にちも経ってないし、まさか……。
「うむ、その件についてだ」
「まじか……わかったよ」
ってことで、俺はじーさんについてこうとする。ちなみに無一郎とはこの屋敷の入り口で別れた。
最後まで零美は、無一郎に対して塩対応だった。可哀想だが、まあ、俺にできることはない。
気長に攻略してくれ。
「ではあっちで話そう」
「ああ」
じーさんの後を着いてこうとする。
零美は引き留めるかな……と思ったが、特にとめはしなかった。
「終わったらいちゃらぶしようじゃあないかっ」
……聞き分けのイイ女だ。俺みたいな素性の怪しい変な男じゃあなくて、他の男と幸せになった方が良いと思う。
……他の男?
あのグラサン異能刑事……?
あいつも……うん、変な男だったわ。変なやつを引き寄せるチカラでもあるんだろうか、零美には。
「いちゃらぶはしないが、後でな」
「うむっ!」
俺は玄関先で零美と別れて、開田のじーさんの後を追うのだった。




