229.見かけによらず
俺は桜鬼を討伐して見せた。
魔力結晶を回収し、ほっ……と息をつく。やっぱりこいつも魔物だったみたいだ。で、倒せば結晶を回収できると。
「結晶、もえて無くて良かったよ」
俺は松本城の天守閣から飛び降りて、地上へとやってきた。
「よぉ」
無一郎に声をかける。
やつは「ご苦労」とねぎらってくれた。
「んじゃ、さっさと」
「待て」
「他の連中の呪いを解く……って、どうした?」
ぽかーん……と無一郎が口を大きく開く。
「んだよ?」
「いや……おまえ、今呪いを解くといっていたな?」
「ああ。桜鬼の攻撃に巻き込まれた連中が、まだ桜のままだろう?」
あちこちに、桜の木がある。これは桜鬼の呪いの影響によるものだ。
桜鬼が死ねば呪いは解除されると思ったんだが、死後も呪いは残っているらしい。
「こいつらを元通りにしないと、任務完了じゃあねえだろ?」
「…………」
「なんだよ、いちいち驚きやがって」
「いや……その、なんだ。おまえ……用事が済んだら、さっさと帰るものだと思っていたから……」
……なるほど。
この刑事は、俺のことそういうやつだって思ってるようだ。
魔物を倒したらそれで終わりと。
「ふん。勘違いするな。俺は別に、こいつらのために呪いを解くんじゃあないからな」
「は、はぁ……? じゃあ、なんのために……?」
……。
…………。
………………それは、まあ。
「【無害】!」
俺は【無】スキルを進化させ、呪いを解く無害を発動。
そこら中にいる元桜の木たちの呪いを解いた。
「帰るぞ!」
「あ、ああ……」
俺の隣を、無一郎が歩く。
こっちを見ているのがわかった。
「んだよ」
「いや……おまえって、見かけによらないな、って思って」
「うるせえ」
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