表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

210/289

210.宿



 追っ手を撃破した後……。

 俺たちは長野の南、木曽ってところにやってきた、んだが……。


「なんだこりゃ……」


 なんというか、めちゃくちゃ閑散としていた。

 家は、ある。民家はあるんだ。でも……外を出歩いてるやつはほぼいない。


 木曽は隣に、木曽川っていう川が流れており、そこが削った平地に人が住んでいる。


 左右にデカい山があるせいで、日が出ている時間が少ないらしく、夕方前だってのに薄暗かった。


「サイガ君っ。宿を取っておいたよ!」

「宿……?」

「もう暗いだろう?」

「まあそうだけども」


 どうするか。移動だけで結構時間がかかってしまったようだ。

 ふむ……。


 どうせこいつ、俺の後を着いてこようとするだろう。

 となると、今動くより、夜寝静まった後に移動した方が良いな。


 そのほうが、こいつが後をおかっけてきて、こいつを危険にさらさずにすむ。


『ナチュラルに善人よな、おまえ様よ』


 黙れ。


「そうだな。疲れたし、宿で休みたい」

「了解だっ」


 駅前にある、ご立派な旅館へと移動する俺たち。

 中に入ると……。


「「「「いらっしゃいませ!」」」」


 従業員全員が、玄関口に集まって頭下げていた。

 まあ……そうだよな。こいつ良いところのご令嬢だもんな。


「さぁ、どうぞ! 一番上等な部屋をご用意しております!」


 女将らしき女が、なんか気の毒になるくらい、ペコペコ頭を下げている。

 まあそんだけ金持ちの孫だもんな、零美。


 零美はそんな態度をとられて、「そんな恐縮しないでくださいっ」と気さくに言っていた。

 無茶言うな。


 ほどなくして、俺たちは確かに広い和室に通される。

 ……いや、おかしいな。


「おい」

「なんだいサイガくん?」

「部屋が、一部屋しかないんだが?」


 別々に部屋がとってあると思ったんだが?


「? どうして?」

「どうして!?」


「わたしはサイガ君と将来を供にしたいとおもってる女だぞ?」

「だからなんだよ!?」


「同衾したいに決まってるじゃあないかっ」


 一緒に寝たいとか思ってるらしい……。

 や、やばぁ……。


 昨日今日あったばかりの男だぞ?

 しかもどう見ても怪しいやつだぞ?


「倫理観どうなってるのおまえ……?」

「強い漢と、結ばれたい! ただそれだけさっ」


 ……ああ、駄目だ。

 あのじーさんの孫だ、こいつ……。やっぱ孫もじじいもちょっとアレだわ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ