201.強引なやつ
俺は零美に無理矢理、実家に連れてかれた。
リムジンに突っ込まれ、移動する。
「ふふふ♡ おじいさま、きっと喜ぶぞ~」
零美が俺の隣に陣取り、ぴったりくっついてる。
どうして俺の知り合う女っていうのは、距離感がバグってる連中が多いのだろうか。
エリスしかり、神坂さんしかり。
というか、なんだ。
「おじいさま?」
「ああ。私は両親がいなくてな。おじいさまのところでご厄介になってるのさ」
「……そうかよ」
こいつも苦労してるんだな。
ただのボンボンだと思っていたが。
「ふっふっふ、安心しておくれよ、マイダーリン」
「……やめてくれその呼び方」
それはエリスにしか、呼んで欲しくない。
「それは失礼。そうだ、君の名前を聞いてもいいかい?」
ずっこけそうになった。
「おまえ……名前も知らない相手に求婚してたのかよ……」
「ああ!」
なんていい笑顔でうなずくんだ……。
しかたない。ここで渋っても、どうせ教えろってうるさくしつこくしてくるんだ。
「俺は、松代。松代 才賀だ」
「なるほど、サイガくんだなっ。……ん? あれ、松代って、隣のクラスにいなかったかな……?」
「ああ、うん、まあ……アルピコの生徒だよ」
「やはり! ということは……」
ちっ。失踪事件のことを、色々聞かれちまうかもしれないな。めんどくさい。
「運命だな!」
「………………は?」
「まさか同じ学校に通っていたとは! これはもう運命というほかない! 私たちは運命の女神様に祝福されてるぞ!」
……なんだこのポジティブ女。
本当に変な女だ……




