191.上位女神
俺は女神のクソ野郎をぶっ殺した。
その場に倒れ込む。エリスが労をねぎらってくれた。
……と、思った次の瞬間、俺は見知らぬ、白い部屋にいた。
「なんだ……ここは……」
「ここは、神の世界の入り口です」
「!?」
そこにいたのは、眼鏡をかけた、キツい印象を受ける女だ。
20代くらいだろうか。なんか仕事のできるOLっぽい見た目をしてる。
「だれだ……あんた?」
「私は女神。上位女神モリガン」
「神……モリガンだぁ?」
また、新しい神が現れやがった……
くそっ、こっちは戦う力が残されてねえってのに……。
「安心してください。あなたと敵対する気はありません。むしろ、邪神を葬り去ってくださったあなたに、感謝しにきたのです」
「ああ? 邪神……だと……?」
モリガンとかいう女が説明する。
曰く、俺が女神だと思っていたあいつは、邪神と呼ばれる類いのものだったらしい。
邪神とは、神の力をもちながら、それを悪用する邪悪なるもののこと。
クソ女神は邪悪なる力を用いて、異世界から人を召喚し、異世界に破壊と混乱を招いていたとのこと。
「我らの管理不行き届きでした。まさか、邪神がこの世界に居たとは」
「おいおい……ちょっと邪神を野放しにしすぎじゃあねえか?」
ジョン・スミスのいた、いにしえの次代から今に至るまで、あのクソ女神はやりたい放題していたことになる。
その間、このモリガンとかいう神は、その所業を放置していたと。
「下界の管理は、別の神に任せておりましたので」
「だから自分は知りませんでしたって?」
「はい」
ずさんな管理だ……。
やっぱり神ってくそだわ。
「そう言われてもしょうがありませんね」
……こいつ、心を読んで来やがった。くそ。
「で。モリガン様は俺のまえに現れて、何しに来たんですかね」
「あなたに、お詫びとして、選択肢を与えてあげようと思いまして」
どこまでも上から目線だな、神ってやつは……
「選択肢?」
「はい。元の世界に戻るか、否か」
「!?」
「私の力で、あなたを地球に送り届けることができます。どうしますか……?」




