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187.堕ちる



「ダーリンっ!」


 エリスが駆け寄ってきた。

 そして抱きしめる。


「ダーリン……信じてたよ」


 エリスがうれし涙を流してる。

 心配かけちまった。


「悪かったな、嘘でも、おまえにあんな酷い言葉を言ってよ」

「ううん、気にしないで。わかってるから……あなたが優しい人だって」


 こいつの俺に対する評価が、客観的なのかどうかはわからない。

 でも、こいつは俺のこと優しいと言ってくれる。


 ……そして、信じてくれたのだ。

 俺に、エリスに対する害意がないってことを。


 ああ、ほんと。

 こいつはよぉ……。


 馬鹿だけど、最高の嫁だぜ。


「あんがとな」

「うんっ!」


 さてっ……と。

 這いつくばりながら、木曽川が逃げようとする。


 その手に向かって、俺は銃弾を放つ。

 ずがんっ!


「いぎゃぁあああああああああああああああああああああああ!」


 おお、弾丸が命中してる。

 なるほどなぁ。


「スキル発動には、集中力がいるみてえだな」

「ひいぃい! ひぃいいい! たすけてぇえええええええ!」


 恐怖で喉をふるわせながら、助けをこう。

 誰に?


「まさかそこの女神様にかぁ……?」


 呆然と、女神が木曽川を見下ろしてる。


「ありえない……Fランクの勇者が……わ、わたしの……Sランク……最高傑作に、負けるなんて」

「ははっ! なんだ女神さまよぉお! 俺のこと覚えてるじゃあねえかよぉ!」


 忘れたとか抜かしていても、覚えていやがったんだ。


「残念だなぁ! てめえが手塩にかけて育てた最高傑作はよぉ! てめえが自らゴミだと思って捨てたやつに、あっさり敗北しちまったぜえ!」


 倒れてる木曽川に銃弾を何発も撃ち込む。


「ひぎゅ! ぎゃあああああ! いたいぃいいい! いたいよぉおおおおおお!」

「ぎゃはっはあ! ほらほら、女神さまよぉ! 助けてやれよぉ!」


 ぎり、と女神が歯がみしてる。

 俺は知っている。神は基本的に、人間に干渉ができないのだ。


 なぜ知ってるか?

 ジョン・スミス。俺に力を授けてくれた、同じく転生者の彼から、もらった知識にはいっていたからだ。


「ミサカ! ミサカ・アイ! どこにいるのです!!!!!!!!!!!」


 女神が叫ぶ。


「ミサカ・アイ! なぜ現れない!? わたしを守りなさい!!!!!!!!!!」


 同じくSランクの神坂みさかさんに助けを求めてやがった。


「ばーか、来ねえよ」

「なぜ!?」


「俺と手ぇ組んだからよ」

「なっ!?!?!?!?!?!?」


 なんだ、把握してなかったのか。


「俺の動向については、見張ってなかったようだなぁ。駄目だぜ、窮鼠猫を噛むってことわざしらねーのか?」

「くっ……!」


 こいつの敗因も、木曽川の馬鹿と一緒だ。

 弱いからと断じて、使い捨てた。侮った。


 慢心、それがこいつらの敗因。


「さぁて……木曽川くんのオシオキタイムはこれくらいにして……次は女神、あんたの番だぜ」


 だが、女神がふんっ、と鼻で笑う。


「ば、馬鹿ですかあなた? 神は、人間に干渉できない。でも、人間もまた神には干渉できないのですよ!!!!!!!!!!」


 女神が高らかに笑う。


「神を殺せるのは神だけ! 人間であるあなたでは! わたしに傷一つつけることはできない! そう! わたしは神だから!」


 あー……。

 うん、やっぱ馬鹿だったわこいつ。


「ありがとうな、馬鹿女神。あんたが、馬鹿でよ」


 俺は、この日のために、とっておいた……とっておきを出す。



 銃弾に力を込める。そして、馬鹿女神に放つ。

 ずがんっ! と。


「いぎゃぁあああああああああああああああああああああああ!」


 高いところにいた女神が、地面を這う。


「痛いぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」


 女神の肩から血が噴き出す。


「なんでどうしてぇえええええ!? わたしはぁああああああ! 神なのにぃいいいいいいいいいいいいいいいい!?」


 この後に及んで、こいつは自分が神だと思ってるらしい。

 おめでたいやつだ。


「おまえは、もう神じゃあない」

「はぁ!? 意味分からない!?」


「そうか。じゃあ端的に言ってやるよ」


 びしっ、と俺は神に言ってやる。


「おまえに【無】の力を付与した。てめえが、スキル無しだと馬鹿にしたこの力は、無のつくものにならなんでも進化できるスキルだったんだよ」


「無しのつく……スキル? まさか……!?」


「ああ、てめえに付与してやったさ。【無神論】をな」

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