182.敵地
サ=ドゥにはかなり早く到着できた。
神聖皇国が、小さな島国ということもあったからだろう。
東京都よりも規模が二回りくらい小さいみたいだからな。
そこに加えて、現代のバイクを魔法で改造したものにのって走っていたのだ。そりゃ、これくらいの早さで目的地へと到着できるってもんだ。
神聖皇国の皇都サ=ドゥ。
白亜の外壁に囲まれた、美しい街だ。
白いレンガで作られた町並みが、整然と並んでいる。
だが……どうにも嘘くさい。
作り物感があるというか。生活感のようなものをまるで感じられない。
街の……そう、ジオラマを見てるようだ。作ったばっかりのジオラマ。汚れも、傷も、建物の表面には一切無い。
……まあ、それは俺にはどうでもいいことだ。
俺たちはバイクを飛ばし、皇都サ=ドゥの中央にある、大聖堂へと向かう。
その間、誰ともすれ違わなかった。
妖刀曰く、人はいる、らしい。でも俺たちを襲ってこない。
それが解せない。
気持ち悪いほどあっさりと大聖堂へと到着した。
これもまたレンガ造りの、うそっくさい建物だった。
巨大な建造物。真っ白な壁と床。そして……ステンドグラス。
美術品のような、綺麗に整いすぎてる建物である。
「いくぞ」
俺たちはバイクを降りて、大聖堂の扉の前へとやってきた。
巨大すぎる扉に手をかける。
がちゃり……とこれまた拍子抜けするほど、あっさりと扉が開く。
……そこは、真っ白で何もない空間が広がっていた。
椅子はなく、祭壇もない。
そんな中で、二人の人物が横並びにたっていた。
「木曽川……それに、クソ女神!」




