150.意味
今後について話し合っている。
敵は一般人を使って、俺たちを殺そうとしてくるだろう。
俺は、勇者軍相手なら容赦なく力をふるえる……。
だが。
罪のない一般人を傷つけることはできない。
「任せて、ダーリン」
エリスが微笑みながら言う。
「私達がいますよ」
「エリス……」
「しろも、いる!」「マリンちゃんも忘れてほしくないなぁ~って思うですぅ」
……そうだった。
俺には、彼女らがいたな。
俺より弱い、彼女。でも弱いからこそ、できることもある。
たとえば、一般人を傷つけることなく、無力化するとか。
特にマリンの相手を眠らせる歌は使える。
「なので、一人で考え込まないでください。一緒に……巨悪と戦いましょう。ね?」
「エリス……」
……ったく。
こいつは普段、アホな言動しかしないくせによ。
こういうときだけ、ヒロイン力を発揮しやがってさ。
俺はエリスを抱き寄せる。
「ありがとな。エリス。シロも、ついでにマリンも」
「ついでって酷いですぅ~……」
女を旅に連れて行くことに意味があるのか、と思うときもあった。
けど、こうして精神的に支えてくれるし、役に立ってくれることもある。
だから、意味はあったんだよ。




