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148.やば国
俺たちを乗せた船は西へ向かっている。
西の果てにある、神聖皇国。そこに勇者軍の本拠地がある。
「神聖皇国ってのはどういうとこなんだ?」
船室にて。
俺は神坂さんに尋ねる。
「みんなが天導教会の教えを守ってる国だね」
……俺の腰掛けるベッド、その真横にぴったりくっつくように、神坂さんが座っている。
やだ怖い。
「その……天導ってのは?」
「唯一神、ノアール様の教えっていわれてるね」
「唯一神……あの女神じゃなくて?」
「それとは別の神様」
神ってそんなたくさんいるのか……。
しかし、同じ宗教を全員が信じてる国、か。やっかいだな。
神がこういった、とぬかせば、国民全員を操れるじゃねえか。
「這い寄る混沌の女神のやろうも、神の一柱なんだろ? ってことは……皇国の連中は女神の言いなりってこと?」
「全員ではないよ」
「そっか。なら安心だ」
「8割くらいかな」
ほぼ全員じゃねえか!
ちくしょう。神聖皇国、思った以上にやばいところだぞ……




