147.一番
俺らを載せた船は西へと向かっている。
「ぷー」
船室にて。
エリスが露骨に焼き餅を焼いていた。
「んだよ」
「ミサカさん美人ですなっ」
「……はぁ……」
めんどくさ……。
「あー! 今ダーリンが私のことめんどくさい女だって思いましたな!」
「よくわかったじゃないか」
「えへー♡ 以心伝心~~♡」
機嫌が悪くなったとおもったら、すぐに良くなっていた。
単純なやつめ。
しかし焼き餅か。こいつ、神坂のこと俺が好きだと思ってやがるな……。
「安心しろよ、エリス。俺の一番の女はおまえだよ」
神坂さんはまあ、確かに向こうの世界では憧れの存在だった。
でも彼女はこっちの世界に来て、なんか遠い存在になっちまった。
と、エリスに正直な感想を述べる。
「遠い存在?」
「ああ。なんつーか……正義マン?」
女だから正義ウーマンかも。
「とにかく……俺にとって一番はエリス、おまえだよ。安心しな」
エリスはふにゃっと笑うも、つんっ、とそっぽを向く。
「口ではなんとも言えますな」
「はぁ……」
ほんっとにめんどくせえ女だな。
まあそれでも、神坂さんよりは……な。
俺はエリスを抱き寄せて唇を重ねる。
エリスはうれしそうに目を細めて、身を委ねてきたのだった。




