134.規格外
俺の前に現れたのは、クラスメイトの神坂さんだ。
「だめでしょ、黒沢川くん! こんな酷いことしちゃ……!」
神坂さんは……空を飛んでいた。
いや、違う。空の上に、立っているんだ。
「うるせえ! 神坂! この裏切りもんがぁ!」
……裏切りもの?
どうなってる? 神坂さんも、勇者の敵ってことなのか……?
「松代くん! 生きてて良かった! けど……積もる話はあとでね」
神坂さんは剣を……鞘に戻した。
「わたしは人殺しはしないよ! 勇者だからね!」
「ふん! 舐めたまねしやがって! いけえ! 人間爆弾どもぉ!」
だっ……! と予備軍の連中がミサカさんに殺到する。
いかん。
「ふっ……!」
神坂さんは一呼吸入れると……。
トンッ……!
とその場から消えた。
ドサササササッ……!
「なにぃいいいいい!? 全員、気絶しただと!?」
黒沢川が驚くのも無理はない。
神坂さんが一瞬で予備軍どもの間をすり抜けたのだ。
その際に、全員に手刀をくらわせ、皆を気絶させていたのだ。
「松代くん! 解呪を!」
「え、ああ……」
「あ、そういえば一人ずつ触れないとなんだっけ」
また神坂さんがおともなく消えると、俺の隣に出現した。
ぴたり、と俺の左腕に触れる。
「これでスキル使って!」
「え、ああ。【無害】」
瞬間、スキルが目の前の予備軍だけじゃなくて、全体に広がった。
一気に呪いが解ける。
「よし!」
「どうなってるんだ!?」
と驚く黒沢川に、神坂さんがいう。
「わたし、触れてるもののパワーを底上げすることができるの!」
「聖武具の能力か?」
「ううん。わたしの素手の力!」
「素手!?」
「あれ、知らなかったの? わたしって……全身が聖武具になってるんだよ?」
「はぁ!? 全身が聖武具ぅううううううううう!?」
……確かに、神坂さんの体中から、すさまじい力を感じる。
勇者は一人につき一つしか、聖武具があたえられない。
けれど、彼女は違うようだ。
『すごいぞ、こいつ。右腕、左腕……など、体を構成するパーツがすべて聖武具となっている。こんな勇者は初めて見た……規格外だ……』
……妖刀が驚くのも無理はない。
俺だって……驚いてる。そうか、これが……最上級勇者の力ってことか。
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