129.ルール否定者
勇者軍の船に乗り込んだ、俺。
だが拍子抜けしてしまった。
「なんだ……雑魚ばっかじゃねえか……」
船に乗ってる連中は全員、現地人だった。
黒髪のやつらは一人たりともいない。
「雑魚とはなんだ! ……我ら勇者予備軍を!」
勇者予備軍……ね。
はは、なるほど。勇者じゃないが、やつらに加担する現地の連中ってことか。
「雑魚は雑魚だろ。おまえら……勇者じゃ無いんだろ?」
俺はにやりと笑ってみせる。
「怪我したくないんだったら、船から飛び降りな」
俺は別に現地人相手にいたぶって遊ぶきはまったくなかった。
俺のやりたいことは、復讐。
それと関係ないこいつらを相手に、何もする気もおきない。
しいていえば、俺の邪魔をするなってことくらいか。
「か、かかれぇ……! 人数で押しつぶせぇ!」
予備軍の連中が俺に向かって突撃してくる。
はぁ……やれやれ。
俺は忠告してやったんだな。
連中が俺に向かって攻撃してくる。
武器でつく、魔法で攻撃する、等。
だが……。
「悪いな」
俺の体は全く傷ついていない。
「俺は、この世界のルールからはみ出した存在なんだ。てめえらのルールじゃ……傷一つ、付けられねえよ」




