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117.悪夢



 ……俺は目を覚ます。

 そこは何もない奈落の底だった。


 なんでこんなとこにいるんだっけ……?

 ああ、そうだ。


 俺たちクラスメイトは、女神の手によって、この異世界へと連れてこられたんだった。


 そんで、スキル鑑定を行ったところ、俺にはスキルが無かったことが判明した。

 使えないと女神に判断された俺、最難関ダンジョンの奥底へと落とされてしまったんだ……。


「あ……」


 立ち上がろうとして、自分には足がないことに気づいた。

 そうだった。ダンジョンに落とされた際に、バケモノに襲われて、足を失ったんだった。


 こういうとき、物語の主人公なら、秘めたる力が覚醒して敵を倒しただろう。

 でも、そうならなかった。そうならなかったんだった……。


 結果、俺は死にかけた。命からがら魔物のもとから逃げ出したけれど、それだけだ。

 ここから脱出するだけの力が俺にはいない。ここで死ぬのを待つことしかできないんだった。


「…………」


 夢の中では、スキルのない俺に、【無】っていうスキルがあった。

 そして、綺麗な女三人を連れて旅をしていた。


 ……夢の中では。

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