108.みそ
108.
女達を満足させ翌日。
賢者の小屋にて。
「んふぉ~! うまいれふ~!」
雑魚がリビングで、俺の作った朝食を食べている。
「この鯖ミソってやつめっちゃうまーですぅ~!」
マリンが食ってるのは日本食だ。サバミソっつっても、使ってる魚はサバっぽい別の異世界魚だが。
でも味付けにつかってるミソは、俺が作ったモノである。
「この甘いタレはなんですぅ?」
「ミソ」
「聞いたことないですぅ。なんですぅ?」
「異世界の調味料だよ」
なんでそんなもんがあるのか?
答えは単純だ。妖刀の毒から生成したのである。
妖刀はあらゆる毒……つまり、化学物質を作り出すことができる。
化学物質、すなわち、調味料もだ。
よって妖刀からも調味料を作ることができたのである。
同じ理屈でしょう油を作ることもできる。
最近妖刀を戦闘で使わなくなったが(剣での近接より銃での戦闘のほうになれたからな)、こういう使い方もできるので捨てないで居る。
『くく……我を使って味噌を造るやつはおまえが初めてだよ。面白い男だよ全く』
妖刀はこんな使い方されてもどこか楽しそうだった。変わった剣だなほんと。
「旦那様はすごいですぅ。ベッドでも最強だし、お料理も最強だなんて!」
「と言っても、俺の料理は大賢者由来なんだよな」
俺がやったのは、大賢者の知識から、作り方を調べただけにすぎないのである。
「そーです! 料理を実際に作ったのは、このわたし! 第一夫人!」
エリスのアホはアホだけど料理がうまいのだ。
俺が大賢者から引き出した知識を元に、精度の高い日本料理を作り出せるほどにはな。
「まりんちゃんこのパーティ入ってよかったですぅ~♡」
ちなみにシロは無我夢中でご飯を食っていた。
お気に召してなによりだよ。
「でぇ、これからどうするんですうぅ?」
「神聖皇国を引き続き目指す」
ここから西の果てにある、神聖皇国。そこに勇者軍の本拠地がある。
俺を虐めていた勇者軍の一人、木曽川。
そして勇者軍たちに力を与えている女神……這い寄る混沌。
こいつらをぶっ倒しにいくのが、俺の目的である。




