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辞退させていただきますっ!!  作者: 若松だんご
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第5話 ヒロイン不在でええかな。

 冗談やないわ、まったく。


 なーにが“癒しの聖女”や、“ゲームのヒロイン”や。

 ふざけるのもたいがいにして欲しいわ。

 村を襲った洪水。みんなを助けたいと思う一心で目覚めた力。

 そして思い出した、“前世の記憶”。

 ここまでは、まあええわ。友だちとかみんなを救えたわけやし!? 文句もあらへん。村のみんなからも感謝されたし。悪い気はせえへん。

 けど。けどな。

 せやからって“聖女”になって、王都に行って、恋愛せないかんのは納得できへん。

 ハッキリ言って、イヤや。

 お断りやねん。

 だって。


 “聖女”って言葉はええけど、実際、やることは“社畜”なんやで?


 騎士団につき合わされて、昼夜関係なくワンオペ救護班やらされたり。王都に戻れば、癒しを求める人が次々と訪問してきたり。当然ながら、“無給”やし、“無休”やし。


 労基ムシのブラック企業。


 たまには、有給くれやと叫びたくなる労働環境なんやて。

 その上、“乙女ゲーム”やからと、恋愛対象者となっとる人たちに媚び売らなあかん。ちょっとした接待やな。

 ふつうさ、男の好みって決まってるやん。アクティブなスポーツ系が好きとか、物静かなほうが好きとか。それなのに、“わたし、みなさん全員好きです~”なんて顔して、みんなにへつらわなアカンのやで。

 本気で勘弁してほしいわ。

 そんなん、わたしの嫌いな“八方美人”ってヤツやん。趣味がお菓子作りって。どうみても媚びとるとしか思えへん。わたしが好きなんは、お菓子作りやのうて、普通にゴハン作ることやし。っていうか、庶民がそうホイホイとお菓子、作るか? ちょっとは頭つこて設定考えろや。

 でな。わたしがいっちゃん嫌いなのは、あの上から目線の恋愛ふっかけてくる連中や。


 “壁ドン”? “顎クイ”? “頭ポンポン”? “肩ズン”? “耳キュン”?


 そんなんで女の子が「キュンッ!!」ってなると思てんのかな。女、なめたらアカンで。

 勝手に人のパーソナルスペース入ってきて、上から見下ろしてきて、なにが「……黙れ」やねん。ヒクわ。耳元で囁かれたりなんてしたら、耳にサブイボ出そうやし、顎クイされたら、反動で股を蹴り飛ばしそうになるわ。

 ああいう手合いは、女を落とすと見せかけといて、落とそうとするイケメンな自分に酔ってるだけなんとちゃうか? 多分、どっかの物陰からカメラ回して撮影しとるで。知らんけど。

 ゲームとかで見てる分にはカッコようてええんやけどな、オレ様ってのは。現実におったらキショイだけやわ。

 それに王都へ行ったら、イロイロとめんどくさいやん。

 聖女ってゆうても、所詮は庶民。王侯貴族と恋愛することになると、ハードルもそれだけデカくなるし。どんだけ純度100%の恋愛かましても、周りは納得せえへんって。

 特に、あの王太子。確か、ジークハルト・ユリウス・フォン・エスターライヒとかいう、長ったらしい名前の王子さま。あれと恋愛を始めると、トコトンややこしいことになる。

 あれは、アデリシア・ヘルミーナ・リリエンタールとかいう、これまた長ったらしい名前の公爵令嬢と婚約してて、わたしとの恋愛が始まると、彼女が“悪役令嬢”化するんよな。

 彼女、王子を好きやから、邪魔なわたしを追い落とそうと、罠をしかけたり陥れたりする。

 行動としては健気。女として、気持ちがわからへんわけやない。

 けどな。

 靴に画びょう入れられたら正直痛いし、階段から突き落とされたら死ぬし。拉致られた時には、助けが来るってわかっとても怖いもんは怖い。

 わたし、王子になんか興味あらへんから、そんなことせんでもええって言ってあげたら、納得してくれるんかな。ホントのことやし。

 あんな、ちょ~~っとばかり顔がよくて、ちょ~~っとばかり背が高くて、ちょ~~っとばかり声がよくて、ちょ~~っとばかり身分があるだけの男なんて、わたし、興味ない。

 わたしの好み、真逆なんやもん。

 線の細い王子さまより、村のゴツいオッサンのほうが好み。

 顎、割れててもええし、あんなツルンツルンの顔、興味ない。ヒゲはないんか!? 第二次性徴しとるか? アンタ。

 声も、宮村 裕樹より、三谷 洋次郎とか中野 万夫とか、イケシブ低めボイスの方が好きやもん。バリトンっていうの!? 下から響くような声にこそ囁かれたいねん。 

 攻略対象にも、“スポーツ好きです”ってキャラが王子の従兄弟におったけど、そのレベルの筋肉じゃあトキメかないんよ、わたし。服着たらわからへんようになる程度の筋肉は、筋肉って言わへんのや。もっと隆々としとらなあかん。スポーツ筋と労働筋は似てるようで違うんや。(この辺は語ると長くなるので割愛しとく)

 気ぃつこて、チマチマナイフで切ってお肉食べるより、その辺で焼いただけの肉をガッツリ食べる方が好きやし。マナー知らんわけやないけど(ココ強調!!)、そういうの苦手やねん。

 せやから、王都に行くことになんの興味もない。

 行けば絶対面倒なことになるのはわかっとるから、聖女として行かんでもええように、ちょっとばかりウソついた。


 わたし、“聖女”やあらへんよ作戦。


 王都からわたしの力を確認しに来た神官さんたちの前で癒しをさせられたんやけど。ワザと、力を出さずに、「あれぇ? おかしいぞぉ? 力、のうなってしもた~」とウソをついた。

 あの災害の時に現れたのは、ほんの一過性のもんで、今は失われてる。そういう設定。

 村の人たちも、ヨボヨボジーサン薬師しかおらへんような村やから、わたしがおらんようになると困るってことで協力してくれた。

 あん時の力はまぐれやったんですわ~。おかしいな、治してもろたと思ったんやけど、痛みがぶり返してきたわ。ホンモノの聖女やなかったんやな~。

 ちょっとウソくさい演技もあったけど、目の前で聖女の力を確認できんかった神官たちは、“誤報”という扱いにして帰っていった。

 は~、やれやれ(ため息)。

 ということで、いくらヒロインや、聖女やと言われても、わたし、王都には行きません。

 物語が始まるとかそういうのもどうでもいいし。

 わたしがおらんほうが、王子と悪役さんもフツーに恋愛も出来るし、お互い、ウィンウィンなんやないの!? 知らんけど。

 ということで。

 ソフィ・フローニアは、聖女やありません。

 ゲームに似た世界やけど、ゲーム通りに生きなアカン理由もないので、このまま辞退させてもらいます。ほな。

 第五話です。

 関西弁です。一応、自分の話す関西弁を基準に書きましたが、自分、“三重弁”なので、おうてるかどうか……。

 あくまで“関西弁”風ということで。

 そしてまたもや出たよ、ヘンな声優ネーム(笑) 三谷 洋次郎=三宅健太さん、細谷和正さん、安元洋貴さん、津田健次郎さん、梅原裕一郎さん。 中野 万夫=中田譲治さん、前野智昭さん、銀河万丈さん、大塚明夫さんという皆さまのお名前をミックスさせていただきました。低いな。ダンディ。

 これからも、よろしくお願いいたしますm(__)m

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