最終話 僕は星空に願う
満開に咲くリコーフォス畑をゆっくり歩きながら、今でもあれが嘘であってほしいと願いたかった。昏有伯父さんから聞いた情報ではお父さんはアゲンロスの悪魔に体を奪われてしまっても、自我を保ち続け逃してくれたんだそう。
脱出をした昏有叔父さんたちが離れた後、すぐに虹のようなバラ流星群を発動させ、新星ノヴァセリニは崩壊。その前に、影神の姿がなかったから、もしかして助けにいってくれたのかなって、期待して待ち続けても影神との連絡も途絶えてしまった。
酷いよ、お父さん。僕と莉愛で約束したじゃんと夜空を眺める。お父様は僕の思いを受けお母様と一緒にお父さんを捜しに各プラネットを旅していた。
だけどいつもいなかったという顔をして、お母様はそろそろ死亡届を出す雰囲気まで出している。僕がもう少し大きかったら助けに行けたのかなと考えてしまうこともあるよ。
だってお父さんが終わらせてもう七年という年月が経ってしまったのだから。そばにはお父さんの相棒であった菊太が遠吠えをする。
「菊太、僕は間違っていなかったのかな。あの時の選択を変えておけばお父さんはここにいたのかもしれない。僕と莉愛に雪星と天愛の成長を見ながら菊太と一緒に仕事しているお父さんの姿が今も浮かび上がるよ」
「七星は間違ってねえよ。だってあの時はまだ七歳だっただろ。子供は安全な場所に避難させるのがベスト。それにしても昏斗のやつ、本当に馬鹿なのかって言いたいぐらいだよな。昏斗がいなくなった日にいつもバラ流星群が流れるからよ。あれを出せるのは昏斗しかいねえし、顔出せっていいたいぐらい」
「うん。あれはお父さんが発動させてるんだよね。だからみんなは諦められず、お父さんを探し続けてる。前に昏花叔母さんがお父さんを探すために捜索隊作ってもらってたんだよね。それがこの七年、捜索隊が増えてるって星叔父さんも言ってた」
本当にお父さんは何を考え僕らの前から消えてしまったのだろう。不思議でたまらないよとリコーフォス畑を歩いていたら、誰かとぶつかってしまった。
「すみません。お怪我はありませんか?」
「はい。あの誰にも言わないと約束できますか?」
「あっはい」
すっと渡されたのはある一通の手紙で受け取るとぶつかってしまった人は煙玉を取り出しそれで消えてしまう。なんだったんだと手紙の封を開け中にある手紙を取り出し、菊太も気になったのか人の姿となって一緒に読み始めた。
愛しいわが息子、七星へ
元気にしているかな?お父さんは今、各プラネットを行き来しながら旅をしている。だけど直接会えないから、こういう形で伝えなければならないことがあったからここに記す。
僕の名は北斗七星から昏斗という名は前に教えたことあったよね。由来の通り、僕は真神家の人間として役目を全て終了したと言っても過言ではない。アゲンロスを消滅させることが僕の役目でもあったからだ。
終了した僕はアゲンロスが復活しないようにと、毎年僕がいなくなった日にバラ流星群を発動させている。それによってアゲンロスの復活は免れると琥珀さんと真珠さんから得た情報だから。
あの悪魔に会ってるだなんてずるいよとちょっと嫉妬してしまうもその先も読む。
少し話は逸れてしまうけど、お母さんや美南たちが元気にしている姿は影ながら見ていたよ。でも相変わらず捜索隊を続けているから、そろそろ終止符を打たせてもらうよ。
てことはお父さんが戻ってくるのと喜びがありながら続きを読むとこういう内容だった。
影神が姿を現し僕が死したと報告してもらいに、お母さんたちの前に現れるから慰めてほしい。なぜなら僕の寿命がもうわずかなんだ。だから七星、一つ頼みたいことがある。
僕が死した時、影神が七星の前に現れるからバラ流星群を発動させてほしいんだ。きっと最初は辛い経験になるかもしれない。それでも全プラネットを守るにはこうするしかない。七星は僕の由来と同じ意味を示しているから、できるよね?
本当は莉愛と七星のところに帰りたかったよ。でもアゲンロスがそうさせないことは十分にわかってたからこうするしかなかった。寂しい思いをずっと持たせて、約束を破ってしまってごめん。
莉耶と美南、それから莉愛と雪星に天愛にあるものを贈って、七星は何がいいかなって考えて、これを贈ります。七星は僕の性格に似てるからね。
それじゃあ七星、みんなのこと頼むよ。愛してる。 お父さんより
「なんで…なんでよ!お父さん!」
僕は思わず夜空に向かって叫んでみるも、前みたいに星は答えてくれず菊太も犬に戻って何度も遠吠えをした。影神が現れる時に絶対にみんなにばらすんだからと僕はペンダントを使ってワープし帰宅する。
「七星、おかえ…り。何があったの?」
「なんでもない」
「でもなんかおかしいよ。何があったのか教えてよ!」
莉愛に掴まれて莉愛に言いたいと思っていたら、宅急便ですと言われ出てみると赤いバラが九百九十九本の花束。これがお母様たちにあげるもの。
「あのサインくれますか?」
「それいらないです」
「ちょっと、すみません。私がサイン」
「いらないって言ってんだよ!持って帰ってください」
花屋を困らせる僕は莉愛にビンタされごめんなさいと莉愛が勝手にサインをしてその花束を受け取ってしまった。玄関を閉める莉愛でお母様のところへ持ってってしまう。
お父さん、どうしてよと手紙をくしゃくしゃにすると、何か入っているのがわかりくしゃくしゃにしたのを戻して封を確認する。そこに入っていたのは星の形の間に丸い球体のペンダントだった。
冥王星のペンダントに似てると僕はその球体に触れるとバラ園らしい場所に到着する。菊太を置いてきちゃったと思いつつもバラを眺めながら、歩いていたら影神の声が聞こえた。
「七星坊っちゃん」
「影神…ここはなんなの?」
「北斗七星の三番目にあるお星様のプラネットというべきでしょうか。坊っちゃんがお待ちです。こちらへ」
お父さんと会えるんだと半分怒りがあいつつも、僕は影神についていった。
⁑
アゲンロスが背中に入ることはわかっていたことで、昏花以外の昏有兄さんたちに実は伝えてあったことがあった。昏花は絶対に救うと巻き込んじゃいそうだったし、真神家がどういったものなのか既に昏有兄さんたちは把握してたらしい。
だからすんなり受け入れてくれて、昏花を説得してもらっている間にアゲンロスを入れた僕は急いでドームへと急いだ。逃げても無駄じゃとキャッキャッと笑うアゲンロスでも、動けるうちに行かなくちゃとドームへつきあの部屋へといく。
行ってみると影神が七つのバラを揃えており、体内にいるアゲンロスが何をする気じゃと言い出したものでこう伝えた。
「星音、争いを起こすこと自体間違ってるんだよ。もう二度と同じことが起きないようにするためだ。大丈夫、僕もそっちに行ってあげるから待ってて」
嫌じゃと一瞬星音に奪われそうになっても七つのバラに血を流して、影神も脱出するかと思ったが僕を支える。
「坊っちゃんを一人にはさせませんよ」
「ありがとう、影神」
新しい装置に一本ずつ差し込むと七つの光が出来上がる。僕は目を閉じながら手を前に出し装置に向かって願いを告ぐ。
「真の神に昏の星にて、花の力より郡じ流れよ!」
目を開けるとバラの花びらが空へと舞い流星群のように流れ始めた。この世界を包み崩壊する時間帯は約七時間程度。どうか、みんなが無事で帰還してくれることを願ってと崩壊していくまで僕は影神に支えてもらい、力をついた僕は眠りについた。
そして目を覚ますとバラがたくさんある場所で目を覚ましても、立てないことがはっきりし鏡をみると白髪になっていたな。車椅子生活を送りながら、琥珀さんと真珠さんに情報をもらいつつこのプラネットで過ごしてもう七年が経つ。
冥王星のペンダントで影神にあちこち連れてってもらったけど、みんないい笑顔で過ごしていることに喜びを感じた。
僕の夢は叶わなかったけどこれでよかったんだと車椅子に乗ってバラに水をあげていたら、坊っちゃんお連れしましたと影神の声に僕はそちらに目をやる。
「七星」
「馬鹿お父さん」
「おいで」
気持ちが溢れ出す七星は僕に抱きついて、生きてたと呟きホースを影神に渡す。
「帰ってきてよ、お父さん」
「それはできない。僕には時間がっ」
手で口元を押さえ咳き込み、手をみると血が出ていた。影神が綺麗にハンカチで拭いてくれる。
「お父さん、いいお医者さん見つけるから一緒に帰ろう。莉愛やお母様たちに菊太だって待ってる。お願いだから帰ってきてよ。まだお父さんにいろんな星教えてもらってない!」
「ごめん…それは」
「こら。もういい加減、帰ってあげなよ。頑固昏斗。まさか真神家以外、入れさせないようにするの。って言っても、みんなの顔を見るのが辛くなったから私、連れて来ちゃったよ」
昏花嘘でしょとそちらに目をやったらこの馬鹿と莉耶と美南が飛びついてきて車椅子が落下してしまう。それに菊太が耳を甘噛みしてきて、やめてと振り払うも今度は海さんからのこしょこしょがきて笑ってしまった。
「しんきくせいことしてんじゃねえよ」
「やっやめて海さん。これ以上は」
しばらく海さんからのこしょこしょが止まらなくて、その辺にと影神が怒りだし一度影神に抱っこされる僕。車椅子を立て直す甘ちゃんにお礼を言いつつ座った。
「全て昏花ちゃんから聞いたよ。大事なことは私たちに言わないだなんてひどいよ」
「ごめん」
「これ以上、莉耶を悲しませたら天罰与えるから覚悟しておけ」
「はい、覚悟しておきます、天満」
蝕夜と星は無表情でやっぱり消えたこと怒ってるよねと覚悟をしてたらアルバムをくれる。
「義弟昏斗がいない間、僕たちは子供たちの成長記録を撮っていた」
「これからは子供達が悲しむことはしないようにな。それができなければ食す」
「ありがとう、二人とも」
今度は五神の神たちがきて、だばーと泣く水神潤で、本当に良かったと言ってくれて、火神炎悟はもう勝手に行かせへんと涙ぐむ。地神千歳は僕の肩を叩き風神つむじは僕の両頬をつねってこれ以上兄さんを悲しませんなと叱られてしまった。
空神飛羽はよかったよかったとうなずいている。
「あれ昏花、兄さんが来なかった理由って」
「え?それはお兄ちゃん、昏斗愛がやばいってお姉ちゃんから聞いてたからお兄ちゃんには伝えてなかったんだよね。仕事ほったらかしにする癖があるからって」
だからこの七年間、兄さんと会わなかったのかと理解したことで兄さんの声が聞こえこれはあかんと五神の神たちが止めに入っているところをみんなが笑う。
「お父さん」
「雪星、寂しい想いさせてごめんね」
「ううん。だってお星様が教えてくれてたから。お父さんはちゃんと生きてる。ちゃんと会えるよってお星様が言ってくれてたから寂しくなかったよ」
「そっか。雪星もそんな力がもう芽生え始めてたんだね。莉愛」
莉愛が近づいて手の甲で涙を拭い車椅子を移動させおいでとやると莉愛が抱きつき優しく触れる。
「お父さんっ」
「心配かけちゃったね。もうお父さんはどこにも行かないって約束する。でもあまりここから出たくないんだ。他のプラネットに行くと発作が出て、二、三日起きないケースもある。だから僕は死んだことにしておけばいいって思ってしまったことが間違いだったようだね」
「そうっなの?」
「はい、莉愛お嬢様。皆様もこちらへ。坊っちゃんは少し横になりましょう」
そうだねと莉愛が一度離れてもらい莉耶が車椅子を押してくれて、ベッドに横たわり影神がみんなに説明をしている間、僕は一眠りした。
これは美南の歌声だと目をゆっくりあけると、僕のベッドに座る莉耶が僕の手を握りみんなは星音の歌を聴いていた。すでに夜になり、僕はもう一つの手で星を掴むように握る。
「昏斗」
「莉耶、ここにいてくれる?」
「何を言い出すんだか。子供たちもそれがいいってここに住むことにしたよ。これからもこの先も私たちは共に歩もう」
「ありがとう、莉耶…。僕ね…」
昏斗?昏斗と莉耶が僕を呼んでいて美南が歌うのをやめこちらにくる。影神が坊っちゃんしっかりと言っていて、みんなも頑張れって言ってくれた。
僕は幸せ者だったなと笑顔を作り、ゆっくり目を閉じるとそこにはアリスたちがいる。
「昏斗、本当に俺様たちと一緒に歩む気かよ」
「そうだよ、昏斗くん。私たちは悪魔でもあったから、あの世にはいけない」
「そうだ。昏斗は皆のヒーローでもあるんだぞ。まだ希望は残されてる」
「いいんだよ。それに星音、ほら僕が来たんだからそんなに拗ねないの」
アリスたちが住んでたらしい場所の片隅に悪魔の姿でいる堕天使アゲンロスは悔しそうにしていた。
「わしゃはもっとみていたかったのじゃ。それなのにっそれなのにっ」
「本当に諦め悪くない?あの悪魔。俺様が叱ったらビービー泣いちゃってさ」
「仕方ないでしょ?せっかく手に入れた体を取り返しちゃったんだもん。私が作ってあげるって言ってもあの状態なの」
「話を聞こうとも聞けない状態でな。結構悔やんでいるとわかるが何百年も生き封印されたんだ」
本当は天満に伝えようか迷ったけど、三人の気持ちが固いから言わなかったんだよね。だから僕はこの道を歩むよと僕も諦めなかったこと。それは和平を結びみんなが喜び楽しむプラネットにするためだから一人にはさせたくない。
星音に手を差し伸べてみると子供のようにヒクヒクして震えた手で僕の手を掴む。
「昏斗っわしゃは」
「一人にしないよ。だって僕は星音と友達になりたいからきた」
「怖くないのか?」
「んー少しあるかな。でも僕には数え切れないほどの人たちに見守られてるから安心していけるし、ほら僕の古き友人であるアリスたちもいるんだもん。怖くないよ」
星音が立ち上がってアリスたちをみて、行こっかとクロノスが作った車に乗り出発した。
僕は星空に願うよ。
これから先もずっとみんなが笑って楽しんで喜べる世界になることを願い続けます。
プラネットコード(改訂版)を最後までお読みいただきありがとうございます。この作品は宇宙が好きで、もし行けるならこういう感じかなという形で作らせていただきました。仮に宇宙に行けたら木星に行ってみたいですね。
花言葉もちらほらと出してみましたが、書いていくうちにたまには誰かに花を贈りたいなと思っちゃいます。
私は黄昏の時間が好きで、主人公の名前や兄弟にもその名を与えました。
そんな感じでプラネットコードを楽しんでいただけたら幸いです。
では次作、シゴノセカイでお会いしましょう。




