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プラネットコード(改訂版)  作者: 福乃 吹風
21/78

20僕は賭、私は喜

 琥珀さんと真珠さんが戻り、僕に一冊のファイルを受け取ると、海さんは先へと帰ってろと指示が出た。教えてくれるんじゃなかったんすかと思いつつもあまりここにはいたくなかったから退散する。車は置いといたほうがいいかと僕の愛用バイクでプラネットコード社に帰った。

 多分だけど代金を払うためにあの二人と一晩寝るとかだったらと想像するだけで顔が赤くなってそうだ。


 プラネットコード社へと到着し菊太と一緒に歩いていると莉耶が僕を見つけてとても慌ててる様子でこっちに来る。僕と海さんがいなかった間に何かが起きたのかな。


「大変!甘ちゃんがいなくなっちゃった」

「本当に?」

「目を離した隙にいなくなっちゃって、それで桜庭課長が地下へと行っちゃったの」

「とにかく地下へ急ごう。さっき海さんから多少聞いた。きっとC街へと向かったと思う」


 急ごうと菊太を使って地下へと行くため、変装をし地下通路へと向かう。よりによって甘ちゃんが行方不明になると一番厄介になりそうだ。もしかするとすでにディアヴォロスかそれとも父親に奪われたかのどちらか。それかテオスパーティーに参加するとかじゃないよね。

 一刻も早く見つけ出さなきゃと地下に行くマンホールにつき下水道を通って行き、桜庭課長の匂いを辿ってもらいながらC街へ到着した。地上も凄かったけど地下も凄い豪華な街だ。

 

 菊太頼りに歩いていたらサングラスに黒のスーツを着た人たちがちらほらと見かける。なんだこの人たちと通り抜けながら探していると桜庭課長ではなく、宝郷支部長がいらっしゃった。


「宝郷支部長」

「やあ昏斗、莉耶、菊太。ちょうど君たちを呼びに行こうと思っていたところだよ。おっと気づかれるから僕ちんの後ろに隠れて」


 誰かが出てくるみたいで言われるがままに僕らは宝郷支部長の後ろに隠れると、誰かを投げ捨てたようで二度と来るなと怒鳴られながら扉が閉まる音がする。

 誰を投げたんだろうかと様子を伺っているときっちりとしたスーツを着ている桜庭課長だった。行こうとすると本郷支部長に止められる。


「あの様子じゃまた乗り込むよ。C街には金神財閥が経営している店が多くある。片っ端らから甘露がいるか確認するつもりだよ」

「止めないんですか?」

「止めてもスイッチが入ってしまったらどうにもできない。僕ちんは地上に戻って海に連絡してくるからそれまで見張っててもらえる?」


 分かりましたと伝えたら宝郷支部長は地上へと戻られ、僕たちは桜庭課長に見つからないように尾行をしていく。

 転々と店に行くも甘露がいないらしく追い出される桜庭課長でもう眼鏡がボロボロ状態になっていた。そろそろ止めたほうが良さそうだなと見ていたら坊っちゃんと聞こえ振り向くと影神がいたのだ。出てくるの早くないかと思いながら情報をもらう。


「どうだった?」

「坊っちゃんが思った通り、動き始めました」

「やっぱりそうだったんだ。ありがとう、影神。また連絡する」


 御意と影神は姿を消しどういうことと莉耶に聞かれたから、桜庭課長の行動を見つつ小声で教える。


「甘ちゃんは元々ネオリオ人だからテオスパーティーに呼んでも意味がなかったから排除されていた。それに僕が神舞踏会へと紛れてしまった時、甘ちゃんも入れたのはネオリオ人の力があったからなんだ」

「だけど甘ちゃんにはコードがついてた」

「あれは付けた人間しか剥がせないシール。きっと捕食人間と見せるために父親かそれとも里親がやったことだ」

「てことは昏斗もってこと?」


 頷くと莉耶はそっかと落ち込んでおり、ごめんと謝る前にまたまた桜庭課長が店から追い出されていた。相当な傷を負ってそろそろ限界だろう。

 影神が入手した情報は桜庭課長にも伝えたいから、表に出ようと表に出て桜庭課長に手を貸す。


「桜庭課長、帰りましょう」

「昏斗、僕はまだっ帰れない」


 桜庭課長が自分の力で立ち上がろうとも立ち上がれず、僕の力で立ち上がらせて本当のことを伝えた。


「ボロボロになって探しても甘ちゃんはここにいないですよ」

「どうして言い切れる?」

「ここではまずいです。とにかく戻ってから話しますから」


 桜庭課長を支えながら僕たちも戻っていると下水道で海さんがやって来てくれて力を貸してくれる。


「何してんだよ」

「ごめん、海」


 一晩は琥珀さんと真珠さんといるつもりだったらしい海さんでも、駆けつけてくれるだなんてね。

 プラネットコード社に戻り手当てをしてもらった桜庭課長が第七捜査課室へと戻ってきて僕の前に来た。


「さっきの件話してくれるかい?」

「はい。ミーティング室で話しましょう」


 ミーティング室に入り、室内を暗めにしてモニターを出しながら説明していく。


「甘ちゃんが行方不明になった原因は、アステル幹部にいる水神潤という男が甘ちゃんを誘惑し連れ去った模様です。これが防犯カメラの映像に映っている二人」


 さっき送ってくれた映像をそのまま見せると桜庭課長がネオリオ社に突撃しに行きそうで海さんが止めに入る。


「まだ話は終わってねえ」


 海さんがそう言うと桜庭課長は席に戻って続きをと言われたからそのまま話を続ける。


「プラネットコード社にいながらもなぜ水神潤と接触できたのは甘ちゃんに送られてきたメールが関係していました」


 甘ちゃんのメールをハッキングさせてもらったもので、その一部を見せると許さないと桜庭課長が今からでも怒りが爆発しそうな勢いだ。

 そりゃあそうだ。この内容を見てしまえば誰だって行く。僕もこの内容を送られて来たら行ってしまいそうだ。


 桜庭昴をディアヴォロスに食されたくなければ、直ちに本家に戻って来なさい。抵抗したらそれ以上の仲間をディアヴォロスに手渡す。良いな。


「その内容を確認した甘ちゃんは誰にも言わず、机には無限拳銃とスマートウォッチを置いて行ってしまったんだと思います」

「本家はどこにある?」

「影神の情報ですとネオリオ街ではなくディアヴォロスが住むカジノ街の南東部に本家があるらしいです。ですが警備が硬く誰一人も侵入させたことがないそうで、それに相手はディアヴォロスと手を組み裏売買を行っていると分かりました」


 本家に行ったとしても甘ちゃんに会えるわけではなさそうだけど、僕が金神のところに行けば甘ちゃんに会える可能性は低くとも高い。


「そこで僕一人で金神の家に侵入してみようと思います。僕は一応ネオリオ人でもあるし、兄のことで聞きたいと言えば家に上がらせてくれるかもしれない」

「わかった。それならこれを持っててくれ」


 ただのペンだとしても盗聴器かとそれを受け取り、影神に頼んで日程を決めてもらうことにした。


 影神に連絡を取ってから数時間後、金神が家に招待してくれるらしく、僕は失礼のないようにスーツを買いに出かけた。この前星音がくれたのはカジュアルすぎるし、ちゃんとしたスーツ一着は持っていなかったから丁度いいかもしれない。

 自分でも買えるようなスーツ店へと到着し、中に入って色々と品を見ていく。どの色が似合うか莉耶を連れてくればよかったと見ていたら、星音が入って来たのだ。仕事ではなさそうだしプライベートの格好だ。


「あれれ?通り掛かったら昏斗がいたからびっくりしちゃった。何見てたの?」

「今度会食があってね。それで失礼のないようにスーツを買いに来てたんだ。星音は買い物?」

「うん。お母様に頼まれてボードゲーム屋に行こうと思ってたの。ちょっと早いんだけど流彗の誕生日プレゼントを買いにね。金星アプロディロのほうが結構いい品揃ってるからついでに買って来てってたから」


 そうなんだと後々星河会長から連絡が来そうでも、星音が一緒にスーツ選びを手伝ってくれる。以前のように僕は試着室で星音が選んだスーツを何着も試着していき、しっくりするスーツを買った。

 

「わざわざ付き合ってくれてありがとう」

「いいよ」

「ならさ、僕の甥でもある流彗くんの誕生日プレゼント選び手伝わせて。ついでだから僕からのプレゼント用意したいから」

「本当に?流彗喜ぶと思う。あっ車出すね」


 星音は嬉しそうに車を呼びそれに乗って星音が言っていたボードゲーム屋へと向かう。姉さんの子供だからどんなおもちゃが喜ぶのか想像しやすいけど、あの星河会長の息子でもあるからどっちを優先すべきか迷いどころだ。

 ボードゲームはいろんなゲームがあるし、好みのゲームもあるだろう。


「ねえ昏斗。実際にボードゲーム屋で遊べるから一回勝負してみない?」

「いいけどなんの勝負するの?」

「チェッカー。私が勝ったら一つ願い事を叶えて。昏斗が勝ったら昏斗の願い事一つ叶えてあげる。どうかな?」


 チェッカー。テオスパーティーもチェッカー形式があるし、今度開かれるのはチェッカー形式。これは練習にいいかもとやろうと伝えた。

 ボードゲーム屋に到着した僕らは店内に入ると凄い数のボードゲームが売られておりちなみにいくらと値段を見るとそこそこの値段。まあこれくらいの値段ならいいかとチェッカーがある場所へと案内してくれた。

 

 え?これなのと思わず驚愕してしまうほどだった。右側にはタッチパネルがあり自分の駒は見えるも相手の駒が見えない。相手の駒がわからなければ駒を動かせないよ。


「びっくりでしょ?」

「相手の駒が見えない」

「ディアヴォロス形式は一般のチェッカーより違うの。相手の駒を取り合うゲームだけど、ディアヴォロス形式のチェッカーは挟まれたら戦うゲーム」

「戦う?」

「実際にやってみればわかるよ。そうだ。これ初心者向けのやり方」


 説明書を受け取ってそれを見ながら星音とやってみることにした。


 属性と言えばいいのだろうか。駒の色が四種類あり赤、青、緑、黄色があって三つずつある。説明書では、赤は炎、青は水、緑は風、黄色は雷を示しているらしい。相手に挟まれた一人がその二人と勝負し勝ったら相手側の駒のどちらかに進められる。ただし負けた場合は相手側に取られてしまうそうだ。


 まず最初にどれを動かそうか迷うし先手を打つ星音は、余裕な顔で駒を動かす仕草をする。斜めにしか動けないから左斜めか右斜めか迷うな。じゃあまずは青の駒を左斜めに動かしてみた。

 相手の顔を見ながらぶつかり合うまでやっていくとタッチパネルが挟まれたマークが現れ画面が切り替わる。一分以内に二つの駒から逃げ、左斜めか右後ろ斜めのどちらかに逃げればいいらしい。ただ迷路になっているから一分以内に逃げきれるかが重要となる。


 チェッカー+鬼ごっこじゃんと思いながらも駒を動かしながらやっていくも、星音の駒に見つかってしまい反対方向へと逃げていくも行き止まりとなって敗北マークが出た。

 これは難易度のゲームで、これを実現してテオスパーティーが開かれているって言うことでいいのか。それに属性の意味は逃げている際に攻撃してくる属性。どう言う意図でその力を出せるのかはわからないけど、隠れ鬼ごっこの方がマシだ。


 結局、僕はチェッカーで負けてしまい、星音は子供のようにやったとはしゃぐ。これを身につけてないとチェッカー形式で全員を救えるのは不可能だ。



「負けたよ。それで星音、願い事って何かな?」

「付き合ってほしい」

「どこに?」


 僕が問うと数秒なぜか星音は固まってしまい手を振ってみると、はっと我に返ったように星音は頬が赤くなりこう僕に告げる。


「ほら金星アプロディロでは大きな遊園地があるでしょ?ちょうど流彗が昏斗と遊びに行きたいって言ってたの。お母様もたまにはリフレッシュしたいだろうからお願いできる?」

「それならもちろんいいよ。叔父として甥っ子の面倒を見るのは当たり前のようだし、姉さんもたまには一人でゆっくり休みたいだろうから」

「よかった。じゃあ日程は後で連絡するね。あっ!忘れてた。私、これから仕事だったの。もしここで流彗の誕プレ買うならここの住所に郵送してもらうよう伝えてね。バイバイ」


 星音は荷物を持って仕事のため行ってしまわれ、僕は流彗くんの誕プレを買い星音がくれた住所に送ってもらうことにした。



 クレヴィー社にある昏斗捜索隊部でくつろぎファッション雑誌を見ながら、さっきのことを振り返ってしまう。

 さっき出会した水神潤はお兄ちゃんこと昏有が認めた人物で、アステル幹部の一人であり水神雫の兄でもある。なんの調査で金星アプロディロに来ているのかは知らないけど、水星ヘルスミエが平和をもたらしてすぐにアステル幹部に昏斗が捕まりそうだったと言っていた。


 私が首に下げているこの冥王星と一緒のを持っていることで、危険を察知したときに自動的に蝕夜がワープしてしまうんだそう。それにこれには意味があって例え離れていても蝕夜の目にもなるらしい。

 最初聞いた時はゾッとして投げ捨てそうになっても、蝕夜の偉大な力を見てしまえば持っていてもいいかなと最近思うようになった。


 昏斗、今頃何してるのかなとペラッとめくったら何これと嫉妬してしまうほどのドアップ写真で燃やしたくなるぐらい。そこに写っていたのは紛れもなく昏斗と星音ちゃんが楽しんでいる姿だった。私にしか見せていなかった秘密の笑顔を散け出すだなんてとその内容を見る。


 ネオリオ人でありながらもプラネットコード社で働いている真神昏斗さんは、水星ヘルスミエで困っていた女優の星河星音さんを助けた。それ以降、二人はお互い会うようになり、次第には惹かれあっている模様。二人ともネオリオ人であることが判明し、お似合いのカップルとも言える。二人の未来が楽しみだ……。


 こんな記事書いたの誰ですか?と問いただしたいぐらい怒りが収まらずファッション雑誌をビリビリに破く。私は妹だし文句は言えないけど、みんなが思っている星音ちゃんじゃない顔を見てしまったから昏斗を手放したくない。

 早く昏斗を捜したいけど、星音ちゃんはいつでも昏斗と接触できてしまう。今頃もどこかで会っているんだろうな思うとむしゃくしゃしてきた。


「昏花、どうしたの?雑誌なんて破いて」

「ごめんなさい、せっかく貸してくれた雑誌破いてしまって」

「いいのよ。星音にやきもち焼いてるんでしょ?」

「そうじゃなくてもない。だって星音ちゃんはいつでも昏斗に会える。私が必死に探しているの知ってるくせに、いざ星音ちゃんの後をついていっても、星音ちゃんのSPに邪魔されちゃって見失うんだもん」


 私は貸してくれたファッション雑誌の欠片を掻き集めながら茜さんに愚痴っていると鈴哉さんが部屋に入ってくる。鈴哉さんも星河会長のSPをしているから昏斗に会ってるんだろうな。そう思うと余計に腹が立って鈴哉さんに紙屑をばら撒いた。


「もう、拗ねないの」

「悔しい。このまますれ違いたくない。盗撮したっぽいこの写真をくれても、私は満たされないよ。昏斗に会いたい。一目でもいいからそろそろ会わせてよ」


 蝕夜が昏斗と接触していたのも本人から聞いたし、どうして会わせてくれないのか聞いても蝕夜は誤魔化す。一体私と昏斗が何をしたって言うの。それが聞きたい。

 二人に打ち明けていると八雲くんが入ってきて、あるチラシを私にくれた。


「だったらさ、変装して会いに行けば?流彗が金星アプロディロにある遊園地に一緒に行こうって誘われてる。そこに昏斗も来るらしい」

「本当に?」

「ただ何かが引っかかる。なぜそうなったのか知らないけど、遊ぶ日に何かが起きるのは確かだ。今、プラネットコード社で行方不明になっている瓜畑甘露が関係しているかもしれないけどね」

「さすがは八雲ね。たまにはいいこと言うじゃない。行く価値はあるんじゃないかしら?」


 もし会えるなら会いたいけど、蝕夜はなんて言うのかな。それでも抑えきれないこの気持ちがあるから蝕夜に相談してもいいかもしれない。


「行きたい。その前に蝕夜と相談して、駄目って言われたら諦めて違う方法で探す」


 三人が頷いてくれて私は喜びが隠せないまま早速蝕夜がいるところへと向かった。

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