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近づくとこわいもの
――綺麗なものを見せてあげる。
そう言われて連れていってもらった先は、あるガレージだった。
手を引いてくれたその人がそのガレージの扉を開いて、目に映った光景は確かに綺麗なものだった。
赤、黄、緑、青、紫。明るく、コントラストの強い、煌びやかな色合いで彩られたその空間は、本当に綺麗だと思った。
ただ、そう思えたのは一瞬だけだった。
「……っ」
思わず出かけた悲鳴を飲み込む。
その極彩色は何が作っているのか。それを理解してしまったからだ。
そこに並んでいたのが、蝶や蜂、蝉などの昆虫の標本だとわかってしまえば、評価が反転してしまうのも当然だろう。
遠くからだけ見ていれば綺麗なだけで済むけれど、詳細がわかれば怖気が走るだけだ。
近づきたくないと、そう思って一歩下がる。
けれど、その人はこちらの手を握って放さなかった。
お題:昆虫、紫、ガレージ




