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辛い作業中についやってしまう現実逃避


 冬の冷たい空気に触れながら見上げる空は、いつものように煙突から出る煙で曇っていた。

 ……また厳しい季節が巡ってきたなぁ。

 季節は巡るものであり、その移り変わりを体感するということは、一年という月日を無事に生き延びたという事実を意味している。

 ……いや、それを悪いと言うつもりは毛頭ないんだが。

 しかし、季節が変わって冬が来ることを喜ばしいと思うかどうかはまた別の話なのだ。

 生きているということはただそれだけで素晴らしいことである。それは間違いない。

 けれど、生きていくための糧を得るには労働が必須であるし、その労働というのは辛さの塊である。楽しさが伴うことなど無いとは言わないものの、基本的には苦労することばかりなのだから、当然と言えば当然の話であった。

 ……要は誰が好き好んで苦労をしたがるんだって話さ。

 苦行に快楽を見出すマゾヒストならともかく、生き物というのは楽が出来るなら楽がしたいと思うものが大半だ。それは人間だとか動物だとか、そんな括りで分けられるものじゃない。性分というやつなのだからどうしようもないことだ。

 だから、自分より楽をしているやつが居ると知っているのならばそうなりたいと思うことも当然であり――それが叶わないというのであれば、せめて快適な場所で楽な仕事がいいと思うわけである。

 とは言え、現実というのは厳しいものだ。だいたい思った通りになっていない。

 生きるために落ち着いた仕事場で割り振られたのは外回りの類で、ちょっとした作業を頼まれることも日常茶飯事だ。

 冬場の寒い時期に外で作業とか、やりたくないことランキングがあれば間違いなく上位に入っていることだろうに、それをやらなければならない羽目になっているわけである。

 ゆえにこう思うわけだ。ああ、親か自分がご大臣様であれば働かずに済んだのにと。

 ……無いものをねだっても仕方ないけどな。

 そう思ったところで、

「いつまで休んでんだ。早く作業に戻れ」

 上司に見つかってしまってそんな言葉が聞こえてきた。

 ……楽しい楽しい妄想タイムは終了のようだ。

 是非もなし。

 へーい、と自分でも気が抜けた返事をしてから、大人しく割り当てられた作業に戻ることにした。

 



お題:冬、大臣、煙突

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