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折り合いのつけ方
絵を描くことが好きだった。だから、画家として生きたいと思ったこともあった。
しかし、何事もやる気があれば何とかなるというわけではない。それが困難な目標であればあるほどに、才能と環境、そして機会が揃わなければ達成できないものである。
私に欠けていたもので、おそらく致命的だったのは、才能の無さだっただろう。
「これは茸?」
「いや、猫のつもりなんだけど」
「あぁ、油を舐めてる化け猫か」
「いやそれはただの毛玉」
「マジか」
おまえマジか、という顔でこちらを見る同級生には返す言葉もない。
そのまま黙って作業を続けていると、その同級生は戸惑った様子を隠さず聞いてくる。
「……それでも書くのか」
「ああ、もちろんさ。いい暇つぶしだからね。それに、こうして話のネタにはなる」
「そこまで開き直ってるのはすげえな。……なぁ、ほかにどんなの書いてるのか見せてくれよ」
「いいよ」
それでも好きなことを楽しめる環境があるだけいいことだ、とそう思う。
たとえそれが望んでいたものとは違って、笑いものにされることでしかなかったとしても。
誰にも見てもらえないよりも、蔑まれるだけよりもマシなのだから。
お題:茸、画家、油




