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休憩という名のサボり


 ……上役の目を盗む形で飲むコーヒーほど、うまいものはないよなぁ。

 生活のために薄給激務で毎日仕事に勤しんでいるわけだけれど、人間には魔が差すときってのが必ずある。むしろ忙しくて仕方が無いときほどそういう気分になるものだろう。そんなことをしている暇など無いとわかっているのに、である。

 なぜかって? 理由はいろいろと思いつくけれど、わかりやすいものをあげるならただひとつ。

 他人を出し抜いてるような感覚がたまらない快感だから、である。

 人間とは他者より優位にあるということを実感できるものこそを好むものだ。娯楽とは常に、今の自分より下だと思えるものを探す行為に他ならない。

 そしてそうであるならば、人間の多くがサボり癖を持っているのは至極当然のことだろう。

 だって、他人が働いているのに自分は楽をしているという状況は、他人との差を――自分が得をしているという状況をわかりやすく実感できるもののひとつであるからだ。

 とは言え、自分だけが得をする状況というのは続かないものである。もっと言えば、だいたいの場合において得だけをして終わるということはない。

 ……言うて、サボったって自分の仕事が無くなるわけじゃないからな。

 サボりのツケはだいたい自分に返ってくる。バレれば文句を言われるし、ほかの人に振れない内容だとぶっちゃけ作業に費やす時間が少なくなって大変なことになるだけだ。

 ……だから何事もほどほどに、だ。

 そう思って、残った中身をぐいっと飲み干してから残ったゴミを捨てて歩き出す。

 足が向かう先はもちろん、職場にある自分の席だ。

 ……お給金頂いてるわけですし、振られた仕事は可能な限りやってみせますとも。

 しかし、やる気が上がらないタイミングというのは余計なことまで考えてしまうものである。

 ……嫌な仕事ならやめてもいいんだろうけど。

 同業他社でもうちょっといい境遇になっている会社もあるという話はよく聞くが。隣の芝生は青いという諺の通りに、それが本当かどうかは入って見なければわからないし。よしんば話通りだったとしても、それが自分に合うかどうかもわからない。

 ……せめてもうちょっと貯金でもないと考える余裕ができんわな。

 そのためにも今日もお仕事がんばりましょうかねー、と自分に言い聞かせるように呟いた後で、内心でため息を吐いてから自分の席があるフロアへと入った。




お題:芝、盗む、コーヒー

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