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異世界に転職しました  作者: Aries
第5章
86/202

堕ちていく

 





 囁きの樹海へと続く街道沿いのとある街の商人の館


 商人の館といっても、貴族のそれと同じといっても過言ではないくらい立派な屋敷


 広い庭と敷地


 貴族の屋敷と違い出入りは激しく、つい先日も沢山の馬車が屋敷の門をくぐった


 続々と商品が届けられ、また出て行く


 そんなこの屋敷には大きな倉庫が存在する


 そしてその地下には今、男女合わせて数十人ものエルフが捉えられていた


 もちろん、あの集落にはもっと多くのエルフが()()()()()


 ここにいるほとんどは女と子供


 エルフの子供は大変珍しく、男女問わず連れて来られていた


 全ては魔力を封じられ、その身を拘束されているが、他の奴隷たちより食事も良く、寝床も清潔で高待遇だった


 そんな倉庫と言う名の牢獄を見下ろせる一室で、この館の主人とその客人はグラスを傾けていた


「えらい大量でんな!首輪が足りんくて、嬉しい悲鳴ですわ!ほんでも、こちらで捌いてええんでっか?」


「構いません。面倒な末端の手続きは得手不得手がありますのでお任せします。」


「あんさんの亜人嫌いも徹底してまんなぁ。」


 この様な場で、不用意に名前を呼んだりはしない


 いくら目を塞ぎ、耳を塞ぎ、自由を奪っても何処かで生じた綻びにより、足元をすくわれる


 この2人にはその様な迂闊さはなかった


「ほんなら支払いは手筈通りに。ぎょうさん儲けさせてもらいましょ!」


「では失礼す。」


「ほい、まいどおおきに。」


 この館の主人、小太りの狸親父と、出ていった客、神経質そうな狐顏の男は現在協力関係にあるが、本来なら消して手を取り合うことはない


 今回は共通の目的があり、それぞれの利益があったため一時的に手を組んだだけだった


 客が帰った後、主人はグラスを傾けながら部下からの報告を聞いていた


「ほいで、どない?」


「抜かりなく。」


「御主人様、首輪と現物の数が異なりますが確認おねがい致します。」


「それやったら、問題あらへん。あちらさんの都合や。」


(とは言うたものの、褒美でエルフを与えるやなんて、えらい太っ腹でんな〜。それやったらもう少し融通きかしてくれてもええやろに。ダークエルフもおったっちゅー話やっ…あぁもったいない!)


 見てない商品の方がいい者だったかもしれないという思いと、仕入れ値が少々高くついた事に対して、少々悔やまれた


「まぁ、損する気ぃは全然おまへんけどな!」


 気を取り直して、先ほどの客の言葉を思い返した


 今後、継続的に仕入れられる様なニュアンスではなかったろうか?


 狸親父はふむ、と呟き今後について思案した




 ***




 どこぞの屋敷で化かし合いが行われている頃、とある宿の一室


 対して広くはないが、家具などもあるセミスイート仕様の部屋だ


 アレクサンダー王子は飯田の部屋へ訪れていた


 当然対面式のソファとテーブルもあるが、王子は飯田の横に座っていた


 肩が触れ合う様な距離だ


「アイリ、大事ないか?此度の遠征はそなたのような可憐な乙女には辛かったであろう?」


「王子…。」


「アレクだ。2人きりの時はアレクで良い。」


「アレク、さま?」


(やった!これ、触っちゃっても良いよね!)


「アイリ、今日とっても怖かった。」


 飯田は王子にしおらしく、しな垂れた


「アイリが望むなら前線に出ずに、城にいても良いのだぞ?」


「それは…怖いのはヤダけど、アレク様と一緒にいたいです。それに今日アイリ、悪い人たちをいっぱいやっつけていっぱいレベルが上がったの。だから大丈夫!もっともっとアレク様の役に立つです!」


(今回みたいなレベリングなら楽チンよ!基本的に斉藤先輩たちについてくだけだからね!お城に居たらずっと暇だし、練習面倒だし。)


「そうか。無理をさせてすまないな。何か必要なものはあるか?今回の討伐の褒美をとらす。なんでも言ってみろ。」


 王子は横に座っている飯田を抱きしめ、頭を撫でた


(キャー!!なにこのご褒美タイム!お風呂入ってて良かった!!ってゆーかもうすでにこれがご褒美です〜!!)


「ご褒美?」


 見上げた飯田はアレクサンダーの顔が思いのほか近くて、耳が赤くなる


「そうだ。ご褒美だ。」


 王子の甘い囁きが耳をくすぐる


 唇ばかりに、目がいってしまい恥ずかしくなって俯いた飯田の顎をとり、上を向かせた


(あっアゴクイ〜!)


 王子は飯田の小さな口を、塞いだ


(!!!!)


 濡れた音が生々しく、静かな部屋に沈んでいく


「今日はもう遅い。ゆっくり休むといい。」


 狭い口内を余すことなく堪能した王子は、飯田の小さな唇をぬぐい、満足した様に微笑んだ


 真っ赤になり頷く飯田の額にキスをし、優しくひとなでした後、王子はゆっくりと立ち去って行ったのだった



(キャァーーー!!!!!)


 数分後、我に返った飯田は声なき奇声を発し身悶えるのであった





書いてて自分のテンションも落ちていくm(._.)m

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