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異世界に転職しました  作者: Aries
第4章
67/202

三兄弟

 





「何するんだよばーちゃん!!」


「五月蝿いよ!大きな声を出すと赤ん坊が起きちまうだろーが!」


「赤ん坊ってなんだよ!」


「だって知らんやつが庭に入ってきてるんだぞ?」


「アタシの客に対して失礼だよ!セレニティ、五月蝿くて済まないね。ちょっとお返しするよ。」


「はい。」


 作業の間、ミーティアはチェルシーさんに抱っこして遊んでもらってたんだ


 はいお帰り〜


 ミーティアも楽しかったようです


 ご機嫌です


「ばあちゃんに客?」


「ってかなんで俺だけ2発なんだ?!」


「せっかく綺麗に整えた庭に何してくれるんだい!お前たち!今日は朝から来る約束だったのに今何時だと思ってるんだい?!」


「いや、俺らだって予定があったんだよ?」


「そうそう。ちゃんと土産にホーンラビットもあるぜ?」


 ちょっと離れとこう


 この後、彼は踏み潰したカモミールを雑草と言いもう1発拳骨をお見舞いされていた


 チェルシーさん激おこ


 彼らがアムルさんの弟さん達かな?


 アムルさんはチェルシーさんの説教は長いからほっといて良いって、さっさと角が生えたウサギを持ってどこかに行ってしまった


 ホーンラビットはその名の通り角が生えたウサギ


 中型犬ほどのサイズ


 割と好戦的で、出会うと健脚を使い突進し、ツノで攻撃してくる


 素早いが見切れないほどではなく、低級冒険者でも仕留める事ができるため、安価で流通している


 そのため庶民にとっては、割とポピュラーな食材と言える


 お肉の味はイマイチ


 不味いわけじゃないけど、特段美味しいわけでもない


 独特の臭みが原因だろう


 臭みかぁ


 羊肉みたいな感じかな?


 ローズマリーやセージを揉み込んでから焼いたらどうかな?


 中東はミントを使うんだったと思う


 やってみようかな?


「アムルさん、そのお肉もしかしたら美味しく食べれるかもしれないんですけど、ちょっと試して見ても良いですか?」


「お?まじか!ウサギがうまく食えるんだったら店も助かる。ちょっと待ってな、これはもう焼いちまったからあいつらに食わせよう。」


 ハーブを拝借してキッチンに行ったら、アムルさんはもう既に解体を終えて焼き始めていた


 速いな


 焼いている臭いもあまり美味しそうじゃない


 その間にハーブの準備をしよう


「手伝いますね。」


「ありがとうございます。ミントとローズマリー、セージを使いましょう。レナさんはミントを刻んでもらえますか?」


「了解です。」


 私はローズマリーを棒で軽く叩き、セージと一緒に鍋に入れる


 ニンニクはスライスして、オリーブオイルをたっぷり入れ、少し温める


 温めると臭いが良く出る気がするので


「こうすると油に、ハーブとニンニクの香りが移るんですよ。お肉の臭み消しですね。」


「なるほど、これなら簡単にできそうですね!ミントはどうするんですか?」


「肉、捌けたぞ!」


「ありがとうございます!では、ミントに白ワインとお塩を少し混ぜてお肉を漬け込みます。あ、外側の脂身は外しましょう。量が減っちゃいますが、多分そこが臭いの原因だと思いますので。」


「そうなのか?よしわかった。」


 アムルさんは流石の包丁捌きで、外側の脂肪を取り除いて、食べやすい大きさに切っていく


 それをレナさんが丁寧にミントに漬け込んでいく


 阿吽の呼吸ですね


「30分ほど置いて様子を見ましょう。今回はニンニクを油の方に入れましたが、漬け込む方に入れても良いかもしれません。」


「なぜ此方は白ワインを使ったんですか?」


「赤ワインを使うと、お肉が色を吸ってしまい赤くなります。見た目の問題もあるんですが、白ワインの方がブドウの渋みが少ないし、今回はシンプルな焼きなので、その方がウサギ肉には合う気がします。」


「なるほどなぁ。お前はチビのくせに物知りだな!」


「ちょっとアムル!ごめんなさいセレニティさん。」


「ふふふ。気にしてません。ただの食いしん坊なんですよ。ふふふ。」


「あ、それは私たちも同じです。ふふっ。」


「そりゃ違いねー!ハハハッ。」


「待ってる間、私はもう少し庭で手伝いをしてきますね。」


「レナさん、私もお手伝いします。」


「ありがとな!俺は残りの肉を片付けから呼びに行くよ。」


「「はい!」」




 ***




「なんだこれ!めっちゃ美味い!」


「兄貴ずるいぞ!」


「時間通りに来ないお前らが悪い。」


 どうやら私たちと入れ違いに、弟さん達はご飯を食べてたみたい


 あれ?


 赤ワイン煮はもう無くなってたと思ったんだけど


 アムルさんに聞いたら、鍋に少しだけ残ってたのが勿体無かったので、スープで伸ばして具を足したそうだ


 へー!


 流石!


「あ、あんたは!さっきはいきなり怒鳴って済まなかったな。」


「勘違いして悪かった。」


「いえ、こちらこそご挨拶が遅れましてすみません。セレニティと申します。よろしくお願いしますね。」


 ふふふっ


「ぐっ!!あんた、いや、セレニティさん!自分はイフです。冒険者やってます!何か困ったことがあればいつでも自分を頼ってください!」


「セレニティちゃん!俺はウーゴ!よろしくな!」


 イフさんは赤毛をツーブロックにしてる細マッチョな青年


 片方の耳にイヤカフをしてるオシャレさん


 ウーゴくんは長めの赤毛を後ろで結んでる


 ウエーブした髪がチャラそうに見えるが、ソバカスが残る顔はどこかあどけない


「はい。お2人ともよろしくお願いします。」


 ふふっ


 三兄弟そっくり!




「セレニティさんって天然よね〜。」


「まぁ、あいつらもあんまし免疫ねぇからなぁー。嬢ちゃんのあの顔はしょうがねぇだろーよ。」


「ちょっとアムル?」


「そう怒るなよ。単純に好みの問題だろ?俺はお前の方が好みだそ?ハハハッ!」


「も、もうっ!調子いいんだから〜!」






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