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異世界に転職しました  作者: Aries
第4章
60/202

ワイン

 





 私はソフィアさんとワイナリーに来ている


 みんなのお酒の消費が激しくて、蒸留用のワインが足りなそうなのと、料理に使いたいのと、酒屋にワインを見に行ったらあまり置いてなくて、品薄状態だったので、ソフィアさんに相談してみようと思って


 そしたら、逆に相談されたの


 相談っていうより愚痴?


 ソフィアさんの担当しているワイナリーが、エドモンド商会というところと揉めているらしい


 ここ数年葡萄の不作の影響で、ワインの質があまり良くない


 また、良いワインも量が少ないので、いつもより値段が高騰しているそうだ


 だから酒屋にもワインが少なかったんだ


 ソフィアさんの担当しているクラウンワイナリーのワインは真面目な仕事と品質の割にはお手頃な値段で地元の人からも評判が良く、割と人気なんだそうだ


 従業員も抱えており、今回の煽りを受けて経営難に拍車がかかっているところに、エドモンド商会の嫌がらせが続き、ワイナリーごと乗っ取られそうになってるとのこと


 ワインがいくらかでも売れれば、材料代と従業員の生活費はなんとかできそうだったのに、エドモンド商会はかなり安値で買取価格を提示しているそうで、クラウンワイナリーのラッセルさんは突っぱねたんだど


「その商会はワインを買い叩いてその後、どうするつもりなんでしょうか?」


「あまり良くないと言っても、そこまで悪いというわけではありませんの。あくまでも、例年よりちょっと、というほどですの。」


 エドモンド商会は子爵の後ろ盾もあり最近幅を広げている商会で、あまり良い噂がなく、商業ギルドも手を焼いてるそうだ


 限りなく黒に近いが、証拠がなく中々尻尾がつかめないので、困っているんだって


 事情を聴きながらワイナリーを見て回っていたら、ラッセルさんご本人のが登場したようだ


「やぁソフィアさんいらっしゃい。そちらは?」


「私のお友達のセレニティさんです。ワインを購入したいということですので、見学をお願いしましたの。セレニティさん、こちらがオーナーのラッセルさんです。」


「ようこそ、オーナーのラッセルです。よろしく。よかったらどうぞ試飲していってください。」


「セレニティです。よろしくお願いします。」


 オーナーさんは30代中頃の人の良さそうな中々のイケメン


 疲れからなのかクマができてちょっとやつれた印象だった


 手慣れた様子でコップに注いでくれる


 ソフィアさんの言う通り、そこまで悪くない


 確かに、白ワインは酸味が、赤ワインは渋みが少し気になる


 なんていうか、これが無いときっと美味しいんだろうな〜程度


 そこまで悪くないかな?


 サングリアとか料理に使ったら良さそうだけど


「どうですか?」


「確かにちょっと円やかさに欠ける感じですね。でもこらなら料理に使ったりサングリアにしたりしたら多少は使い道もると思いますよ?」


「サングリア?」


「ワインを料理に使うんですか?」


 ん?


「えーっと…私何か変なこと言いました?」


「あーすみません、聞きなれない言葉でしたので。サングリアとはなんでしょう?」


 サングリアってないのかな?


「こちらでは、ワインを温めて飲んだりはしないんですか?」


「セレニティさん、お酒を温めてたらアルコールがなくなってしまいますわ。」


「帝都ではワインをソースに少し入れる料理があると聞いたことがありますが…あまり一般的ではないですね。」


 説明するより飲んだ方が早いな?


 亜空間からサングリアを取り出した


「サングリアとは、ワインに果物を付けて一晩寝かせたものです。風味づけにハーブを入れたり、甘みを足すため蜂蜜を入れたりしますが、レシピは様々です。」


「これは!」


「美味しいですわ!すごい、オレンジの風味とよく合って飲みやすいですわ!」


 そりゃ、良いワインにシスルーが手塩にかけて作った果物、アピトの蜂蜜を入れてますからね


 2人がサングリアに夢中になってる間に、コップに入っているワインにお口直し用に用意されていた暖かい紅茶を注ぎ、自家製の生姜の砂糖漬けを入れて、こっそり魔法で温める


 シナモンやクローブは流石にないからとりあえずでホットワイン


 ラッセルさんにとって、自分の手がけたワインを加工されるのは気に食わないかもしれないけど、どうかな?


「わっ!あったまりますわね!微かにジンジャーの香りがするのも良いですわ。」


「此方も、ワインの渋みやえぐみが気にならず飲みやすい。温めたことで葡萄の匂いが引き立つのも良いな。こんな飲み方があるなんて…。」


 ホットワイン美味しいよねー


 蜂蜜と生姜入れて甘くして飲むの好きだな


「今回は良いフルーツが沢山手に入ったので作ってみたんです。材料費は結構かかってますけど、コストを抑えることは可能でしょう。」


「セレニティさん!ぜひこのレシピを教えて下さい!これがあればウチはなんとか乗り切れるでしょう。」


「…ワインを大量に仕入れたかったのはサングリアを作って、売りだそうかなと思ってたからなんです。勿論、商標登録をして。」


 そもそも、なんでエドモンド商会は嫌がらせしてきたんだろ?


「あの、エドモンド商会とのことをお伺いしてもよろしいですか?そもそもなぜ揉めてるんですか?」


「それは、その…。」


 ラッセルさんはポツリ、ポツリと話を始めた






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