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異世界に転職しました  作者: Aries
第3章
58/202

囁きの樹海

 




 ブリリアント王国に残った勇者達御一行は囁きの樹海へ


 表向きは通常の魔物討伐演習となっており、大規模なのは指揮するのがアレキサンダー王子だから


 1週間かけて現地に行き、休憩を挟みながら15日前後討伐訓練をし、10日かけて帰ってくる


 帰りは物資の補給や輸送などの事を考え途中の街によるので、少しゆとりを持った日程になっている


 また、その頃には聖国組も戻ってきており、合流したらもう一度囁きの樹海へレベリングに行く予定だ


 先発隊であるルビー班の斉藤、小林、飯田は囁きの樹海の浅い所を散策していた


 ズドっ!!


 っと音を立てて地に伏す魔物


「よっしゃ!レベル2桁達しましたぁー!」


「うわ!先越された〜」


「光輝先輩流石ですっ!おめでとうございます!」


「成長促進の固有スキルうらやま!マジチート〜。」


 斉藤、小林、飯田の3人は騎士団の4人、魔導師2人と合計9人で行動している


 周りには魔物を警戒する班や惹きつける班も一緒だ


「Dランクのフォレストウルフリーダーを安安と倒すとは…流石は勇者様でございます。心配するのも憚られますね。」


「これくらいの弱い魔物なら楽勝だぜ!」


「頼もしい限りです。体力の方はいかがでしょうか?」


「余裕〜。」


「当然だな。」


「まだいけます〜。」


「かしこまりました。ではもう少し参りましょう。それと、フォレストウルフの毛皮は丈夫で扱いやすく、色も美しいので大変人気です。出来れば頭部か首元を狙って殺して頂けると助かります。」


 フォレストウルフは囁きの樹海によくいる魔物で、単体ならEランク、群を率いているリーダーはDランクとなる


 群は少なくとも10匹前後いるのでパーティでないと中々倒すことが面倒な魔物だ


「りょ〜か〜い。」


「なるほどね。じゃあ俺たちはなるべく魔法と固有スキルを使わずに殺ろう。簡単すぎると面白くないし。」


「オッケー!後はアイリンのレベリングもしたいな!」


「うーん、じゃあ戻りながら出てきたやつ2〜3匹まわすか。アイリンは俺たちが弱らせたやつに氷系か風系の魔法でトドメをさしてね。」


「はわゎ怖いですっ!」


「大丈夫だアイリン!俺らがついてる!」


「アイリンは毛皮の事とかは気にせず当てる事だけを考えれば大丈夫だよ。アイリンがレベル10までいったら1対1で戦ってみよう。メイソンさんも良いですか?」


「はぅ〜頑張ります〜。」


「勿論です。」


 メイソンは王子が間に付けた護衛だった


 うまく手綱を取ってやらないと斉藤、小林はどんどんと樹海の奥へと進んで行きそうだったが、飯田が良い意味でストッパーになってくれているので、周りの兵士達も安堵していた


「収納とかできたらもっと効率良いんだけどなぁ!」


「毎度帰らないといけないから面倒だよね〜。」


「虫〜!!やぁー!!」


「アイリ様、虫除けの魔法を付与しましょう。さぁこちらへ。」


「テスカ〜早く〜。」


「術式はこうです。アイリ様ならすぐ覚えられますよ。そしたら、私が付与するより強力でしょう。さっこれで大丈夫ですが、こまめに付与するように致しましょう。」


「アイリ様申し訳ない、虫に刺されたりしなかったですか?」


「ありがとう、テスカ。ルドルフも、大丈夫だよちょっと見たことないやつでビックリしただけなの。」


 飯田は自分がルドルフと話すと少し不機嫌になる斉藤に満足していた


 魅了がかかってきているのだろうと


(そろそろ私も真面目にレベル上げしないとね)


 正直な話、生き物を殺すことに躊躇しているが、レベルが低いままだと良くないこともよくわかっている


(怖いけど、女は度胸よ!!)


 そうやって驚異的な速度でレベルが上がっていった


 本来なら15年かけてレベルが二桁になる程度なので周囲の驚きと期待も凄かった


 急激な成長は、斉藤の固有スキル成長促進により、斉藤本人だけでなくパーティを組んでいる小林と飯田にもその恩恵が齎された為だ


 また、小林の指示による効率的なレベリングも良い方に働いた


 斉藤はスキルが他者に齎す影響に気づいていなかったし、他の者達も勇者の卵だから、っと思っていたのだ


 後発隊と合流する頃には飯田もレベル10に達していた


 サファイア班の新堂、楪、朝比奈は拠点に合流した後、のんびり進めるつもりだったが、レベリングに飽きたルビー班の3人も同行することになってしまった


 斉藤と小林が楪や朝比奈に良いところを見せたかっただけで、仲間意識などあるわけもない


 斉藤は無意識に楪、朝比奈、飯田をパーティとしてしまっていた


 パーティは4人が望ましいとされている


 スキルや付与魔法の効果がかかるのが4人だからだ


 その為新堂のレベルが上がるのが一番遅かった


 そして合流してから、小林は自分のレベルが上がりにくくなった事に、小林は違和感を覚えた


 巻き込まれた異世界という偽称号のせいで判断がつけ辛かったが、同じ称号の楪の方がレベルが上がるのが早いという事に


(斉藤のスキルの影響を受けるのは3人までなんじゃないか?このままだと俺のレベル上げが遅くなるし、面倒だな。ユイピーのレベルがある程度上がったら別行動にしよう。)


 合流してから4日目にようやく朝比奈のレベルが10になった


 その後、小林の思惑通りルビー班とサファイア班に分かれてのレベリングとなった


 本当は朝比奈も連れて行きたいルビー班だったが、朝比奈のジョブである『陰陽師』に出来ることが不明だった為、浅いところで確認してからという事になった


 新堂のレベルは8になっていた


 解析鑑定の熟練度を上げの為、討伐より周りを良く見るのを優先した結果、上昇率がより低くなった


 当然、斉藤のスキルや朝比奈のジョブについても本人より詳しく知っていたが、教えるつもりはなかった


 対策の取りようがないものはしょうがない


 今回はレベル15まで上げるのか目標なので淡々とこなすだけだ


(レベル15だとランクDの冒険者くらいかな?)


 新堂は槍、水魔法、槍、土魔法と交互に使い、魔物を倒していた


 周りの騎士の手助けもあったが、無理をせず着実に仕留めていた


 新兵というのは大体、初めての戦闘訓練となると浮き足立つものだ


 そして自分の力量を過信しすぎる


 コナーは新堂の真摯な態度に、錬金術師にしとくのはもったいないな、っと苦笑いするのだった


 楪はレベル11まで上がっていた


 斉藤のスキルの恩恵もあるが、後衛より前衛の方が小回りが利く分経験値が多く稼げたのだ


 パワーが無い楪は持ち前の機動力で手数を増やす戦法と、一撃必殺で急所に入れる戦法を練習した


 バレないように、天眼と英雄覇気の練習もしたかったが、今回は天眼のみにした


 天眼は発動中相手が少しだけゆっくり見える


 隠匿と併用したら急所に入れるのは容易く出来るようになるだろう


 まだ併用は難しかったので、自然に発動できるよう試していった


(私のスキルってなんか魔法剣士っていうよりスパイっぽい…クノイチ?)


 朝比奈は式神を出すか迷っていた


 使わないと熟練度が上がらないこともわかっていたが、遠隔操作できる魔法の動物など危なすぎる


 しかもクモッチを王子に見られたら水瀬を助けたのが自分だとバレる恐れがある


 今回は闇属性を中心に魔法と多重結界の練習をしよう


 式神は夜、こっそり出してみよう


 幸いな事に陰陽師は珍しいジョブで、この国には自分だけしかいない


 祈祷と未来予知に関しては自分でも良くわからない


 まぁそのうちわかるだろう


 多重結界は物理攻撃、魔法攻撃、精神攻撃、状態異常攻撃など、複数の攻撃に対する結界を同時にかけることができる


 朝比奈はいつも自分に精神攻撃耐性の結界を張って熟練度をあげていた


 勿論食事の前は状態異常攻撃耐性効果のある結界を張る


 物理、魔法攻撃は受けたことないからどの位防げるモノなのかはよくわからないが、効果は今のところ1時間くらい


(だいぶいい感じになったし木に結界を張って、誰かに攻撃してもらって、どんなもんか見てみたいっしよ!)


 三者三様だが概ね皆、真面目に取り組んでいた







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