表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転職しました  作者: Aries
第3章
54/202

信仰の姫巫女

 




 俺と水瀬は東の街に来ている


 東の街は帝国と近い為、様々な物資が揃っているが、街並みは南や西と変わらないな


 案内してくれるのはは勇気の姫巫女ケイリーと信仰の姫巫女プリシラ


「今後の予定はお聞きになりまして?これからこちらで装備を整えて頂きますの。」


「はい。アイリス様にお聞きしてます…。」


「お前!なぜお名前を?!不敬にも程がある!聖女様とお呼びしろ!」


 遮るように突っかかって来たケイリーに俺たちは困ったように顔を見合わせた


「そう言われても、アイリス様と呼ぶように仰ったので、不敬には当たらないと思いますが?」


「お名前でお呼びする約束をしてしまいましたし…。」


「嘘をつくな!」


「私とイネス様もその場におりましたが、確かにそう仰ってましたわね。」


「なっ!だとしても立場という物があるだろう!このような得体の知れない輩にお名前を呼ばせる事などできるか!!」


「立場ですって!!貴方の口からその様な言葉が出るとは驚きですわ!お言葉を返すようですが、立場を考え、勇者様がたには敬語をお使い頂きたいですわ。」


「なんで私が!」


「此方に来てから何年も経ちますのに、そのような事を仰いますの?聖女と勇者であれば、勇者の方が立場が上なのは子供でも知ってましてよ?」


「でもっ!!そいつらはまだ勇者じゃない!ただの卵だろ?!」


「あら、我々は聖女の予備軍、勇者の卵である貴方と立場が同じ、っと言っても過言でわ御座いませんわ。それに常識的に考えて、目上の者に敬意を払うのは当然のことではなくって?だいたい、聖女様が良いと仰ったのなら私たちがとやかく言う事も不敬でしょう?」


「何だと?!貴族だからって馬鹿にしやがって!」


「貴方はいつもそれですのね。確かに私の生まれは貴族ですわ。ですが、姫巫女になる以前に聖国に帰還しておりますので、今はそのような身分はございませんことよ?」


 プリシラは深々とため息をついた


 やれやれっと言った表情に、沸点の低いケイリーは顔を真っ赤にしている


 まぁプリシラの言ってる事は正論だ


 実際俺も水瀬以外には年齢関係なく敬語だ


 だがこの手の相手に正論をぶつけても時間の無駄だと思う


 話が噛み合わない奴はどこにでもいるもんだ


「ブクブク肥え威張り腐ったきぞくめ!お前らなんか要らないんだよ!」


「貴族には貴族の義務があり、領民には領民の義務があるのですと何度も申し上げておりますのに…。愚かな。」


「貴様!今日という今日は許さん!叩き斬ってくれる!!」


「おやおや物騒ですね。決闘ですか?確か、聖女様は巫女同士の私闘を禁じていたのでは?ご報告が必要ですかな?」


「ハント様」


「イーサン、邪魔するな!!」


「邪魔は致しませんよ?私闘の結果を聖女様に報告するだけで、彼の方にお逢いできるのであればこんなに楽な仕事はございません。」


 この男が入って来てから、場の空気が少し緩んだな


「喧嘩両成敗と仰っておりましたから、勇気と信仰の両姫巫女の交代となりますね。忙しくなりそうです。」


 ケイリーの怒りにどんどん油を注いでいく年齢不詳の優男(仮)


「イーサン、言いがかりはやめろ!これは私闘ではなく決闘だ!なんであたしまで辞めることになるんだ!」


「ほう?それでは正規の決闘なのですね?!では聖女様が東の街にお出でで?!なんと喜ばしい!それで?聖女様は何処に?」


 なんとも嘘くさい


 三文芝居み見せられてさっきまでのピリついた空気がなくなった


「聖女様がお前のような下世話な者にお逢いする訳なかろう!」


「それはおかしい。あのお方はいつも平等だ。良くも悪くもね。誰か1人を贔屓することはないでしょう。貴方はよくご存知でしょう?」


「ちっ。興がそれた。命拾いしたな!」


 ケイリーが剣をしまいながら、呆れたように呟いた


「こいつらは次の討伐訓練についてくる!足を引っ張らん様に装備を整えろ!」


 ドタバタと出て行ったケイリーを見て、プリシラはまた大きなため息をついた


「やれやれですわ。ハント様、見ていたのなら早く止めてくだされば良いのに。相変わらず意地が悪い。」


「はははっいやぁすまなかったね。出て行くタイミングを流してね。」


 プリシラはもうっ!っと怒ってる様だが、そんなに怒ってる様には見えないな


「やぁやぁ卵諸君。僕は東の教主、イーサン・ハントだよ。どうぞよしなに。」


「ソウイチロウ・カノウです。お世話になります。」


「ハルカ・ミナセです。よろしくお願いします。」


「いやー美男美女だね〜。うんうん。僕が後10歳若ければね〜。」


「なにを仰ってますの?!キモぃですわよ?さぁ、ハルカ様はこちらへ。参りましょう。」


「え?あっはい!」


「キモいって!酷いな!おじさん傷ついちゃう。メソメソ。」


 えー俺こいつと2人?




 ***




「ハント様とはずいぶん仲が良いんですね。」


「彼の方とは故郷が同じですの。小さい頃はよく聖魔法を教えて頂きましたわ。若くして教主になられて、ご苦労もあったでしょうけど今では立派な教主ですわ…多分。」


 へー尊敬してるのかぁ


 それとも初恋の人とかなか?


「故郷の事聞いても?」


「えぇ勿論。実は私、勇者様が来られるのを楽しみにしていましたの。帝国は先祖に勇者様の血が混ざっておりますので、勇者様の冒険物語も沢山ありますの。私、小さい頃からそれが好きで、毎夜毎夜隠れて読んでましたわ。」


「そうだったんですね!私も本を読むの大好きです。」


「まぁ異世界の物語ですの?今度聞かせて頂きたいですわ!」


「はい。是非!あぁ良かったです。私、少し緊張してて、お友達できるかなって不安で。でも、気の合う方がいて良かったです。」


「お友達…」


「あっごめんなさい!馴れ馴れしかったですね。気になさらないで下さい。」


 あっ…


 早まったかな?


 プリシラ様は貴族の方みたいだし、お友達とか馴れ馴れしかったよね


 ちょっと悲しい


「いや、そうじゃないのですわ!私、仲の良いお友達がおりませんの。帝国では貴族としての勉強、聖国では姫巫女になる為に勉強の日々。周りは皆、ライバルですし。ケイリー様なんて同じ歳なのにあんな感じですし。だから、とっても嬉しいですわ!」


 可愛い!


 真っ赤になって告白してくれる姿はプリシラ様って言うか…プリシラちゃん


 うん、プリシラちゃんだ!


「私もっお友達になれて嬉しい!ハルカって呼んでね、プリシラちゃん。色々教えてね。」


「はっハルカ、よろしくってよ。私が色々と教えて差し上げますわ!」


 プリシラ様は帝国の侯爵家のご令嬢で、父親は宰相、母親は何と帝国の王女様


 何と!


 現国王の姪御様でしたよ


 聖女様と同じ8歳で中級の聖魔法を覚えたんだと自慢している姿がとても可愛いかったです


 でも、王家の血を引く由緒正しい侯爵家のご令嬢を、帝国が中々手放す訳もなく、ゴネにゴネて聖女様が迎えに来たらしいです


 アイリス様は中々外出しないらしいけど、帝国の条件を呑んで、プリシラちゃんを迎えに来たんだって


 凄いね!


 そして10歳になる時に聖国入りして、14歳になって姫巫女に選ばれたんだって


 だからまだ半年くらいしか経ってないんだって


 聖女様は4年以上、節制の姫巫女サンマリア様が2年半、知恵の姫巫女イネス様、慈愛の姫巫女ジュリア様が2年、正義の姫巫女エミリー様が半年、勇気の姫巫女ケイリー様は3ヶ月


 割とバラバラなんだな〜


 私達はその後も色々お喋りをして、待ちきれなくなった叶先輩に装備を先に選ぶように注意され


 装備を選ぶのに時間がかかり、また叶先輩に小言を言われたけど、楽しかった


 異世界に来て初めてのお友達が出来た!


 十和ちゃんにも早く報告したい!


 信仰の姫巫女プリシラちゃんとお友達になった事を!







いつもお読み頂きありがとうございます。

主人公どこ行った?って感じですが、今しばらく勇者編続きます。

どうぞおつきあい下さいm(_ _)m

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ