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異世界に転職しました  作者: Aries
第3章
45/202

楪十和子の憂鬱

今回から水瀬はるかの名前表示を、「はるか」→「ハルカ」に変えました。

読みにくいかなと思いましたので。

 




 最近ハルカがちょっと変だ


「結衣ちゃん、あのっ昨日は…」


「ミナセサン昨日はしゃしゃってさーせんしたねー。お楽しみの所、邪魔しちゃったみたいで〜わら〜。」


「なっ!誰が!」


「誰がってぇもちろん、ミナセサンとぉ王子…」


「結衣ちゃん!!昨日のことは黙っててくれると嬉しいな!!」


「昨日の事ってどの事っすか〜?ミナセサンがあん…あ…よが…おっ…揉みチュ…ぱ……」


 ハルカが朝比奈さんを掴んで端っこに引きずり込んで行ったので、途中から何を話してるのか聞こえなかったけど…


「カシにしとくっす〜。ゲラ〜。」


 って朝比奈さんが走り去って行った


 まぁハルカに朝比奈さんは抑えられないよね


 真っ赤になって怒ってたけど大丈夫かな?


 朝比奈さんが新堂先輩に魔力操作を教わりに来た時も


「魔力操作なら私も得意だから、私が教えてあげるよ!」


「ミナセサンは人に教える暇ないっしょ?筋トレでもしたら良いんじゃないっすか?」


 って感じで全然相手にされてない


 新堂先輩は教え方がわかりやすいらしい


 スキルがある新堂先輩は魔力操作が上手で、水球を3つ留めながら朝比奈さんの指導をしてる


 すごい


 そして最近のハルカはちょっと変わった


 朝比奈さんに言われたからなのか、苦手だった運動を頑張ってる


 前は私や叶先輩の自主鍛錬に付き合うこともなかった


 成果はイマイチだけど、体力はついてるだろう


 前みたいに男子に笑わなくなった


 いや、笑うんだけど、目が笑ってない?


 そんな感じ


 男子に自分から話しかける事なんて無かったけど、叶先輩に話しかけて体術を教わってる


 マジでなんかあったかな?


 ハルカから話してくれるのを待ってたんだけど、全然話してくれなくてもやもやする


 結局、我慢できずに聞いてしまった


「ハルカ、何か悩みがあるなら話してほしいな。…もちろん言いたくないなら大丈夫だけど…。」


「十和ちゃん…ごめんね。」


「…いや、気にしないで。」


 やっぱり、話してくれないのか


 結構ショックだな


 朝比奈さんは知ってるみたいなのに…


 気まずい沈黙が流れた


 どれくらい経ったかわからないけど、ハルカがポツリと呟いた


「私、聖国に行くらしいの。1人で」


 一瞬、何を言われたかわからなかった


「そんなっ!なんで?!誰がそんなこと!!」


「王子から言われたの。聖属性の魔法を教わりに聖国に行ってもらうって。」


「聖属性なら私も叶先輩も使えるじゃん!」


「でも、女の子でつかえるのは私だけって事になってるから。」


「そんなっ!」


「大丈夫。私ね、今までいっぱい十和ちゃんに助けてもらってた。でもこれからはそれじゃダメなんだと思う。」


「そんなの全然気にしなくて良い!これからだってハルカの事は私が助ける…」


「ダメなの!!それじゃダメなの!十和ちゃんがいない時、私はどうするの?十和ちゃんの事は誰が助けるの?このままじゃダメだよ。だから、これは私の為なの。」


「それはっ…」


「いつも誰かが助けてくれるわけじゃない。自分のことは自分でできるようになりたいの。そして私だって十和ちゃんを助けたい!!足手まといは嫌!」


「ハルカ…ハルカの事を足手まといなんて思ったことないよ!」


「うん。」


「ハルカがいないと寂しいよ」


「うん。私も寂しいよ。でも、もう決めた事なの。」


「やだよっ!!やだよハルカ〜うえっうえ〜ん。ハルカっ置いてっいかないでっ1人にっしないでっ。ううぅ。」


「十和ちゃん。とわちゃん。泣かないで。うっうえっ。」


 泣いた


 ハルカの胸でわんわん泣いた


 ハルカはずっと優しく背中を撫でてくれた


 泣き止んだ時恥ずかしくて顔を上げられなかった


 ハルカの事を考えてるつもりだったけど、私は結局自分の事ばっかりだったんだな


 自分より弱いハルカを見て安心してたのかもしれない


 ダメな自分を恥じた


 お互い依存してたのかもしれない


 ハルカが自分で決めたことを応援しよう


 きっと悩み抜いて自分で出し答えなんだと思う


 親友として、置いて行かれないように私も頑張るっ!


 泣き喚いた私達(主に私)は少し冷静になった


 私たちは話し合った


 夜遅くまで


 これからの事


 やらなきゃいけない事


 自分の弱点


 私達の強み


 泣き腫らして夜更かししたせいで次の日2人とも目が腫れて、最悪だった


 お互いの顔を見て笑った


 私達の間には昨日までの蟠りはもうない


 それから数日後、ハルカの聖国行きが王女様から告げられた


 何と叶先輩も行くみたい


 羨ましい!!


 私も先輩と…


 あぁ〜やっぱり羨ましい〜


 ってか聖国には巫女と呼ばれる聖女候補生が沢山いるとか…


 可愛い子に言い寄られたりしないだろうか…


 叶先輩に限ってそんなことはないと思うけど、とても心配


 ハルカは1人じゃない事に喜んでたので複雑な気持ちだ


「十和ちゃんには悪いけど、1人じゃなくて本当に良かった!叶先輩が浮気しないように、ちゃんと見張ってるね!」


 ハルカは王子には十分にいや、十二分に気をつけて!


 っと何度も言ってた


 卑猥な視線を送ってくるし、ハルカの事だけでなく朝比奈さんも見てるから、今まで気をつけてたけど、ハルカに言われるとは…


 何かあったのか問い詰めたら


 真っ赤になって、悔しそうに


「ちょっと、胸を、…触られた…。」


 ガタンっ!!


 っと椅子が倒れるほど飛び上がって駆け出しそうになった私をハルカが止めたのにはビックリだった


「…お返しは、自分でするから。ねっ?」


 あの時の笑顔には正直ゾッとした


 恐ろしい笑顔だった


 朝比奈さんはその時目撃されたようで、黙っててもらってるらしい


 ちょっと納得


 詳しく話を聞きたかったけど、その度にあのゾッとする笑顔


 相当お怒りのようです


 でもこの感じなら彼方でも上手くやっていけそうかな?


「総一郎が心配?」


「やっ、ハルカが、ハルカが心配なんです!」


 王女様と打ち合わせしている2人を眺めてたら新堂先輩に声をかけられてビックリした


「そう?彼女なら心配いらないんじゃないかな。だいぶ変わったよね。最初の頃は危なかったけど。」


 やっぱこの人凄いな


 よく見てる


「ん?意外だった?僕らの足を引っ張って欲しくないからね。君も僕を失望させないように頑張ってね。」


 ゾッとした


 見たことない顔だった


 思わずゴクリと飲み込んでしまった


「なんてね〜。総一郎1人じゃなくて良かったよ。彼女には悪いけど。」


 ?


「総一郎の人タラシは天然だからね。本人は色恋には鈍感だけど。水瀬ちゃんが一緒だと、周りが都合よく勘違いしてくれそうじゃん?」


「?!」


 そんな…


「異性として好きです!ってハッキリ言わないと、アイツにはには伝わらないよ?」


「え?なんで?新堂先輩まさかっ?!」


「どうしたんすか?練習行かないんすか?」


「いや、何でもないよ。」


 え?


 何で?


 いつから?


 恥ずかし〜!!


 ハルカ〜


 やっぱり行かないで〜






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