勇者
勇者編は基本的に叶目線ですm(_ _)m
いつもの放課後だった
校庭にはちらほら生徒が残っている
偶然だった
下駄箱に居合わせた数人
いきなり足元が光り、地面に縫い付けられたように剥がれなくなり、下へ下へと沈んでいった
そして誰も居なくなり、静寂と日常が戻った
***
何だ?
目覚めたら足元は赤い絨毯
壁は石造り
絨毯に描かれた模様を囲むようにフードを被った魔法使いみたいな奴らがずらりと並んでいる
何処だ?
自分は学校にいたはずじゃ…
「総一郎、起きたの?」
「陽介…どうなってるんだ?」
「総ちゃん、落ち着いてね。たぶんだけど僕らは勝手に連れてこられたみたい。」
「何だって?!」
陽介も少し興奮していた
「叶先輩!」
「楪?お前もか…。」
振り向くと知った顔だっ
剣道部後輩の楪 十和子
いつも挨拶はしてるから名前は覚えてる
「マジこれどゆこと?!」
「異世界?マジで?!ヤバ!」
「何ここ〜超キモい〜。電波ないしぃ」
「ここ何処なんですぅ?怖いですぅ。」
みんな目が覚めて、少し冷静になると自分の置かれている状況に戸惑いだした
何なんだ一体
「勇者様ようこそ我が国へ。」
「貴様ら!不敬であるぞ!!頭を下げろ!」
金髪碧眼の女の子が立ってた
不敬と言われてもな…
敬ってないし
こっちは被害者だ
「誘拐犯のくせによく言うぜ。」
「き、貴様!!」
「待ちなさい!!勇者様に何をするおつもりですの?!控えなさい!」
「ですが姫さま!」
「勇者様方、配慮が足らず申し訳ございませんわ。説明もさせて頂くので、部屋を移りたいのですわ。」
誰かの呟きに激情した兵士達を諌めた女はどうやら姫様らしい
連れられていった会議室の様な部屋で俺達が何で連れてこられたのかと言う話を聞いた
ここから北にある魔族の国が攻めてきた
この世界の神を祀ってある聖地に暗黒の邪龍を放し、占拠させ、穢れた魔力で世界に魔物を解き放っている
邪龍により土地が痩せ細り、魔物のせいで民は貧困に喘ぎ苦しんでいる
俺達が帰るには邪龍を倒し、聖域を取り戻し、魔族を滅ぼし、奴らが溜め込んだ魔力を使う必要がある
勿論、騎士団や自国の冒険者も聖域を取り戻す為、行動を起こした
だが、自分達では到底かなわなかった
御神託により異世界から勇者を召喚することにした
それが俺たち
頭が痛くなってきた
そんなありがちなゲーム設定みたいな話誰が信じるんだ?
「すげー!!」
「ガチ勇者召喚来たー!」
馬鹿が2人いたよ
その後はステータスについての説明と、聞き取りがあった
この世界はステータスというものがあり、スキルという特殊能力を誰しも数種類持っている
魔法は適正が有れば威力の大小は個人差があるが使える
スキルの中でもレアな物を固有スキルと呼ぶ
固有スキルを持つ者は多少はいるが、有用性が高いものはごく僅かで、鑑定や収納などの固有スキルがある者は重宝される
ただ、勇者は固有スキルを必ず持っているらしい
しかも異世界からの召喚勇者は魔法属性の適正が多く、固有スキルに加えて、様々な知識を持っており代々、国に恩恵をもたらしてきた
その後の勇者達は、元の世界に帰ったのでよくわからないとのこと
正にゲームだな
だが、どうもキナ臭い
困っている様に見えない裕福な出で立ち
本当に帰れるのか?
情報がなさすぎる
正直に話すのは得策ではないな…
俺の呟きはは陽介と楪には聞こえた様だ
各自名前となどの情報をステータスから書き写していく
☆☆☆
叶 総一郎 17歳
ジョブ*剣士(聖騎士)レベル1
魔法適正*風、水、聖(雷、聖剣、聖鎧)
固有スキル*剣技(鑑定、英雄覇気、幸運)
スキル*剣術、気配感知、物理攻撃耐性、言語理解(魔力感知、魔法攻撃耐性、縮地、天歩)
称号*巻き込まれた異世界人(勇者の卵)
☆☆☆
新堂 陽介 17歳
ジョブ*錬金術士レベル1
魔法適正*水、土、火(植物)
固有スキル*金属操作(解析鑑定、収納、発酵操作、幸運)
スキル*魔力感知、魔力操作、言語理解(物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性)
称号*巻き込まれた異世界人(勇者の卵)
☆☆☆
楪 十和子 16歳
ジョブ*剣士(魔法剣士)レベル1
魔法適正*火、水、風(全属性)
固有スキル*無し(魔剣、天眼、英雄覇気、隠匿)
スキル*剣術、気配感知、魔力感知、言語理解(物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性)
称号*巻き込まれた異世界人(勇者の卵)
☆☆☆
水瀬 はるか 16歳
ジョブ*魔術士(召喚術師)レベル1
魔法適正*水、風、聖(精霊魔法)
固有スキル*無し(精霊召喚、収納、気配遮断)
スキル*魔力感知、魔力操作、言語理解(状態異常耐性、精神攻撃耐性)
称号*巻き込まれた異世界人(聖女の卵)
☆☆☆
斉藤 光輝 16歳
ジョブ*剣士レベル1
魔法適正*風、火
固有スキル*火剣、成長促進、威圧
スキル*剣術、槍術、剛力、縮地、気配感知、物理攻撃耐性、言語理解
称号*勇者の卵
☆☆☆
小林 隼人16歳
ジョブ*双剣士レベル1
魔法適正*風、火
固有スキル*鎌鼬、毒精製、カウンター
スキル*双剣術、俊敏、気配感知、状態異常耐性、言語理解
称号*勇者の卵
☆☆☆
朝比奈 結衣15歳
ジョブ*陰陽師レベル1
魔法適正*水、火、土、闇
固有スキル*祈祷、式神、多重結界、未来予測
スキル*気配感知、魔力感知、精神攻撃耐性、付与、言語理解
称号*勇者の卵
☆☆☆
飯田 愛梨 15歳
ジョブ*魔導士
魔法適正*水、火、風、土、雷、重力
固有スキル*詠唱破棄、魔力回復促進(魅了)
スキル*魔力感知、魔法攻撃耐性、状態異常耐性、言語理解
称号*勇者の卵
☆☆☆
みんなが書き写し終わり、軽く自己紹介をした
姫の名前はエリザベート
美人だけどキツイ印象を受ける
服の趣味も俺的に無いな
取り繕っているけど明らかに此方を見下してる
「やはり、流石は勇者様!大変優秀なスキルをお持ちですわ!しかし勇者様方の人数が多いと思ったらそういう事でしたの。いや、巻き込んでしまって大変申し訳ないですわ。」
「…いえ、こちらこそ失礼な態度をとってしまいすみません。取り乱してしまって。」
「それで、僕たちは今後…」
「パイセン達巻き込まれ系?」
「私達のせいですぅ。ごめんなさいですぅ。」
「ギャハハウケる!」
「あの、それで私達はどうすれば良いんでしょうか?」
「楪さんと水瀬さんは俺達が守る!」
「光輝、そのセリフ臭すぎ!wまぁでもそうだね女の子に危ない事させられないし、俺らに任せてよ。」
斉藤と小林は大丈夫なのか?
俺たちは戦争の道具にされようとしてるというのに呑気なもんだ
「皆様突然の事でお疲れでしょうから本日はこの辺にいたしましょう。後は明日ですわ。ささやかながら宴を準備しておりますの。どうぞお楽しんで欲しいですわ。」
やっと解放された
これからのことを思うと頭が痛い
楪と水瀬はうまく誤魔化せたみたいだが、ほかの4人の後輩達は正直に記入してしまったようだ
まぁそのお陰でいい隠れ蓑になったけどな
後は陽介と相談してみよう
なんとかなるだろう
スキルのレパートリーが…
意外と難しい