アニバーサリー
さあついに!
今日はお祝いします
今日は私がこの世界に生まれて丁度一年になります
自分主催のバースデーパーティー
良いんですよ
知ってるのは自分だけだからね
みんなでパーティーするのは、私の感謝の気持ちをみんなに伝えたかったから
常春のこの地は外と違って季節の移り変わりがない
精霊や妖精ランクが高い魔物などは年齢という感覚が抜けていく
悠久の時を経た者たちにとって1年のうちの1日なんて一瞬だ
年齢なんて鑑定してしまえばすぐにわかる
そのくらいの感覚
でも私は
私には人間の感覚がある
人間の心がある
そのせいで色々な葛藤があるけど
みんなに支えられて今がある
だからみんなにお礼をしたいんだ
微々たる物だけど気持ちが大事だよね
購入費は宝物庫からだけど
気持ちが大事だよね!
クラルスとルシフェルにはいつもの丘でお花を摘んで、飾り付けと切り株テーブルにはテーブルクロスをかけてテーブルセッティングをしてもらってる
テーブルだけじゃ全然足りないので布を敷いて、その上に買ってきたり、乙女の箱庭で実らせた果実を沢山置いた
肉食の子達用のお肉やハムも忘れずに沢山置いてる
みんな周りに集まって来てて、気になるみたいだけどまだ手はつけてない
1番は行きづらいよね
そんな中1番最初に走ってきたのは風雅
空気を読めと言うのが間違いなんだろうか…
まぁでもここで最初に契約したのはこの子な訳だし
他のみんなも風雅ならしょうがないって顔してるから、意外と空気読んで飛び出して来たのかな?
アイシングで『ありがとう』って書いたクッキーを風雅の前に置いて
「まて!」
じっと目を見つめる
もうちょっと
「まて!」
…
「よし!」
「ワン!!」
パク!
美味しそうに食べてる
風雅は『待て』を覚えた
やればできる子!
撫でて、褒めてあげる
次は蜂兄妹のアピトとミエル
いつもありがとう
その後はてんやわんやだった
痺れを切らした妖精達、ちびっこ軍団が押しかけて来た
食べた後また並ぶ子もいたけど1個づつを厳守
ちゃんと覚えてるし、把握してますよ
クレアさんが
ナッツが入ったシンプルなクッキーは毎日貯めていたお砂糖と森で取れたナッツ、ミルミルで作ったバター、買ってきた小麦粉で作った手作り
300枚以上は焼きましたよ
頑張ったと思う
みんなありがとう
これからも宜しくね
いつもの丘には代わる代わるみんなが来て、クッキーを貰った後は、思い思いの場所で過ごしている
ウンディーネやシルフィード達上位精霊組は大人なのでがっついたりしない
はしゃぐ子達を優しく見守っている
ルシフェルとクラルスにももちろん渡した
トリを飾るのはやっぱり十六夜
みんながもらい終わった後、優雅に現れた
いつも本当にありがとう
クッキーをあげると
私とミーティアをひと舐めづつしてから食べた
その後は大人組はみんなで乾杯
エールの樽を肩ぐらいの高さで氷漬けにして固定
何やってるんだ?
って顔してるけど、これで良いんですよ
錬金術で作った蛇口を下の方に突き刺す
「セレニティ、早く樽を開けて飲みましょうよ。」
「そーだよ、氷は今は必要ないじゃん。」
早く飲みたいと急かすウンディーネとシルフィード
お酒好きって本当なんだな
「お2人さん、樽は開けないでここを捻ってみて。」
「わぁすごいわ!!蛇口からエールが出てきたわ!」
「おぉ!冷えたエール、ウマ!!」
「どう?この飲み方だと最後までシュワシュワ感が抜けないと思うんだ!」
「「凄く良い!!(ですわ!)」」
因みに私がお酒を飲むことを許可したのはルシフェル、十六夜、ウンディーネ、シルフィード、シスルー
後は成人している事、各族長に了承をもらった者
生まれてからの年数で決めると生物学的バラツキが大きいので、周りに認められたらって事で
じゃないと倫理観というかモラル感が…
崩壊しちゃう
今のところ飲むのは私を含めて6名で、シスルーと私はそこまでなのでそんなに減らないかな?
って思ったんだけどエールはどんどん減っていった
私とシスルーは2人でそんな様子を見ながら白ワインのボトルを飲んでる
フルーティで飲みやすくかなり好み
2人で桃やリンゴ、オレンジを切って漬けたサングリアにしたり、凍らせた桃やミルルをクラッシュしてフローズンにして飲んだり
楽しい
2人で色々組み合わせて好みの配合を探っていく
シスルーはリンゴと蜂蜜のサングリア、私は桃とミルルのフローズンカクテルがお気に入り
クラルスにはミルミルに蜂蜜を入れて凍らせたミルミルカキ氷のフルーツのせをアピト達と仲良く食べてる
結局、白ワインは1人1本づつとサングリアにして漬け置きしとく分で計4本も空けちゃった
でもあっちの4人よりマシだよね
さっきまでエールをもう1樽開けるか、赤ワインを新しく開けるか揉めてたけど、今回のお土産のチョイスはルシフェルで、お酒を選んだのもルシフェルなので、意見が通ったみたい
両方開けるという選択肢は私が却下したの
4人で楽しく飲んでる?
お酒のおつまみには何が良いかって言う話で盛り上がってる
ドライフルーツ、塩炒りしたナッツ、干し肉、野菜スティックなどなどたくさん並んでる
そういえば枝豆は作ってなかったな
ビールには枝豆だよね!
今度作ろう
お昼から飲むの最高〜!
***
夕日が宴会のお開きの合図となり、それぞれの場所へ帰って行った
大人組は暗くなるまでここで黄昏れるらしい
お酒ももう少し残ってるし
私はクラルスとミーティアをお家に連れて帰ってお風呂に入った
2人を寝かしつけた後、神殿にむかった
神殿の最奥
ここが1番お姉様を感じられる
お姉様に感謝の気持ちを込めて祈りを捧げる
1年色々あったな
お姉様に色々お話ししてると気づかないうちにだいぶ時間がたってた
帰りに黒龍のところにも挨拶して行こうと祭壇に寄ったらルシフェルがいた
遅かったから迎えにきてくれたんだって
黒龍に別れを告げ神殿をでた
久しぶりに星空を見ながら歩いて帰ろう
満天の星空を眺めながら2人歩いた
会話は特になかったけど気にならなかった
いつもの丘に差し掛かるころ
ルシフェルに引き止められた
「おめでとう。帝都で言おうと思ってたんだけど、内緒にしてたみたいだからさ。」
バレてたのか
クレアさんに聞いたんだ
もやもやしてたら、突然ハグされた
ちょっと!
お兄さん?
ルシフェルが離れると、胸元に小さなお花が光っていた
綺麗なパールの周りに囲うように小さな蒼い石、金色の花びらで薔薇を形どった可愛らしいネックレス
「可愛い。これどうしたの?」
「プレゼントだよ。一年間お疲れ様。」
「ありがとう。いや、そういう意味じゃなくて…」
「ああ、やっぱりこの色にして良かった。よく似合ってる。綺麗だ。」
頬が紅くなるのも、ドキドキの音がうるさいのもどうにかできないの?
状態異常無効はどうした?!
「ルシフェル、も、カッコ良い、よ…」
カタコトで褒め返すしかできない
「光栄だな。」
(見た目は合格ってとこかな?)
面と向かって綺麗だ…っとか言われるとなんかコントみたい
そうだ
落ち着くんだ私
大人の女の余裕を取り戻すんだ
ルシフェルが綺麗だと言ったのはネックレスの事よ!
それにしてもルシフェルは呼び出した時と受肉した後で、結構性格が違う気がする
召喚前は秘書や執事的なポジションのビジネスライクな関係がいいなと思ってたけど、まぁこの関係もありかな?
あの時は本当にどうなるかと思ったんだけどね
ふふふっ
仲良くやっていけそうで、ちょっと安心した
「今日は素敵なプレゼントをありがとう。最高のバースデーだわ。これからもよろしくね。ルシフェル。」
(思ったより先は長そうだな…)
(まぁ、時間は存分にある。じっくり攻めていく、それもまた一興。)
「此方こそ、よろしく。セレニティ。」
とりあえず一区切りつきました!
お付き合い頂きありがとうございます。
今後もよろしくお願いします!