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異世界に転職しました  作者: Aries
第1章
22/202

お料理教室

 




 私が帰ってきて直ぐにマーガレットさんはお店をクローズにした


 夜じゃなくて、今からみんなで話すらしい


 ご姉弟にはちゃんと説明してもらってる


「さて、これから行うことはとても大事なことなので、みんな協力して頑張りましょう。家族以外の誰にも話してはいけません。お外で話すのもいけません。約束が守れない場合は…わかりますね?」


「「…はいっ」」


「お客様おかえりなさいませ。改めまして私が女将のマーガレット。こちらが主人のマーカス、娘のマリー、息子マイクです。改めてよろしくお願いします。」


「セレニティです。気軽にセレニティと呼んで頂き構いません。この子はミーティア。成り行きで運命共同体になりましたが、この場所、とても気に入ってます。ご協力させてください!みんなで頑張りましょう!」


「では、僕もセレニティさん、とお呼びしても良いかな?今日は閉めてあるので、今から作りながら教えてもらう感じでいいですか?」


「もちろんです。マーガレットさんに言われたもので足りないものは購入してきました!」


 旦那か優しく微笑んでいる


 マーガレットさんのことがとても好きなんだな


 旦那さんは意外とがっしりしてて強面だった


 濃い茶色の髪を後ろで束ねてて、顎髭がワイルドなイタリアンの巨匠って感じの出で立ちだけど、喋ると優しいパパって感じでギャップがすごい


 バックから書類をお渡しして読んでもらう


「契約というか、概要を書面にしてますので気になるところは推敲してくださいね!後で清書しますから。」


  ★書面の概要★


 ご購入は宿泊者様優先


 アメニティでオレンジ石鹸のカケラを宿泊料金支払いの時渡す


 木漏れ日亭のアメニティ分の石鹸は口コミ用なのでセレニティがマーガレットへ無料で提供


 木漏れ日亭はセレニティが卸しにきた時の宿代、飲食代は請求しない


 販売は木漏れ日亭が行い、手間賃として石鹸の売り上げ3割を受け取る


 なお、この販売に関わる情報を漏らしてはならない


 ★★★★


 手間賃として受け取って貰う分を値切られるとは思わなかった


 でも、私が卸すことを秘密にしたいので、口止め料として受け取ってもらった


 マリーちゃんが不安要因なので、保険も兼ねて


 出どころを濁し、付加価値をつけよう


 そんな感じなら書面を大人たちが読んでる間、子供たちは料理のお手伝いをしてもらっている


 本当は違う店にレシピを売ろうと思ってたけど、とても好感が持てるご家族なので料理の方も出しちゃいましょう


 ということで今から教えながら作ります


 商品を置いて、安定的な収入にするなら宿はもう少し流行ってもらいたいし


 レシピを買ってもらうけど、支払いはもちろん軌道に乗ってからの後払いで


 料理の腕を見込んで色々試してもらう


 レシピというより素人のアイデアって感じだしね


 卵と牛乳、小麦粉があるので割と何でもいけそう


 クリームシチュー


 プリン


 クレープ


 クリームシチューはベシャメルソースとして魚にかけたり、パスタにかけたりバリエーションも広がるし、基本は混ぜるだけなので簡単!


 しかもホワイトシチューは日本発祥って聞いたことあるし、西洋ちっくな文化だからまだなさそう


 他で作られてたとしても特許権という概念は異世界(こちら)には無いので大丈夫でしょう


 プリンはすぐできるし、お茶請けにも合うような硬めのプディングにしよう


 クレープはご飯にもデザートにもなるし、食べ応えもある


 子供にもウケるでしょう!


 今回は3種類


 後は追い追いで


 私がきた時食べたいし


 まず卵を泡立てます


 卵4個をボールに白身6個、黄身2個に分け泡立てるクレープ担当はマリー


 白身2個、黄身6個のプリン用担当のマイク


 プリンは黄身が多い方が美味しいと思うの


 個人的に


 残った白身がもったいないのでクレープに入れちゃう


 いいですね!


 白っぽくもったりしてきたら粉をふるいながら入れていきましょう


 バニラエッセンスやハーブ使うならこのタイミングで!


 粉をふるい落としたら混ぜて、ダマがないように滑らかに


 焼くまで約30分くらいは冷やして寝かせると生地の泡が消えてしっとり仕上がります


 今日はボールをトントン叩いて空気を抜き、植物油を引いたフライパンにオタマひとすくいを上から流し込み丸く広げる


 この時フライパンは火から外すと失敗が少ないです


 回りから火の通りを確認、底が薄く茶色になってきたら、ひっくり返しどき!


 さぁ緊張の瞬間!!!


 破れないようにそっと


 せ、成功じゃぁー


 おかず用は両面しっかり焼いてパリッと


 デザート用は片面焼きでしっとりと


 粗熱をとりながら重ねていく


 冷めるまでちょっぴり待つ


 マリーちゃんがどんどん焼いてる間にプリンのカラメルソースを作ります


 お砂糖とお水を中火にかけて、ふつふつしてきたらもうすぐ茶色くなる合図


 焦がし具合はお好みで


 あついうちに容器に移して、満遍なく伸ばし冷まして固めます


 カラメルの焦げた甘い匂いがたまりません!


 プリン用の卵は興奮気味のマイク君に混ぜに、混ぜられておった


 ちょっとおちつこーか


 温めたミルクに砂糖を入れてゆっくり混ぜとかし砂糖が溶けたら火から外し冷まして、卵液を混ぜ合わせる


 そして濾し器で濾します


 ない時はざるで代用しましょう


 これに小麦粉入れたらカスタードだけど、今日はとりあえずプリン!


 でっかいお鍋に水を貼り、布を敷く、そしてそのうえに、容器に入れた卵液を置いて、その上に水が入らないようにガーゼを被せてセット完了


 後は蓋をして弱火にかけて10分くらいかな?


 後はプリンやクレープ合うだろうフルーツ、ベーコン、腸詰などを準備


 おチビさんたちに並べてもらってるうちにプリンの硬さチェック


 うむ


 良い気がする


 隣ではマーカスさんがクレープ生地を量産してくれている


 あれ?ここはマリーちゃんに任せたはずですよ?


 マーカスさんを見てたら、視線を誘導された


 その先にはこっそりサボってるマリーちゃんみっけ


 おやつなしだね!って思ってたら


「マリーはお仕置きだね。」


 ってつぶやきが耳に入りお互いクスリと笑った


「そういえば、もう1つの方の料理はあれでよかったの?塩が薄めのスープ。野菜の大きさは一口大くらいってきいてたけど?」


「はい!ありがとうございます!そこまでして頂いてると後は楽なんです。」


 マーカスさんに、にこりと微笑んだ


 プリンは少しさましたいのでこの辺粗熱をとってで保冷庫に入れます


 クレープはデザートにも使うから、これも保冷庫かな


「試食なんでそんなに多くはつくりません。3人〜4人くらいの分量です。まずはバターをフライパン弱火で溶かします、それから同じ量の小麦粉を混ぜます。ダマにならないように気をつけて混ぜます。そしたら牛乳を3分の1ずつ入れて、これもダマにならないように気をつけて混ぜます。マーカスさんよかったら味見どうぞ」


「…うん。いいね小麦粉を焼いてる香ばしさもあるけど、バターのコクも負けてない。全体的にクリーミーで食材を包み込んでるようだ…」


 お空を見上げてポエミーな発言をしていらっしゃいます


「これはまだ、塩胡椒などはしてないけど、塩味をきかせて魚のソースにしたり、ベーコンやキノコと共にパスタとあえても美味しいんですよ?」


 にやり


「いやー正直得体の知れない人なんで、不安だったんですよ?まぁどうせお貴族様(おじょうさま)の道楽だろうと思ってたし、ここを騙して乗っ取ったり、潰してしまおうなんて考えてなさそうでよかった。マーガレットと僕の大事な店だからね。」


 そんな風に思われていたのか


 警戒されてたのかな?


「…マーガレットさんの事大好きなんですね!私、異世界(こちら)に友達がいないのでなんかつい、マーガレットさんや、マリーちゃんと感情移入しちゃいまして、ちょっと見てられなくなっちゃっただけです。…さぁさぁ!仕上げちゃいましょう!後はそれをスープに入れて、硬さは牛乳で調節して、一煮立ちで完成です!」


「おとーさんご飯まだー?」


「マイク、もうできるよ。スープのお皿と平たいお皿、準備できるかい?」


「もちろんだよ!」


「よし、いい子だ」


「わ!おとーさん髪の毛がぐちゃぐちゃだよ!はは!やめてょう!」


「よし、行ってこい!すぐできるぞ!」


「はーい!」


「セレニティさん!色々ありがとうございます。あなた、運ぶの手伝いますね。」


 いい家族だなー


 ちょっと泣けてきちゃう


  羨ましい





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