木漏れ日亭
お風呂!素晴らしかった!
猫足のバスタブ!
浅めだけどお湯を溜めて、足を伸ばして浸かることができるし、レインシャワーも付いてるし、香油と石鹸もちゃんとおいてある
異世界の文化はあまりお湯に浸からないのかな?
石鹸の泡立ちはイマイチだったけど、両方とも匂いはとても良い
柑橘系の爽やかな匂いでまとめてある
どの位の値段なのか後で聞いてみよう
タオルもふわふわで気持ちいいな
魔法で髪を手早く乾かすと今日買ってきたものを取り出していく
ご飯にはまだ早いから、ちょっとだけ作業しよう
まずは石鹸を亜空間から取り出す
オレンジとゼラニウムの香りの2種類
オレンジの方は半透明なオレンジ色の四角の石鹸で、中にオレンジピールが入ってる羊羹の様な形
金太郎飴みたいにいる分だけカットして、売ったら良いんじゃないかな
ゼラニウムは薄い紫の透明な楕円形で、花弁を真ん中に少し入れて固めてある
香油を使ってるのでゼラニウムの方がお高めにしようと思う
ゼラニウムには肌トラブルや髪に良い成分が入っているのでより効果的だ
グリセリンを使ってるので泡立ちは凄く良い
オイルとグリセリンは何処からって?
乙女の箱庭で作っちゃったの
ラグビーボールのような形で、果肉がグリセリン、その中の種にオイルが入ってる石鹸の木を
半分に割って、中のオイルを取った種の殻は、ゼラニウムの石鹸の型に使われてる
石鹸の木から取れるオイルは食用には向かないので完全に石鹸の為だけの木になってしまった
本当は耐水性の用紙で包みたかったんだけど、無かったのでとりあえず、オレンジの方は何ピースか切って安い布で包み紐で結んで完成
ゼラニウムは小花柄の布でキャンディのように包み、両端をリボンを結んで完成
両方5個ずつで良いかな
そうだ!後で、女将さんにも使ってもらって感想を聞いてみよう
ここに置いてある石鹸は柑橘系の香りだったから、気に入ってもらえるかも
次にボディクリーム
シアバターを作ってみた
シアの木を植えてそこから油分が取れるようにした
ただ、シアバターの木に関しては、私の知識が曖昧だったし、写真しか見たことなかったのでこれが正解なのかわからないけど、テニスボールくらいの実がなって、硬い殻を割ると中にバターらしきものが詰まってる
クレアさんは食用でも大丈夫って言ってたのでお菓子作りにも役立ってる
お手入れ用の物は魔法で熱を加えながら撹拌し、乳化させて、精製水と混ぜたりしてできたもので、晴海が以前使っていたものと、同じような感じに仕上がってると思う
亜空間に入れてたシアバターを今日買った小瓶に入れていく
可愛い瓶が全然なかったので、1番シンプルなものをとりあえず3個買ってみた
ご飯が終わってから封をしよう
フタはコルクタイプ
雑貨屋には缶とか、蓋つきのものが品薄だし、あっても割高だったので、見た目はイマイチだけど、しばらくはこれで様子見
切りが良いのでここまでにしてご飯に行こうかな
後はご飯食べてからしよう
ウキウキしながら階段を降りてく
初めての異世界ご飯
どんなものが食べれるかワクワクする
ミーティアとともにいざ食堂へ!
「あら、セレニティ様お食事ですか?」
「はい。よろしくお願いします」
女将さんのお任せで準備して頂いた
出てきたのはパンとスープのセット
スープはポトフで分厚いベーコンと野菜がゴロゴロはいってる
じゃがいもホクホク、玉ねぎも人参も甘い〜
ベーコンの塩加減もちょうどいいです
野菜の出汁が満載のスープにほっこり
パンはライ麦パンとかドイツパンとそんな感じかな?
むっちりした食感で食べ応えがあって美味しい
「油物は控えてみたんですけどいかがでしたか?」
「とっても美味しいです。」
「お口にあって良かったです。どうぞごゆっくり」
女将さんは丁寧にお辞儀してまた戻っていった
赤ちゃん連れだから食事に気を使ってくれたのかな?
この世界の食べ物はダンジョンからも産出されるが、他は大体地球と同じで、農業や畜産業も行われてる
塩、砂糖、胡椒やスパイスが割高なとことか、文化レベルは地球より遅れてる
国によってだいぶ差があるけどね
誰かが作ってくれたご飯を食べるのも久しぶりだな
静かな雰囲気もとても良い
良いんだけど…
人が少ない?
こんなに綺麗で、可愛い部屋と美味しいご飯に、お風呂付きなのになんでかあんまし流行ってないのかな?
もったいない
まぁ個人的にはこのくらい静かな方が落ち着けるけどね
食べ終わって一息付いてると女将さんがハーブティを入れてくれた
いい匂い
帰ったら私もハーブを育てよう
もう一息ついて、部屋に戻り作業を開始した
***
翌朝、身支度を整え、ミーティアにミルミルをあげた後、私も朝食を取りに食堂へ
昨日、女将さんに石鹸のモニタリングを頼んだら了承してくれたので、商業ギルドに行く前にちょっと話を聞いてみようと階段を降りて行くと、マリーちゃんが右往左往してた
「おはようございます。朝から元気ですね。」
「あ!!お姉さん!!!おはようございます!!!」
挨拶するなり、こっちですと言って食堂へとグイグイ引っ張られる
「遅いですよ〜めっちゃ待ってました!」
ん?
「こら!マリー!?何ですかその口の聞き方は!すみません!お客様!」
「えー!でも!!」
「でもじゃありません!今日、ギルドから帰ってこられてからお話するって言ったでしょう!早く持ち場に戻りなさい!」
「どーせ、お客様なんていないじゃん!」
あ、それ以上はやばいんじゃないかな?
優しい人が怒ると怖そうだし
「あの、もしかして石鹸のことですか?是非お話聞かせてくださいね。」
フォローも兼ねてちょっと助け舟を出した
「ほら!じゃあさっそく…」
「マリーさん?頼んだ仕事は終わってるのかしら?終わってるなら追加で鶏小屋のお掃除もお昼までにお願いしますね。」
「ひっ?!」
「さぁお客様、大変失礼を致しました。朝食のご準備が出来ておりますので、お持ちしますね。」
「はい。ありがとうございます。」
マリーちゃん
口は災いの元
ですよ?
さて、朝食を頂きましょう
朝食はサンドイッチとスープ
卵とカリカリのベーコンがシャキシャキレタスに包まれてて、うまぁ〜
卵が半熟とか反則
久しぶりの卵に超満足
幸せ
食後に女将さんがハーブティを出してくれた
ミントの爽やか香りが朝にぴったり!
「先程は本当にすみませんでした。」
「いえ、お気になさらないでください。良ければ今、お話聞かせてください。私も気になりますし。」
「ふふふ、逆に気を使わせてしまいましたね。ではお言葉に甘えて、お茶をご一緒させて頂きます。」
2人でほっこりしたところで、早速聞いてみた
結果、手作り石鹸は絶賛された
マリーちゃんがそわそわしてたのはギルドに行く前に専売契約をしたかったかららしい
けれど、それはルール違反だし、ギルドに下ろした方が安心安全で信用もあるので、まだ話すべきではないと思っていた、とのこと
「図々しいお願いとは存じておりますが、販売する分をうちに少し卸して頂くことはできないでしょうか?」
ふむ
ここのお宿はとても良いし、女将さんもとても好印象だし、良いかもしれない
「私としても、娘がまだ小さいのでそんなに頻繁にこれるわけではないので、こちらで置いていただけると大変助かります。」
「本当ですか?ああ、良かった!実はマリーにはああ言ったものの、私もとてもそわそわしてまして、お恥ずかしい限りです。ふふふ。」
「いえ、実は私もギルドに行くのに朝からそわそわしてました。ふふふ。」
初めての商談?は穏やかに進んでいった
どうやらあまり流行っていないらしく、お風呂以外のウリが欲しかったらしい
値段はギルドに行ってから決めることにした
お風呂に置く分とは別に、販売もしてもらうので、その辺も聞いてこよう
商人ギルドに、契約用の魔法紙が置いてあるので帰りに買ってくるのと、今後についてはまた帰ってきたからということになった