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異世界に転職しました  作者: Aries
第1章
15/202

黒龍

 




 クラルスは今、里帰り中


 オカッパ君とも約束したし、飛び出して来たみたいだから一旦戻って、お世話になった人たちに挨拶して、数日後に迎えにいく予定


 その間に準備と仕事を終わらせよう!


 神殿なう、です


 黒龍のご遺体が鎮座しております


 今日は黒龍に刃を入れようと思います


 ついに…


 なんだかんだと理由をつけて先延ばしにしてたけど、先日の龍人族の件で、龍玉というものがあることがわかったから、ビビる自分を奮い立たせ目の前に立ってます


 ミーティアは白竜モードでおとなしく座って此方を見ている


 本来なら古龍が死ぬと、眷属達が血肉を分け合い、長くても半年から一年で龍玉が現れ、天上へ昇る


 天上とはこの地の事で、神殿の祭壇に飾ってある丸いオーブだと思ってたものは、違う古龍の龍玉でした


 綺麗だなー


 すごい大きなオーブだなあー


 って思ってましたが、あれでしたか!


 そういえば龍の像がオーブを守るようにあって、牙っぽいものや爪っぽいものが刺さってたり、鱗が付いてたりしてますね


 装飾だど思ってました


 試練を乗り越えて得られる知識や加護とは龍玉の事でした


 私が黒龍の体に結界をかけたせいで、その身体は朽ちることなく、龍玉も現れていない


 私のエゴでこのままにしてたけど、この世界のルールで葬いをしよう


 気合いを入れ直し、魔法を解除


 首元に触れ、そっと抱きしめるとまだほんのり温かい


 黒龍のための祈りを捧げ、静かに刃を落とした


 その後、無心でクレアさんの指示通りに動いた


 血を抜く


 鱗を取る


 爪を抜く


 牙を抜く


 翼を捥ぐ


 革を剥ぐ


 臓器を取る


 骨と肉を切り離す


 黒龍が黒龍だった物に変わっていく


 胸とお腹の間くらいのところに漆黒の宝玉があった


 黒龍の龍玉には魔法使いがお姫様に魔法をかけた時のような、キラキラと輝く一筋の白銀の流星が煌めいていた


 綺麗


 龍玉をミーティアと一緒に眺める


「ミーティア。」


「キュイ?」


「この龍玉はあなたのお母様の龍玉よ。彼女の知識や記憶が入っているの。」


「キュイー?」


 頭を傾げたミーティアを撫でた


「まだわかんないか…」


 ミーティアは龍玉を舐めたり、ペシペシ叩いて遊んでる


「クレアさん、この中の知識や記憶はどうやってみるの?」


 《 現在、黒龍様の宝玉にはなんらかのロックがかかっており、中を見ることはできません。》


 そうなんだ


 《 解析されますか?》


「うん。お願い。私は片付けと飾りの準備をしてるね。」


 《 かしこまりました。》


 宝物庫から材料を持ってきた


 装飾用に牙や鱗を数枚選び、残りはしまう


 他の像は殆どがミスリルって金属だったので、オリハルコンっていうもっと凄い金属で、龍玉の台座になる黒龍の像を作ろう!


 オリハルコンは現存し、人が扱える最上の金属らしい


 もの凄く貴重で、しかも扱いが難しく、加工には超高度な技術やスキルが必要なんだって!


 宝物庫にはいっぱいあるよ!


 加工もそんなに難しくなかったよ!


 なんなら意匠を凝らして、躍動感をもたせる方が難しかったです


 龍の鱗は大きさと厚さが色々で、関節や骨周りの鱗はしなやかで柔軟性があり、お腹や背中の鱗は分厚く堅牢で他より少し大きめ


 小さくて形が綺麗なものを、背中に隙間なく付けていく


 お腹には大きめの鱗をバランス良く


 牙は1番小さい物を加工して上下に嵌める


 瞳にはもちろん涙の結晶


 仄かに光って生きているようだ


 我ながら素晴らしい出来だと思います!!


 他のやつよりイケてる!


 自画自賛してにたにた


「ミーティア!どう?そっくりでしょ?」


 あれ?


 どこいった?


「キュイ!」


 なんと!!


 ミーティアは黒龍像の尻尾の方からよじ登り、背中に上がってきてた


「ミーティア、落ちたら危ないよ?」


「キュイー!」


 尻尾を滑り台にしてするすると滑り降りた


「キュ!キュイ!キュイ!」


 楽しそうですね


 まぁ気に入ってくれたようで良かった


 《 セレニティ様、黒龍様からのメッセージがございました。》


 そう、じゃあ像と龍玉を飾ってから聞きましょ


 祭壇の1番いい( と、私が思う )場所に像を飾り、龍玉を置く


 うん、いいね!


 他の龍を従え、厳かに、来るものを見定める


 またにやにやしてたら龍玉から淡い光が放たれ像を包み込んだ


 像の瞳に光が射し、此方を見つめた…ような気がした


『セレニティ、久しいな。息災であったか?我が娘、ミーティアは健やかであろうか?』


 わっ!!


 しゃべった!!


 久しぶりの黒龍の声


 もう一度聴けるとは


『女神からそなたの国は遺体を焼くと聞いたので、心配しておったが、無事に我の龍玉に辿り着いたようで何よりだ。我が知識、存分に使ってくれると嬉しい。だか、ミーティアにはまだ早い。制限をかけているのはその為だ。そなたが、母として見せるに値すると思った時、見せてくれれば良い。任せる。して、そなたは真面目故に、仕事に一生懸命になり過ぎるところがあるようだ。もっと楽にして構わん。そなたには女神がついておる。我も女神と共にそなたらを見守っておる。そなたのしたいようにすれば良い。この世界を楽しんでくれ。』


「はい!ありがとうございます。」


『…そうだ、そなたの事だからどうせ我から取れる素材を使ってないのであろう?気にせず存分に使うが良い。我もその方が嬉しい。我の素材から作れば何でも最上のものができるのだ。身に付ければ死後もなおそなたらの役に立てるからな!それでは、名残惜しいがそろそろ終いだ!達者でな!!くわっはっはっはっはっ!!』


 メッセージが終わった後の黒龍像は私が作った時よりしなやかに艶めき、美しく輝いていた


『我はもう少しスリムで美しいであろう!』


 って言う黒龍の声が聞こえてきそう


 ふふふっははっw


 くわっはっはっはっはっ!!


 だって!


 笑い方が豪快!


 低く落ち着いたアルトだった


 喋り方も穏やかだったけど


 本来の彼女はもっとお茶目で豪快だったんだ


 くわっはっはっはっはっ!!


 って笑うイメージが全然無かったけど、意外としっくりくるね


 ぷくくっw


 あははは!!ww


 1人で気がすむまで笑った


「リーリウム、笑い方豪快!」




 ***




 ふむ。


 我が像は中々の出来だな。


 セレニティめ、やりおる。


 だが我の名は呼ぶなとあれほど言っただわないか!


 リーリウム


 そんな軟弱な名は等に捨てたのだ


 我が名はオニキス


 漆黒の古龍オニキス!


「まぁ、またそんな事言ってるんですか?せっかく可愛らしいお名前を授かってますのに…」


 うるさいぞ!


「百合の花の花言葉は『純粋』『無垢』…まぁ」


 う、うるさい!


 我は黒龍だ!


 百合は白であろう?全然違う!


「…黒い百合の花言葉は、…恋。」


 や、やめろ〜!!


 なんだその甘酸っぱいイメージは?!


 我のイメージが!!


 厳格で荘厳な感じのやつはないのか?!


 オルキディア!


 せっかくきてやったのに!


 ひどいでは無いか!!


「…リーリウム。すみません言い過ぎました。久しぶりの会話で私も浮かれてました。来てくれてとても嬉しいです。永らくのお勤め大変ご苦労様でした。(わたくし)のわがままを聞いて頂きありがとうございます。」


 オルキディア…元気そうでなによりだ


 此方こそまたせてしまってすまないな


「気にしてません。これからまた、よろしくお願いします。リーリウム♡」


 いや、だからその名で呼ぶのはやめてもらいたいのだが…


「ですが、此処では真名以外の呼び方はできませんよ?」


 ぐぬぬ…


「私に偽りの名を呼ぶことなどできませんし?対等に名を呼び合うのなんて、リーリウムとセレニティくらいなんです…しゅん。」


 むむ、そうしゅんとされると此方が悪いみたいではないか…


 くっ…致し方ない…


 あーこれ、泣くな泣くな


 お主は特別だぞ?


 何とでも呼ぶが良い


「嬉しい!流石はリーリウムです。」


 なっ!


 お主、嘘泣きか?!


 謀ったな!!


「さぁセレニティにお返事を送らないと〜意外と忙しいんですのよ?」


 まて、こら!!


 オルキディアー!!





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