プロローグ0
わざわざ、ありがとうございます
こんな噂がある。
あるところに突然現れては、誰かを救って姿を消す。
そばにたった一人金髪の美女を従者として侍らせ、お礼を言おうとしたら、いつの間にか居なくなっている。
名前は分からない。
その声を聞いた者は、助けられた者だけ
その姿を見たのも、助けられた者だけ
まだ少年のような背格好をしていると言われている
この世界では珍しい黒髪をしていると言われている
この世界では珍しい黒目を持っていると言われている
様々な害悪から、言葉の通りその身を呈して守る様子から〈守護者〉と救われた人々は呼んだ
危険が及んだ人の前に現れては、彼はこう言うらしい
「大丈夫か?」
と
そんな話を聞いていたからだろうか、私は、その光景を見たとたん、その台詞を聞いたとたん、私は守られたのだと、かの守護者に助けられたのだと理解した。
まわりは、私を燃やさんと轟々と音を立てる炎に囲まれている。
その目の前には、大きな背中。
実際に大きいのか分からないけど、存在の大きさを感じる。壮大であると。
頭は、闇を彷彿とさせる漆黒の黒髪が
そして、その彼は、私を振り向きその黒目で私を貫きながらこう言った
「大丈夫か?」
そう言ったのだ。