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09 赤ん坊だけど勉強?します

サブタイトルを考えるのが難しい…

床に放置された本。



これがあれば読み書きを覚えられるのではと思いさっそくそれをゲットしてみることにした。

まだ、親には見せていないが頭も据わりハイハイがうまくできるようになった自分には本を取るぐらい雑作もなかった。

正直言うと、揺り籠というか自分が今いるベッドから降りるのには一苦労だったが…。


本は思った以上に重かったのでその場で本を読むことにした。

昨日、父上が読んでいた内容を思い出しながら文字を把握するのはやっぱり難しかった。

しかし、自分にはあいつがいる。


(いでよ、フラン)

(お呼びですか、マイマスター)

そう妖精(フラン)だ。

妖精(フラン)は、いつもは俗に言う天界にいるらしく、自分が呼んだらすぐに来てくれる。

まぁ正確にいうと、精神というか意思だけをこちらに向けているだけらしく『来る』という表現は少し語弊があるらしいのだが別にいいだろう。


分からないことがあったり、聞きたいことがあればフランを召喚すれば大抵のことは教えてくれる。

暇なときには話し相手になってくれたりもする。

だが、こんな有り難い存在であるフランにもできないことがある。

基本的に魔法を使ったり、物に触り動かすなどはできないらしいのだ。

天界では魔法を使えるらしく、自分がいる所(便宜上下界としておこう)では使用することができないらしい。

先ほども言ったとおり、意識を向けるだけで肉体的な物が来るわけではないということだろうな。

それになんとなく幽霊っぽいし肉体がないから物とかには触れないとでも思っておけばいいだろう。


(今回呼んだのは他でもない、この本に書かれている文字を逐一教えて欲しいのだ)

(はい、分かりましたマスター。この本でいいんですね)

(おう。ということで頼むな)


若干読み聞かせっぽい形になってしまったが自分主導で行っているのでだいぶ勉強になった気がする。

良かったのは、文字自体の多くが分かりやすかったという点だな。

基本的に日本語と同じ音節文字だったというところが多かったのがでかい。

うまくいけば平仮名やカタカナを自分独自の暗号として流用できるかもしれない。

なんか暗号って、男のロマンみたいな所があるよな、楽しみだぜ。





しばらく、寝転がって本を読んでいると母上が部屋にやってきた。

もうそんな時間なのかと思ったが今の状況を思い返してみた。

床に寝転がって本を読む赤ん坊…驚くわな、普通。

母上もご多聞にも洩れず……といきたいところだったが母上は淀みない動作で自分を抱き上げて微笑みながら一言だけ言った。

「床に寝転がったら汚れるでしょ、めっ」


『めっ』とか可愛いなとか思いながらも指摘する所が違うような気がする自分の感覚は間違っていないと思いたい…。


その後母に抱きかかえられ読み聞かせしてくれる事になった。

さっきまで読んでいたフランは自分の役割を奪われてか不満そうな表情をしていたが、今度また頼むと言ったらまたもとの表情になって帰っていった。






あれからしばらく日が経ちそろそろこの本にも飽きてきた。

「ははうえー、べつのごほん、ほん」

拙い若干間延びした感じだがそれでも生後約半年ほどでここまで話せるようになるっていうのは本来なら異常なのだろうが幸運な事に両親はそんな物全てを『愛故』で片付けてくれるのでそこまで騒がしいことになってはいない。

「ディース、新しい本ね。分かったわ少し待ってなさい」

「はーい」

前回持ってきた本は父上が選んだものだからな。

老若男女理解できるレベルの文章でなおかつ男の子が特に好きそうな冒険物を選んだ父上はなかなかいいセンスをしていると思う。

唯不満があるとすれば、挿絵の一つも無かったことぐらいかな。

下手したらこの世界の文明レベルが日本でいうところの平安から江戸ぐらいだからな。



離乳食をとるようになってから分かったのだがスプーン以外のナイフやフォークなどのような食器はなく基本手づかみで食べる文化らしい。

そのうえ、皿やスプーンも木や石?が主流で陶器もあるにはあるがあまり使われていないように感じられる。

といっても石の皿はでこぼこだったりいかにも『石』という感じではなく火山岩である黒曜石のようなある種の光沢を持ったなかなかに洒落たものであった。

それと同じく、手づかみという行為もどこかマナー的なものがあるようでどことなく気品が感じられてはいる。


しかし、所詮手づかみである。

自分もそういう文化レベル的なものはあまり詳しくはないが基本的な生活は現世でいう所の中世を主として、所により近世っていう感じだろう。

初めてこの世界の離乳食を食べたとき感動はしたけれどレパートリーが少ないのか大半が芋と豆っていう…。

芋、豆、野菜、芋、豆、野菜、芋、豆、何か変な物が一日二食の周期になっていて、正直ワンパターンである。

嫌いじゃないんだよ、芋も豆もおいしいし。

でもなんというかしょせん『芋』で『豆』だからな…。


おそらく日本ではわりとよくある魚系の離乳食がなかったり芋が多いことから、輸送レベルが低かったり場合によっては内陸の可能性も少なくない。

芋は救荒作物と呼ばれるぐらいだから、下手をすると肥料や農業レベルが低い可能性もあるな。


一応、両親の食事を見ると芋と、豆、肉、パンが多かったりする。

野菜はパプリカと玉ねぎを足して割ったみたいなものだったり日本では見たこともないものがあるからなんともいえないし、そもそも本当に野菜なのか?というものまである始末だ。

味は分からないけどレタスみたいなやわらかいものより固そうなものが多くみうけられる。

音が『シャキシャキ』ではなく『バリバリ』といっていたからな…。

とはいえ、調理方法は焼く、炒める、和える、茹でるの四つはしっかりあるようだ。

たまにだがシチュー?っぽいものも並べられることもあるから、煮るという調理法はあるのだろう。




一度調理場を見たときに知ったのだが、料理を作る際のマッチの変わりに火魔法や水道の代わりに使っていたり、ある宝石っぽいものにさわって「水よ、出ろ」とかいって水を出してた。

フラン曰くあれは魔法石という物らしく、ある特定の石に魔力を込めだれでも呪文をよべば使えるようにしたものらしい。


(マスターは魔法を早く使えるようになりたいのでしたよね?)

(あぁ、そうだが。突然どうした?)

(いえ、魔法石を使えばうまくいけば『魔力』というものを理解できるかもしれないので念の為言っておこうと思いまして)

(ちょっと詳しく教えてくれ)


しばらく話しを聞いてみるとどうやら、魔力で作った物ともともと存在する通常の物とでは何かが異なるらしい。

その差異は魔力によるものらしいのだが、その差異を利用することで魔力をつかめるかもしれないらしいということだ。

フランが言うには、一度魔力の存在をつかんだら後は簡単でその後のことはその魔力をどう使うかであってフランもそれぐらいなら教えることができるらしい。


まぁ、実際魔法石を周囲の大人たちにばれないようにゲットするなんてムリゲー臭いけどな…。








フランは常識、またはそれに付随するような知識的な事はよく知っていますが、それ以外の個人的な事や感覚的な事をあまり知りません。

例えば、人間について平均身長が何センチかは知っていても目の前にいるAさんの身長が何センチかは計らない限り知らないみたいなものです。

それゆえ、これ以降も割りとフランが知らない事が出てくる思います。

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